昨日は、嬉しい雛祭り。
お孫さん達と楽しくお過ごしになられた方もいらっしゃることでしょう。
激しい時代の潮流に巻き込まれ、世界の国々が右往左往しているような昨今。
日本も同様ですが、雛祭りの言葉の響きは、なんと柔らかで、優雅で、平和な事。
こんな時代だからこそ、私達は、それぞれの国の伝統をもっと愛おしみ、大切にすべきではなどと、殊勝な思いに浸っています。
さて今日は、1日遅れの雛祭りの会を、次女が両家の祖父母を招いて、開いてくれる予定になっていました。
遅れた理由は、義息子のHさんが、学会に出席のため、海外出張で留守だったからです。
ところが残念なことに、昨日次女からの連絡で、この会は中止になりました。
その訳は、啓太君の体調が思わしくなく、多少心配な病状だからです。
この発端は、我が家に滞在している先週のある日まで、遡ることになります。
私は胸のうずきを抑えがたく、辛い思い出になってしまいましたが・・・・・・
確か積雪の前日の夕刻のことでした。
保育園から戻ったK君は、おじいちゃんと元気にお遊び。
私は、園から戻った後、夕食の準備に追われていました。
その私のもとに、K君が寄ってきて、手のひらに乗せた小さな物を差し出し、次のように言いました。
「おばあちゃん、歯にかぶせた金冠が取れたよ。パパがね、取れた時は、すぐ歯医者さんに行かないとだめだよって言ったんだよ。」
その時のK君の真剣な眼差しが、今も忘れられない私です。
そして申し訳ない気持ちでいぱいになり、孫の心に信頼の影を落としてしまった我が振る舞いの禍根を、拭えるものなら拭いたい、といった気持にさえなります。
恐らく孫は、「おばあちゃん、僕をすぐ歯医者さんに連れて行って」と頼んでいたのでしょう。
しかし、日はもうとっぷり暮れ、時計の針は6時を過ぎていました。
万難を排しても、無理な状況でしたし、私もさほど重大視していませんでした。
ですから、孫の言葉を軽く聞き流し、「ママがもうすぐ帰ってくるから、大丈夫よ」と、気休めの言葉を言って、その場を取り繕いました。
でも、K君は、なんだか不安そうで、じっと金冠を見つめていた姿が、私の心に焼き付いています。
パパの「歯医者さんにすぐ行かないとだめだよ」との言葉が、恐らく子供の心をとらえて離さないほど、説得力のあるものだったに違いありません。
その注意を、素直な心でまっすぐに受け止めた、K君。
私は、そこに親子の理想の姿の一面を垣間見たようで、ほのぼのと心温まる思いもしたのですが・・・・・・
ほどなく娘が戻ってきましたが、それから治療に出かけるのは到底不可能。
そして翌日は大雪。
旦那さまの協力も得られず、幼子二人を抱え、孤軍奮闘する娘には、週末の歯医者さん通いしか考えられなかった、と思います。
そして昨日の土曜日の朝の事。
娘から、電話が入りました。
昨日も、まだパパは不在ながら、K君が今春からお世話になる学童の顔合わせの日のため、多忙を極めているようでした。
雛祭りの会の準備もあったことでしょう。
娘が、多少不安な声で、私に相談を持ちかけてきました。
「昨夜から、K君の顔が腫れてきたの。おそらく歯のせいだと思うのだけれど。
Kが私とママのこと怒っているみたい。
おばあちゃんにも伝えてっていうの」
K君にしてみれば、「僕は歯医者さんに連れて行ってとお願いしたに、ママもおばあちゃんも連れて行ってくれなかったから、こんなお顔になっちゃった。」との思いで、いっぱいなのでしょう。
身内へ絶対的な信頼を寄せる幼子の純粋な心に、影を落としてしまった出来事でした。
私にも娘にも、辛い思い出になりましたが、止むを得ない事情も重なり、仕方のないことでした。
きっと、パパとママが上手に今回の事を説明し、悟し、K君の気持ちを納得させてくれるに違いありません。
しかし、今度K君に会った時には、心から、ごめんなさいね、と大きな声で謝りたいと思っています。
娘の相談に応え、学童の顔合わせと、歯医者の診察の段取りの助言を与え、その時は電話を切りましたが・・・・・・
夜また電話がありました。
結局、歯医者の勧めで、かかりつけの小児科医院でも診察を受け、先生方の診断は、腫れは、金冠が取れた個所から、菌が侵入したことによるものだとのこと。
午後からの抗生物質の服用にもかかわらず、夜にはお熱が八度まで上がり、娘は止むなく、すでにハマグリまで用意していた雛祭りの会は中止にしたようでした。
腫れあがった自分のお顔を見るたびに、K君の幼い心が揺れ、悲しい思いに支配されている現状が、痛いほど私の心にも伝わってきます。
でも大人に裏切られたようなチョッピリ苦い経験も、今後のK君の成長の糧となり、きっと逞しく心優しい子に成長してくれるに違いありません。。
K君、おばあちゃんとママを許してね。
そして一日も早く、元気な元のお顔に戻りますように。
今日もご訪問下さいまして有難うございました。
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