行く。
行く。
花の山、秋田駒ヶ岳には、ほかにも様々な美女が初夏の風に吹かれている。
眼下に田沢湖、間近に男岳と女岳の目新しい溶岩、遠くに森吉山。
この山には、来夏以降、じっくり向き合
何かしら不穏な時代幕開けの予兆なのであろうか、令和元年の富士吉田口の開山は7月1日と予定されていたが、頂上付近の石垣が崩落しているとのことで、開山当日の通行は困難みたいだ。
http://www.fujisan-climb.jp/info/20190611_yoshidaandsubashiritrails.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190613/k10011950931000.html
オイラの心の中では、昨年精進湖口から登った山開きを契機に、7月1日はお山の元日と位置づけ、さらなる1年間の健康安全の祈願場所にし、自今、よれよれになって登れなくなるまで、山開きに出かけることと決めている。
今年は、まだ歩いていない河口湖の船津口から目指そうとしているが、あるいは、九合目近くまで行ってご来光を仰いで帰らざるをえないかも。ただ、報道やお役所はコメントしていないが、八合五勺の小屋あたりから下山道に利用されている立派なブルドーザー道が頂上まで伸びており、そこから頂上に登らせてくれないのはなぜなのか、と考えている。そこは、「参道」ではないから信仰登山にならないからなのだろうか。
昨年は、精進湖口から、仲間3人で登ったが、今年はひとりだ。気ままな登山でもあるので、成り行きに任せ、とにかく頂を目指してみよう。昨年とは違って、10日間天気では、お天気の具合も芳しくはなさそうだが、心の中で「懺悔 ざんげえ、六根清浄~♪」と唱えながら登ろう。祈りの場所なのだ。山頂まで登れず、ご来光も望めなかったら、今年の山歩きは、さらに自重して歩こうぜ。なにかしらのお告げなのかもしれない。
2018年4月 精進湖から
全線開通したみちのく潮風トレイルは、6月1日に福島県相馬市松川浦の起点から再び歩き始め、昨日まで都合8日間を費やして塩釜の港まで到達した。疲労感とお天気の様子を見ながらの日帰りウォーキングであることから、当初の目論見が大分くるっており、6月中にはあと3、4日しか歩ける日がないので、どうやらGWに牡鹿半島コースの起点とした石巻までを線でつないで、いったんお休みとなりそうだ。
が、これまでの8日間、どの1日さえも、つまらないと感じたことはなく、環境省は、できるだけ静かで安心安全なルートで、かつ三陸の歴史と文化を学ぶポイントたどるコース設定をしてくれているので、毎日が何かしらの発見があり、人生の多くを生活圏としながら、これまで辿ったことがない道がほとんどであり、どれもが新鮮である。空にはヒバリ、河原にはオオヨシキリと遠くカッコウ、道端には季節の花の色どりとほのかに甘やかな風。
ただし、どの1日であっても3.11の痕跡や地域の慰霊碑・モニュメントを目の当たりにしない日はないのであって、コースの多くが浸水域の被災地であることを否が応でも自覚せざるを得ない巡礼の旅でもある。慰霊碑には、8年数か月前までには、その集落に生活していただろう何百人という犠牲者の氏名、年齢が刻まれており、とくに多くの高齢者に混じって母親だろう30代、その子供であろう3歳女子、6歳男子などの名前が並んでいたりすると、思わず肩を落とし、しばらくは想像の母子がこの場所であの日どのような目にあったのか思いを巡らしながらの合掌となる。「生きていればこそ、ヒバリの歌声に心躍り、アヤメの美しさに見とれていただろうによ。」
もうひとつの、ただし書きは、海岸線。異国からの来襲におびえて築き上げた万里の長城よろしく延々と連なる高さ10メートルはあろうかと思われる防潮堤。どれほどの予算が費やされたか想像もできんが、海岸線沿いに近いルートを歩いても、あの青い海にお目にかかれず、もう2度と三陸から白砂青松の景観は拝めないのか落胆せざるを得ない。川という川の岸辺をすべてコンクリートで覆いつくすにも似た愚行であろうが、今の世相は、こんなことでも言いようならば、被災者に寄り添わない、復興に唾する不届き者と追及を受け、炎上するのだろう。
だがよ、誰にだって幸福追求権はあり、生きているうちに「この世は浄土!」といえる風景に、オイラは出会いたいのだし、そう思っている花鳥風月愛好者は、少なくないともいえるのだが・・
名取川河口から仙台市に入り、七北田川河口まで、延々と新しい土盛りの上にサイクリングロードが伸びており、七北田川河口にから対岸の蒲生干潟を眺めたら驚いた。干潟がいったん壊滅したことをわかっていたが、自然の力で再生し、また野鳥の楽園になる日が近いのでは、ちょっと立ち寄っていこうかと思っていたが、
そこも、あの防潮堤によって囲われ、干潟というイメージは全くなく、日本一低い三角点の日和山の位置さえわからず、さらに周りがさらなる土木工事のエリアと化していたものだから、思わず目を覆った。
もう、どうにもなりませんな現状では・・
https://sanrikufukkou.com/2016/10/19/東北被災地「巨大防潮堤」は誰を守るのか%ef%bc%9f-メ/
ルートの途中、多賀城市の東北歴史博物館で開催されていた「最先端技術でよみがえるシルクロード展」に立ち寄る。法隆寺金堂のデジタルスキャンされた釈迦三尊像や焼損した金堂壁画の復元画を楽しむ。
あの和辻哲郎さんが「古寺巡礼」で白鳳の最高傑作と絶賛した阿弥陀浄土図も展示されていた。
阿弥陀様の脇侍として、向かって右が観音菩薩様
向かって左が、勢至菩薩様
それは、女性的であって女性ではない、表情も肢体も人間を超越し、三昧(仏教用語で、解脱した安定した精神状態)に浸った精神状態を現し、人間の姿をかりて現されたものは、「弥陀の浄土」と呼ばれるにふさわしい霊光の美の完全な表現、とまで和辻に語らしめた観音様たち。
さて、浄土はあの世のものか、この世のものか。この浄土図は、あの世のものか、この世のものか。この世のものと思う立場であるからこそ・・・「生きていればこそ・・」と不条理な死で逝ったものたちを思うと悲しみが募る。
博物館を出て、眩暈を起こしそうな初夏のまぶしい光の中、あやめ祭り真っただ中の菖蒲園を通って壷の碑、多賀城祉に向かう。
菖蒲も仏さまたちのように三昧状態であるのか。今という季節。
log(被災状況は宮城県㏋で統一、死者は関連死を含む)
〇 亘理駅から阿武隈橋を経て岩沼駅へ(36535歩)
亘理町被災状況
人口34845人 死者283人 全壊2389戸
*鳥の海、荒浜集落の被害大
〇 岩沼駅から阿武隈橋経由、名取市閖上へ(58921歩)
岩沼市被災状況
人口44187人 死者219人 全壊736戸
*二ノ倉、仙台空港南 総じて貞山堀内側が壊滅
名取市被害状況
人口73134人 死者954 人 全壊2801戸
*死者のうち753人が閖上地区 ほぼ壊滅した町
〇 名取市閖上から仙台市陸前高砂駅へ(40412歩)
仙台市被災状況
人口1045986人 死者923人 全壊30034戸
*深沼海水浴場前の荒浜地区、蒲生地区が壊滅
〇 仙台市中野栄駅から多賀城経由塩釜マリンゲート(38378歩)
多賀城市被災状況
人口63060人 死者186人 全壊1746戸
*砂押川流域が被害
出かける前に、浸水域、壊滅前の集落を航空写真で確認