河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

生存者バイアス

2023-09-08 | 大学
昨日、産業医研修会に参加して定期検診後の事後指導の講義を受けた。

その中で、意外だったのは健康指導を行っても効果があるという科学的根拠はないということであった。

この話を聴いて、思い出したのはYouTubeで見た安芸高田市の市議会のやりとりであった。

財政逼迫を受けて何とか効果的に予算を使おうとしている市長に対して、これまで市が行ってきた健康運動指導の予算を減らすとは何事だとある市議が責めていたのだった。

市議が話を伺った90代のおばあさんはこの健康教室に参加して長生きできたという。

これに対して安芸高田市長が反論したのは生存者バイアスというものであった。

生存者バイアスというのは、例えば尾翼を打ち抜かれて帰還した戦闘機を見て尾翼を強化すれば生き残れると判断することをいう。

実際には尾翼ではないところを攻撃されて墜落した戦闘機は多数いたわけだから、強化すべきは尾翼以外の部位というわけである。

健康長寿の住民が健康教室に参加していたから健康教室には効果があると判断することはできない。

何故なら健康教室に参加しない圧倒的多数の高齢者がいるからである。

限られた予算は、こうした健康教室に参加しない大多数の高齢者の指導に当てた方が効果的と考えられる。

さすが安芸高田市長は頭脳明晰である。
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