【中国~マレーシア半島原産、江戸時代に渡来】
アカネ科サンタンカ属(イクソラ属)の常緑低木。中国南部~マレーシア半島の原産で、日本には江戸時代前半に渡ってきた。江戸中期の植物学者、小野蘭山の講義録『本草綱目啓蒙』(1803~06年)には「コノ木和産ナク、暖国ノ産ナリ。今ハ琉球、薩州ヨリ来り世上ニ多シ」と記されている。
サンタンカ属は世界の熱帯地方に約400種分布する。その中で「キネンシス」という種が狭義には一般に「サンタンカ」と呼ばれる。赤橙色の丸みのある小さな4弁花で、茎頂に小花が集まって径5~10cmほどの半球状の花房を付ける。名前の「丹」はその花色から。花もちが良く花期は長い。
沖縄では花が年3回咲き、花柄(かへい)が3段になっていることなどから「サンダンカ(三段花)」と呼ばれることが多い。サンタンカ属の1種でインド原産の「コッキネア」は花弁が細く尖った十字型。葉が小さいことから沖縄などでは「コバノ(小葉の)サンダンカ」と呼ばれる。別名「ベニテマリ(紅手鞠)」。
サンタンカはデイゴ(梯梧)、オオゴチョウ(大胡蝶)と並んで「沖縄3大名花」の1つ。宜野湾市の「市の花木」、うるま市の「市の花」にも選ばれている。サンタンカの花色は赤系が一般的だが、白や黄、ピンクなど様々な園芸品種も生まれている。よく似た花に「クササンタンカ(草山丹花)」(別名ペンタス)。こちらは熱帯アフリカ~アラビア半島の原産で、花びらが5枚とサンタンカより1枚多く、先が尖っているという違いもある。