「晴れ、気温10度超える」との予報が出たため、1月最後の日に久々青葉の森を歩く。暖かいといっても、森の中はややひんやりしていて、久々に吸い込んだ森の匂いが冷たいまま嗅覚に触れ、心地よい。それでも、昼を過ぎたあたりから空一面に青空が広がり、すっかり葉を落とした木々の間から陽が射してきてニット帽の中は少し汗ばむくらいだ。
こんな暖かさでは、クマさんもおちおち冬眠していられまい、とすこし不安になるが、さすがに厳冬期にクマ鈴を鳴らすのは臆病すぎるな、とザックのポケットから取り出してザックに括るのはやめる。
「おや!」
あたたかな日差しを浴びた南斜面の登山道の落葉の上を少し大きなアリが一匹ゆっくり足を運んでくる。
「仙台で1月にアリさんを見たのは、生まれて初めてかも。」
家に帰って、ネットの図鑑を調べてみたらムネアカオオアリの♂らしい。5月から10月のあいだに見られ、寒い冬は枯れ木の中や土の中でじっと春を持つそうだ。どうやらアリさんは、イソップ童話の「アリとキリギリス」のように暖かな季節にセッセトとためこんだ食べ物を食べながら冬を越すのではないらしい。クマさんたちと同じように体内にため込んだエネルギーを使わないようにジッとして眠る様に寒い冬を過ごすのだという。ところでアリさんの体温ってどうなのか、これまで気にも留めなかったが、周囲の気温によって変わるのだという。それにしても、素っ裸の彼らって偉いぜ。
「で、この眼のまえをひとりそぞろ歩きしているアリさんって?」
あまりに外が暖かそうなので、出て来てみたのだろう。どこの世界にも好奇心にあふれたせっかち者はいる。それとも、やはり自然の歯車はどこか狂い始めているのだろうか。
植物たちやチョウたちのの仲間でも「スプリングエフェメラル」といわれる早春の妖精たちが現れる日も驚くように早いのかもしれない。二月になったら、足繁く森に入ろう。そろそろ、マンサクも小枝に淡い黄の花をちらつかせるか。
木立の奥に南蔵王の山々が白く映える。今年はまだ、蔵王の樹氷の映像が報じられない。山形蔵王の様子はどうだ。晴れ予報なら日帰りで出かけてみようか。ただしロープウェイ登山ではあるが・・・。
国立大学法人宮城教育大学HPから
正面の屏風岳 左に西屏風岳、手前に水引入道、一番左が不忘山か