【外来のつる性植物、〝緑のカーテン〟としても人気】
ムクロジ科フウセンカズラ属のつる性植物。中南米や東南アジアの原産で、今では世界各地の熱帯~亜熱帯地域に広く分布する。元々は多年草だが、寒さに弱いことから日本では春まき1年草として扱われる。花期は夏から秋までと長く、つるは3m前後まで伸びる。そのため日除けや目隠しとしてネットやフェンスに絡ませたり、鉢植えで行灯仕立てにしたりする。花後の紙風船のような果実の形が面白いことから生け花の花材として使われることも多い。
花は径5ミリほどの小さな4弁の白花。花が落ちると、三稜形の果実(蒴果)を結び、次第に風船のように膨んで風にゆらゆらと揺れる。指で強くつまむとポンと破裂するので、以前は子どもたちが面白がって遊ぶ姿をよく見かけた。果実は径3センチほどの淡緑色で、熟すと茶色く色づく。中は薄い膜で3室に仕切られ各室に球形の黒い種子が1つずつ収まる。種子にハート形の小さな模様が入るのもフウセンカズラの特徴の一つ。
学名(属名)「Cardiospermum(カルディオスペルマム)」もギリシャ語の「心臓」と「種子」を合わせて付けられた。英名でも「Balloon vine(バルーン・バイン=風船のつる草)」のほか、種子の模様から「Heart pea(ハートピー)」や「Heart seed(ハートシード)」などとも呼ばれる。インドやジャワ島では新芽や若葉を食用にし、中国では薬用として解毒・利尿などに用いられるそうだ。近縁種に鹿児島の奄美諸島や沖縄などの暖地で見られる「コフウセンカズラ」がある。俳句では秋の季語。「あをあをと風船かづらともりけり」(平井昭敏)