【南アフリカ原産、大正時代渡来のエリカの代表格】
エリカはツツジ科エリカ属の常緑低木で、世界に700種以上あるという。その大半は南アフリカのケープ地方原産だが、ヨーロッパなどそれ以外のものも。エリカの英名はヒース。ただ英国などでヒースといえば潅木が茂る荒涼とした丘陵地ヒースランドを指すことが多いそうだ。そのエリカの代表格がジャノメエリカで、日本にはエリカの中で最も早く大正時代の1920年頃に渡来した。
学名は「エリカ・カナリクラータ」。エリカの仲間では大型で樹高は2mほどになり、よく分枝する枝に小さな桃紅色の壷形の花を無数に付ける。花の真ん中にある雄しべの葯が黒紫色でよく目立つ。名前はその様子が蛇の目模様に見えることに由来する。花期はふつう3~4月頃だが、温暖な地域では冬の12月頃から長く咲き続ける。日本に導入されて以来、伊豆半島南部や房総半島などで花壇や切り花用として栽培されてきた。
エリカといえば若者にとって〝エリカ様〟こと沢尻エリカ(女優・歌手)かもしれない。その名前もエリカの花に因んで命名されたそうだ。熟年者にとっては西田佐知子が歌った『エリカの花散るとき』(1963年)だろうか。「♪青い海を見つめて伊豆の山かげにエリカの花は咲くという……」。エリカの花も品種改良が進んで様々な形や色のものが出回っている。ただ西田佐知子の歌には「うすい紅色のエリカの花」とあり、ヒットした時期からみてもジャノメエリカを歌ったものだろう。「エリカ咲きひかり幾重の真珠棚」(岡本まち子)
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