河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

ロゼト効果(ソーシャルキャピタル)

2023-02-21 | 研究・講演
先日受講した産業医研修会で聴いた話が今回のテーマである。

私もこれまで健康寿命延長をテーマに長年研究を行ってきたが、栄養・運動・休養以外にも長寿に効果のあるものがあるという話である。

米国ペンシルベニア州にあるロゼト(Roseto)は19世紀後半、イタリアのある村からの移民たちがつくった千数百人ほどの小さな町。

1950~60年にかけた調査で、心臓疾患による死亡率が周囲の町と比べて半分以下だったことで、にわかに注目されるようになった。

住民の収入や教育、仕事の環境や食習慣、喫煙率は周囲の町と比べて決してよくなかった。

低所得で低学歴。同等の喫煙率。

同等の血清コレステロール値。食事中の高い飽和脂肪酸割合。
 
〝ほとんどのロゼト人は炭鉱で働いていた。炭鉱主はロゼト人を粗末に扱い、過酷で最も危険な仕事を与え、支払はわずかだった...〟

なぜ、ロゼトの住民は心臓疾患にかかる確率がこんなに低いのか。

ヒントは地域の結束であり、イタリアの同じ地域から一斉に移住した住民は、多世代で生活を共にし、夕食後は家のポーチで向かいや隣の住民と語らった。

〝社会的排除と搾取を前にして、ロゼト人たちは彼ら自身の居住地を築き、そして幸福を探すことを目指した。〟

地域活動や住民間の交流が盛んだった。

研究者たちが導いた結論は「連帯感や助け合い以外にその理由は見当たらない」というものだった。

1960年代に入り、町並みが変わり、米国の個人主義的な生活様式へと変わり、死亡率は近隣と差がなくなってしまった。

長寿地域だったころのロゼトで見られたつながりは「ソーシャルキャピタル」(社会関係資本)と呼ばれる。
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