【長崎・雲仙、福岡・直方、宮城・栗原などが「市の木」に指定】
ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)と入れ替わるように、今度は日本在来のヤマボウシが咲き始めた。花の形は十字でまるで手裏剣のよう。純白な花が清楚な感じを与えるが、咲き始めは写真のようにやや緑がかっている。花を空に向けて付けるため、上から眺めたほうがよく観賞できる。
4枚の花びらのように見えるのは、実は花弁を支える総苞片。花そのものは頭状花序で、真ん中に集まった球状のもの。これを坊主頭、4枚の苞を白い頭巾(または袈裟)に見立て、比叡山延暦寺の山法師になぞらえてこの名前が付いたという。ハナミズキに似ているが、ヤマボウシは花びらの形がとがっていることや、葉が出てから開花するといった違いがある。
秋には直径1~2cmの赤い実がなり、紅葉も楽しめる。実は甘くクリーミーな食感。生で食べられるほか、ジャムや果実酒にすることもできる。中国名は「四照花」。実が桑に似ていることから「山桑」の別名も持つ。花の色は白が多いが、薄いピンクの「ベニヤマボウシ」もある。斑入りの「ウルフアイ」、実が大きな「ビッグアップル」、落葉しない「ホンコンエンシス」など、さまざまな特徴を持つ新品種も生まれている。
古くから野山に自生することから「まちの木」にしているところも多い。長崎・雲仙市は「雲仙に広範囲に分布して豊かな自然環境を表し、市民にも親しまれている」との理由で、2006年「市の木」に選定した。福岡・直方市も周辺の尺岳、鷹取山に自生するヤマボウシを、タイサンボク(泰山木)とともに「市の木」に指定。宮城県内で最も広い高原のまち、栗原市も市内に多いヤマボウシを08年「市の木」に選んだ。同市は栗原郡10町村が合併し05年に誕生したばかり。中央に小さな花が集まり秋に1つの果実を付けるヤマボウシに、多くの市民が団結し1つの目標に向かっていくという願いを込めたそうだ。
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