いよいよ家族揃っての、医師、看護師さんとのコンファレンスが始まりました。
夫は立ち上がると、時々激痛が襲うので、ベッド毎、面談用の個室に移動。
夫をよく見舞ってくれる娘たちですが、先生に正式なご挨拶をするのは初めてのことではなかったでしょうか。
娘たちより、数歳お若い先生。
実は、娘たちと同じ大学を卒業した、一応後輩に当たられます。
医学部の先生とは、むろん学部は異なる娘たちですが。
一見、さわやかな印象がする、とても感じのよい先生です。
けれど、物事を単刀直入にズバズバおっしゃりすぎ。
私は夫の心中を察して、ハラハラすることがよくあります。
そのため、先生に数度、勇気を出して苦言を呈しました。
しかし、先生は次のようにいつも答えられます。
「正直にすべてを患者に伝えるのが、僕の方針です。
今はどこの病院でも、同様の態度で患者さんに臨んでいると思いますよ。
真実を伝えなかったばかりに、医師が後で責められたり、裁判沙汰になることがありますから」
最後の言葉に、私はかなりの抵抗がありました。
「この先生は、患者の気持ちを慮るより、自分を守ることが優先されるのかしら?」と。
私達は、そんなことで医師を批判したり、裁判を起こすような人間ではありません。
私の両親は、ひどい医療ミスで突然亡くなりました。
不運な医療事故だったとはいえ、そのあといくら騒ぎ立てても、父母の命が取り戻せるわけではありません。
静かに見送ってあげたいとの思いで一杯でした。
母の場合は、訴訟を起こせば必ず勝てたはず、と今でも思っているほど、ずさんな対応だったのですが。
大学付属の大きな総合病院で入院中の出来事でした。
今の先生は、転院前、担当医だった大学付属病院の助教授の医師と連絡を取り合いながら、一生懸命、夫の治療に当たってくださっています。
ですから先生の心配は、取り越し苦労なのですけれどね。
若さゆえの頼りなさには、拭い切れないものがありますけれど。
担当医、看護師さん二名、揃った家族で、いよいよ話し合いが始まりました。
これまでの治療の経過と、今後の治療方針、我が家の介護計画などが話の中心でした。
ところが、介護の話になった時です。
娘たちが積極的に看護師さんとお話をするようになりました。
私の事はそっちのけで、訪問看護師さんの訪問回数、在宅医を依頼するかどうかなど、具体的な介護計画がどんどん進められていきました。
私は、心の中で、
「ちょっと待って!私はマイペースをできるだけ崩したくないの。
私には、私が望む介護スタイルがあるの。
私は自分でまだまだ頑張れる、と思っているの。」
と、心の中でつぶやいていました。
でも医師や看護師への遠慮もあって、それが口にできないまま。
お話が、具体的に進んでいく一方でした。
このお話の途中で、夫は病室に戻り、家族と看護師のみの話し合いになりました。
私は、どんなに嫌な思いをしても、その感情を他人に向けて露わにすることは、まずありません。
けれど、この日は、自分の顔がどんどん曇り、険しくなっていくのが分かりました。
二時間近くの話し合いが終わり、廊下に出て、私が娘たちに言い放った言葉。
「あなた達がパパの介護をしているわけではないでしょ。
介護者は、ママよ。
ママの気持ちを察することなく、どうして一方的に話を進めてしまうの???」
その後、娘たちを置き去りにして、早々と病院を出てしまった私です。
娘たちは、呆気にとられたようなポカーンとした顔をしてましたっけ。(笑)
翌日、電話で話した時の娘の弁は、
「先生や看護師さんに会い、直接お話する機会は私達はめったにないから、一生懸命になりすぎちゃった」
とのことでした。
その気持ち、理解できないわけではありません。
しっかり者の娘たちが傍にいると、私はすっかり娘たちを頼ってしまうところがありますから。
あまり人の出入りが頻繁になると、マイペースで暮らせなくなる上に、気も遣わなくてはなりませんから、私は疲れてしまいそう。
パウチ交換、ドレーンの挿入口の消毒とガーゼの取り換えは、自分でしっかりやってきたとの自負もありました。
却って看護師さんが出入りするようになり、トラブルが続出。
とても複雑な心境に、私はなっていました。
けれど、看護師さんは、とても心のきれいな方。
実に一生懸命、夫の介護と看護に当たってくださいます。
ケアーマネージャーさんも、同様に素敵な方で、心から信頼しています。
病院の、我が家と訪問看護ステーションとの連絡担当の看護師さんも、然りです。
ケアーマネージャーさんに、いつか良い方達ばかりに恵まれた我が身の幸運を、喜びと感謝の気持ちを込めて語ったところ、とても嬉しい言葉が返ってきました。
「~さんがとても優しい良いお人柄だから、そういう人の周りには、自然と良い人たちが集まるものなのよ」と。
励ましを込めたお世辞とは、むろん分かっていますが。
褒め言葉は、いくら年を重ねても、子供のように嬉しいものですね~(笑)
とは言っても、看護師の訪問回数は、迷うところ。
在宅医の訪問まで依頼する必要が、本当にあるのか。
けれど結局、娘たち、病院、訪問看護ステーション側の勧め、夫の気持ちを優先する事になりました。
訪問看護士を週に三回お願い、緊急用の契約料金も別に毎月支払うことに。訪問医の依頼も。
ベッドは結局レンタル。
入退院時には、介護タクシーを利用。
介護保険の支払いが、8月の改正で、1割から二割になった我が家です。
すべてを加算すると、一体いくらになるのでしょう。
医療用品の購入費もあります。
私の病院通いの出費も。
十万はくだらないでしょう。
いつか、皆様の参考になると思いますので、具体的な料金を表示させていただきますね。
それ以外に、病院に支払う医療費も。
入院費は、医療保険でまかなえてる我が家ですが。
何と重たい家計負担でしょう。
二年間限定のお買い物の夢は萎んで行く一方だけれど・・・・・・・。
夫の命には代えられません。
介護保険制度による国の助成は大変助かるものの、医療サービスが過剰になるようにも。
色々複雑な思いが拭い切れない私ですが・・・・・・。
これからも悔いの残らないように、夫の介護と看病に、誠心誠意、励みたいもの、と願っています。
ご覧下さいまして有難うございました。
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