【中国原産、明治初期に渡来し公園木や街路樹に】
クルミ科サワグルミ属の落葉高木。その名は日本固有種のサワグルミによく似て、中国から渡ってきたことに由来する。渡来時期は明治時代の初期。サワグルミが山地の沢筋などに自生するのに対し、シナサワグルミは市街地の公園木や街路樹などとして積極的に植樹されてきた。また一部は野生化していることもあってサワグルミより目にする機会が多い。
サワグルミには花姿から「フジグルミ」という別称があるが、このシナサワグルミも花期の5月頃、黄緑色の長い花穂を簾(すだれ)のように伸ばす。雌雄同株で雌花序は雄花序より長い。雌花は花後、幅が2ミリほどの翼(よく)を左右に持つ実(堅果)を付ける。果穂の長さは20~40cmにもなる。名前にクルミとあるものの、サワグルミもシナサワグルミも食用にはならない。
シナサワグルミの学名は「プテロカリア・ステノプテラ」。日本に渡来してきたときの中国名から「カンポウフウ(嵌宝楓)」とも呼ばれる。よく似たサワグルミとは葉序などに違いがある。シナサワグルミは葉軸にウルシ科の落葉樹ヌルデの葉のように狭い翼が付くのが特徴。サワグルミにはそれがない。またサワグルミが奇数羽状複葉なのに対し、シナサワグルミは先端の頂小葉がない偶数複葉が一般的。ただこれはあくまでも基本で、同じ1本の木で両方の葉の付き方が見られることもあるようだ。