【中国・インドシナ原産、庭木や生け垣などに】
中国、台湾やインドシナ半島のベトナム、タイなどに分布するアカネ科ハクチョウゲ属(セリッサ属)の小低木。原産地では常緑だが、日本の寒い地域では冬場に落葉する。初夏に葉の脇から白、または淡紅紫色の愛らしい小花をいっぱい付ける。花は1cm弱の漏斗状で、先が5つに裂けて開いた星形。漢名では「六月雪」や「満天星」などと呼ばれるそうだ。
ハクチョウゲは強い刈り込みに耐え病気や害虫も少ないことから、古くから生け垣や庭木などに利用されてきた。渡来時期は不明だが、江戸前期の元禄年間(1688~1703年)に書かれた園芸書『花壇地錦抄』(伊藤三之丞著)や『花譜』(貝原益軒著)などにその名が登場することから、それ以前に渡来していたのは間違いなさそう。学名は「セリッサ・フォエティダ」。海外からの渡来植物なのに「セリッサ・ヤポニカ」(「ヤポニカ」は「日本の」の意)という異名もある。属名「セリッサ」は一説によれば18世紀のスペインの植物学者の名前に因む。
和名の由来について『花と樹の事典』(柏書房発行)は「丁字咲の白花の意味」としている。樹形や花の形などがよく似た植物にシチョウゲ(紫丁花)がある。別のシチョウゲ属に分類されている日本固有種で、7~8月頃、名前の通り紫色の小花を付ける。自生地は近畿南部~四国地方で、川岸の岩の上に生えることが多い。花姿をハギに見立てて「イワハギ(岩萩)」とも呼ばれる。観賞のために盆栽や鉢植えとして栽培されることも多い。
ハクチョウゲの変種に「ダンチョウゲ(段丁花)」と呼ばれるものがある。枝がやや太めで、節と節の間隔が狭くて小さな葉を密に付ける。園芸品種には花冠が二重になるフタエザキハクチョウゲ、八重咲きのヤエハクチョウゲ、葉に白い縁取りが入るフイリハクチョウゲ、紫がかった白花のムラサキハクチョウゲなどがある。「しら土の壁のこはれや白丁花」(既白)。
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