このコロナ禍で、昨年休業したの営業小屋も、人数制限をするなど感染対策をしっかり施して、今年の再開をアナウンスしているところが多いが、宿泊料金は軒並み2割ほどアップしているようで、これも小屋を維持するためには仕方ないのだろう。
併設するテント場も1000円程度が当たり前となってきたが、それでも(天気さえよければの話だが)、この時代、小屋泊まりより感染リスクが小さくて、場所を選べば絶景を手中に収め、野鳥のさえずりをBGMとし、テントから顔をだせば満天の星空という恩恵にあずかるテント泊まりは、キャンパーにとっては小屋泊まりに比して破格のプライスといえよう。
そこまではいいのだが、南アルプス市観光協会では、運営する山小屋の予約システムを始めた。事前にネットで予約をし、クレジット決済を済ませた者だけが宿泊する権利を有するというもので、テント泊にも同じシステムを適用している。
まあ、山小屋というもの遭難防止の観点から、飛び込みで来た客を拒むことはないと思うのだが、宿泊人数を半減するなどの対策を講じたので、天候悪化によるドタキャンなどによりさらなる収入減を防ぎたいという趣旨なのだろうが、この事前決済制というのに何かしら不安を生じる。
気候変動時代の山岳のお天気、想定外に荒れ狂う日だって「予想?」されるのだが、「少々の悪天が予想されるが、10,000円以上払っちゃっているので、しょうがない出かけるか・・」というヒトが増えないかということ。
というオイラは、6月下旬にキタダケソウ自生地を訪ねたいので北岳に登ろうとしているが、上の理由で断然テント派なのだが、1日900円というテント場は週末を除いてガラガラ空いていたので、2カ所のテント場に今朝予約を入れて900円×2=1800円のネット決済を行った。
予約をしたので、「さあ、子細をつめようぜ」という前向きで安心な気持ちになっている半面、「気象庁が梅雨前線の活発化を予報しているが、1800円もったいないから、しょうがない行くべか・・」と本性(セコイ)のまま計画通りに足を進めてエライ目に遭わないかという不安が交錯している。
ただ、あまりの悪天予報なら、小屋泊まりだったらそうはいかないかもしれないが、1800円程度なら「水に流そう」という気持ちにもなれる、それにテントだったら「雨はイヤだな」という撤退バイアスに働くが、もしかしたら小屋泊まり派は、「雨なら小屋でストーブにでも当たって、あったかいコーヒでも飲みながら山の本でも読んでいようか」と出発強硬バイアスに働くのかもしれない。
なので、気候変動時代の事前決裁制度の山小屋泊まりには一抹の不安を感じる。ましてや、登山者10人・ガイド2人というツアーご一行などは、なかなか中止の判断ができないのだろう。とくに、吹きさらしの雨に打たれそうな森林限界を超えた尾根の小屋間移動は、要注意なのである。
さあ、そろそろ梅雨入り宣言が発せられそうな関東甲信地方の空模様、今夏はどのような異常気象となるのだろう。キタダケソウさんは、わずかの晴れ間に微笑んでくれるのか。
2019年10月、蓼科山頂から眺めた南ア北部の山々
一番左にすっくと聳える日本第二の高峰北岳とその奥の第三の高峰間ノ岳
(手前の甲斐駒と右端の仙丈のほうが立派なのが、少し歯がゆい)