天正八年製古刀に装着してある
赤銅鍔(江戸時代初期、鑑定書
付)
平成四年製斬鉄剣小林康宏に
装着してある鉄鍔(古金工師、
安土桃山)
鍔の固定には刀に合わせたガチ
ガチの隙間ない責金を専門金工
師に誂えてもらい、鍔の穴に打
ち込んで嵌め込み、刀身が微塵
たりともぐらつかないように
ギチギチに固定されているの
が望ましい。
装着してある鉄鍔(古金工師、
安土桃山)
鍔の固定には刀に合わせたガチ
ガチの隙間ない責金を専門金工
師に誂えてもらい、鍔の穴に打
ち込んで嵌め込み、刀身が微塵
たりともぐらつかないように
ギチギチに固定されているの
が望ましい。
しかし、緩い鍔を装着する際に、
責金を作りに出さない時はどう
するか。
責金を作りに出さない時はどう
するか。
私は町井勲先生の方法でグルー
ガンを使ってみたが、やり方が
下手っぴなためかうまく行かな
かったので、旧古の方法に戻った。
ガンを使ってみたが、やり方が
下手っぴなためかうまく行かな
かったので、旧古の方法に戻った。
それは、鍔と刀身の隙間に木製
のクサビをキッツキツに隙間なく
きつく打ち込むのだ。
のクサビをキッツキツに隙間なく
きつく打ち込むのだ。
これで鍔は微動たりともしない。
空気斬りだろうが実試斬だろうが
全くビクともしない。ピッタリに
木片を削る技術が必要。
空気斬りだろうが実試斬だろうが
全くビクともしない。ピッタリに
木片を削る技術が必要。
欠点は全バラ手入れの時は、その
クサビは廃棄となり、また新たに
作らなければならない点だ。
クサビは廃棄となり、また新たに
作らなければならない点だ。
また、いずれは緩むので、永久に
は使えない。竹目釘と同じく、
消耗品と考える必要がある。
は使えない。竹目釘と同じく、
消耗品と考える必要がある。
なお、鍔鳴りは大抵は目釘の不具
合から発生する。
合から発生する。
鳴りっぱなしにしておくと、確実
にその緩みのクリアランスは増幅
して危険極まりない事になる。
にその緩みのクリアランスは増幅
して危険極まりない事になる。
鍔鳴りがする刀の持ち主は、例え
模擬刀だろうと、武人の心得無
き者なので、そうした刀振り
の近くには寄ってはならない。
模擬刀だろうと、武人の心得無
き者なので、そうした刀振り
の近くには寄ってはならない。
真剣日本刀で鍔鳴り発生などはト
ンデモない事なのだ。タイヤの
ホイールボルトが緩んだまま車両
を走らせるようなもの。危険過
ンデモない事なのだ。タイヤの
ホイールボルトが緩んだまま車両
を走らせるようなもの。危険過
ぎる。刀の世界では、自覚無
いとんでもさんが多いけど。
いとんでもさんが多いけど。
これは自作の鍛造鉄鍔。
東京在住時代に製作した。
梅の花を彫り込むつもりだったが、
途中で錆付をしてしまった(笑)。
梅の花を彫り込むつもりだったが、
途中で錆付をしてしまった(笑)。
タンニンによる煮込み錆付けだ。
この鍔はツナギの拵に着けている。
定寸の木製ツナギを勢いよく振り
下ろして止めた時、木製刀身が
左右に微動だに揺れないよう
に切り下ろすにはかなりの技
術がいる。
下ろして止めた時、木製刀身が
左右に微動だに揺れないよう
に切り下ろすにはかなりの技
術がいる。
存外、これを出来る人は刀術者で
も少ない。
も少ない。
この訓練は実際の「切り」に絶大
な効果を発揮する。これの鍛錬を
積んだか積まぬかで、実際の切り
のレベルは雲泥の差が出ることは
確実だ。
な効果を発揮する。これの鍛錬を
積んだか積まぬかで、実際の切り
のレベルは雲泥の差が出ることは
確実だ。
が、今ではあまりやる人は少ない。
タケミツなどと馬鹿にしている
馬鹿だらけだから。刀法の運刀の
何たるかに理解が及ばない。
馬鹿だらけだから。刀法の運刀の
何たるかに理解が及ばない。
だが、いにしえの先人剣士はきっ
ちりと斯界の我々後進たちに
残し伝えている。
ちりと斯界の我々後進たちに
残し伝えている。
「桐の木刀で稽古せよ」と。
極端に軽い刀身をブレ無く通常
通り振るのは極めて難しいので
ある。
力を使う限り刀は全く本来の使い
方は不能になるのだ。
通り振るのは極めて難しいので
ある。
力を使う限り刀は全く本来の使い
方は不能になるのだ。
重くて長大で幅広の刀もどきを
振ることなどは簡単なのだ。
ごまかしがいくらでも利くのだか
ら。
素振りでも物切りでも刃筋が狂お
うが鉄の絶対量と重量で畳表巻き
などはそうした刃物では切断できる。
振ることなどは簡単なのだ。
ごまかしがいくらでも利くのだか
ら。
素振りでも物切りでも刃筋が狂お
うが鉄の絶対量と重量で畳表巻き
などはそうした刃物では切断できる。
剣技として全く意味ない。
第一、そんな刃物を差して登
城などしたら咎められるのだ
から。武士はそういう変な
城などしたら咎められるのだ
から。武士はそういう変な
物は使わないし、心得違いの
慮外も起こさない。
慮外も起こさない。
(武術としてあえて大太刀を使う
流儀の剣理はこれら偽物群とは
別物)
流儀の剣理はこれら偽物群とは
別物)
「武士の鍔」としてこれは作った。
ただ、失敗かも。
軽く金属製目釘抜き小鎚で叩くと
チーンと澄んだ綺麗な高音が響く。
チーンと澄んだ綺麗な高音が響く。
鍛造物としては、そうした物は
あまり良くはない。
仏壇前のチーンのようだからでは
あまり良くはない。
仏壇前のチーンのようだからでは
なく、冶金的にあまりよくないの
だ。
だ。
刀も丈夫でよく切れる刀はキーン
ではなくジャランという音がする。
ではなくジャランという音がする。
刀と刀を合わせたら、ガシャン
カシャンという音がする刀が頑丈
だ。キーンはダメ。
カシャンという音がする刀が頑丈
だ。キーンはダメ。
この鍔は、もしかすると、斬鉄剣
での斬撃を受け止めたりすると、
鍔もろとも甲手を切り落とされて
しまうかも知れない。
での斬撃を受け止めたりすると、
鍔もろとも甲手を切り落とされて
しまうかも知れない。
でも、まあ、薩摩流儀のように
「鍔は滑止めの役割」とする思想
も武の世界にはあるくらいだから、
一概に決め付けはできない。馬鹿
な決め付けで思考固定させると
「鍔は滑止めの役割」とする思想
も武の世界にはあるくらいだから、
一概に決め付けはできない。馬鹿
な決め付けで思考固定させると
有象無象のネットにわんさかいる
ホゲタラさんになってしまう。
ホゲタラさんになってしまう。
武は柔軟なり。硬直をこそ一番
忌避する。
忌避する。
理由は明白。思考も動きも、硬直
は死に直結するからだ。バイクの
操縦と全く一緒だね。
は死に直結するからだ。バイクの
操縦と全く一緒だね。