【メキシコ原産、丸い蕾状のものは花を包む苞葉】
メキシコから中米にかけて分布するシソ科アキギリ属(サルビア属)の宿根サルビア。花期は秋~初冬で、サルビアの中ではかなり遅くまで咲く。学名は「Salvia involucrate Cav.」。属名サルビアは「救う」や「治療」を意味するラテン語から。この属に薬用になる植物が多いことによる。種小名インボルクラータは「包む」を意味するラテン語に由来する。
草丈は40~150cmと幅があり、茎の下部は木質化する。花は穂状の原種に近いもの、花が球状に集まって咲く改良型、両者の中間的な品種に大別される。ぷっくり膨らんだ蕾のように見えるものは花を包む苞葉(ほうよう)。開花時には剥がれ落ち、先端が唇形になった細長い筒状の合弁花が顔を出す。英名は「ローズリーフセージ」で、この名前で流通することも多い。ローズピンク色の苞葉から「ローズバッドセージ」とも呼ばれる(バッド=bud=は「蕾」の意)。
学名の後ろの「Cav.」は命名者の略記で、この植物の学名をスペインの植物学者アントニオ・ホセ・カヴァニレス(1745~1804)が命名したことを示す。カヴァニレスはマドリード王立植物園の園長を務め、植物園をヨーロッパ有数の植物研究拠点に育て上げたことで知られる。カヴァニレスが学名を付けた植物はこのサルビアのほかにもタチアオイ、キバナコスモスなど数多い。