湯治場から、二日間山を歩いて、拾ったモミジとカエデの類の落ち葉を拾ってきたのを、今朝、湯治場を去るにあたり、三晩お世話になった自炊部屋の座布団に並べた。
かっちりとした同定は困難かもしれないが、この秋覚えたモミジとカエデの名前がすらすらと出てきた。
ヤマモミジ、ミネカエデ、ウリハカエデ、ハウチワカエデ、イタヤカエデ・・これぐらいの名前を覚えただけで、秋の山歩きが急ににぎやかになってきた。目に映る黄色や赤の葉っぱが、「オイラは、イタヤです」「アタイは、ヤマモミジよ」という声が聞こえてきそうだ。急に秋に「知り合い」が増えたみたいだ。
座布団に並べられた、落ち葉たちは、しかし、色合いも形も図鑑の絵とはみな微妙に違っていた。個性がある。ヒトと同じだ。同じ仲間でも、虫に食われて傷ついた顔もあれば、大も小も、顔色も、手足の数も異なるものだってある。ヒトの皮膚がはがれたに過ぎないような葉のそれぞれが、春から秋という短い季節を生き抜いた個性に満足しているように、土に帰ろうとしている。