【品種は3万以上、奈良県が球根生産日本一!】
キク科ダリア属の球根植物。ダリアの語源はスウェーデンの植物学者アンドレアス・ダールにちなむ。原産地はメキシコやグアテマラなど中南米の高地で、メキシコの国花になっている。日本には天保年間の1840年ごろ、オランダ人によってもたらされた。和名は「天竺牡丹」。名前の「牡丹」は花がボタンに似ていたためということで分かるが、ではなぜ「天竺」(今のインド)? 江戸時代の命名者が天竺から渡来してきたものと勘違いしたのだろうか。
18世紀にメキシコからヨーロッパに渡り、19世紀に入って各地で品種改良が進められた。その結果、新品種が相次いで生まれ、王侯貴族の間でもブームとなった。フランス皇帝ナポレオンの妻ジョセフィーヌも一時熱中し、社交界で珍しい品種を自慢していたという。品種は今では3万以上といわれる。花の色が多彩なうえ花の形も実に多様。一重のシングル咲き、花びらの縁が反り返った八重のカクタス咲き、球状のポンポン咲き、大輪のショー咲き、平たい花びらが2~3列並ぶアネモネ咲き……。背丈も15cmほどから、皇帝ダリアのように3~5mになるものもある。
花の期間が長いのもダリアの特徴だ。初春に芽を出して花をつけ、真夏前に切り戻し休ませておくと、秋になってまた花を楽しめる。切り花は仏花や生け花の稽古用のほか、最近ではブライダル需要も増えてきた。ダリアは奈良県の特産品の1つで、球根生産量は日本一という。主な産地は県北東部の山添村や宇陀市榛原区。毎年10月ごろ、ダリア展も開かれている。
原産地が高地ということもあって、強い日差しとともに涼しい気温を好む。少し寒冷のほうが花の色も鮮やかになるそうだ。このため国内有数のダリア園も東北地方に多い。秋田市の「秋田国際ダリア園」、山形県川西町の「川西ダリア園」、福島県塙町の「湯遊ランドはなわ・ダリア園」……。このうち山形県川西町は町の花にも指定、ダリアによる町おこしに取り組んでいる。
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