【派手に暴れるほど、その年は豊作になるとか】
奈良県田原本町の古社、鏡作(かがみつくり)神社で21日、五穀豊穣を祈って御田植祭(おんだ祭り)が行われた。最大の見どころは「牛つかいの儀」。田男と共に登場する牛が暴れれば暴れるほど、その年は豊作になるといわれている。この日も拝殿前の〝神田〟で暴れまくった末に足がもつれてひっくり返り、見物客の笑いを誘っていた。
御田植祭は午後1時にスタート。拝殿での祝詞奏上などの神事に続いて、花笠に絣の着物と赤い前垂れ姿の早乙女によって「御田植舞」と「豊年舞」が奉納された。最初の「お田植舞」には小学生のかわいい女の子たちも加わった。この後、御田植祭保存会の白装束の男性陣が鋤や鍬を使って田起こしや畦塗り、もみ蒔きなどの農耕所作を熱演。「腰が疲れる」と腰をさすりながら一休みする場面もあった。
そして注目の牛が田男に引かれて登場。中に入っているのは2人の中高年の男性。深い砂地を中腰の格好ではさぞきつかろう。と、やはり腰砕けのようにばったり。笑いを誘う演出半分だが、そのたびに見物客だけでなく田男たちも笑いをこらえきれない様子だった。「牛つかい」が終わると、横一列になって〝神田〟にいくつもの松苗を置いていった。並べ終えるや「雨や雨や」の掛け声を合図に、見物客は一斉に突進して松苗を奪い合っていた。この後、餅や菓子などが入った御供まきもあった。