【隠した場所98%も記憶! かつてヒマワリが発芽したことも】
わが家の庭にやって来る小鳥のヤマガラ(シジュウカラ科)がせっせと〝貯食〟に励んでいる。軒先に吊るした給餌籠からヒマワリの種を1個くわえては、数メートル離れた木々の根元や幹・枝の隙間、草花の鉢の内側など、あちこちに打ち込んだり差し込んだり。この貯食の習性はオナガやコガラ、ゴジュウガラ、カケスなどにも見られるという。木の実など餌が少なくなる真冬に備えているのだろう。
ヤマガラは隠したヒマワリの種を後で取り出して食べるのだが、何十カ所にも分散した貯食場所を覚えているのだろうか。貯食に触れた本をめくっていると「隠した種や実が忘れられて発芽することもある」という記述をたまに目にする。実際、わが家でも草花の鉢の隅から急にヒマワリが発芽し、ひょろひょろと高さが40~50cmにもなったことがあった。
ただ、柴田佳秀著『鳥の雑学がよ~くわかる本』によると、鳥類学者の樋口広芳氏(元東京大学教授)が伊豆諸島の三宅島でヤマガラの貯食行動を観察したところ、ヤマガラは種や実を隠した場所をなんと98%もの高い確率で覚えていたという。わが家でヒマワリが発芽したのもヤマガラが忘れたのではなく、たまたま暖かい日が続いて取り出す前に芽が出てきたのかもしれない。小鳥たちの脳は実にちっぽけ。だけど、その記憶力には人智を超えるものがあるようだ。