く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<クララ(眩草)> マメ科の有毒植物・薬用植物

2018年06月17日 | 花の四季

【〝幻の蝶〟オオルリシジミの幼虫の食草】

 正直な話、最初にこの植物名を聞いて思ったのは「なんと洋風のおしゃれな名前だろう」。そして思い浮かんだのが作曲家シューマンの愛妻で、世界初の女性職業ピアニストといわれたクララ・シューマンだった。ところが名前の由来を知って、そんなロマンチックな連想は一瞬に砕かれた。全草が有毒で、とりわけ根の毒性が強く、口に含むとくらくらするほど苦い。だから「クララグサ」と呼ばれ、それが略されてクララになった――。

 マメ科の多年草で、本州・四国・九州の日当たりのいい草原や河原に自生する。日本以外では韓国や中国にも分布する。6~7月頃、長い総状花序を伸ばし長さ2cm弱の淡黄色の花を密に付け、秋になると4、5個の種が入った長さ7~8cmの鞘状の豆果ができる。同じマメ科の落葉高木エンジュ(槐)に似ていることから「クサエンジュ」という別名もある。

 クララはマトリンやオキシマトリンなど有毒のアルカロイド系成分を含む。このため食用にはできないが、根を乾燥したものは「苦参(くじん)」と呼ばれ消炎・鎮痛・利尿・下痢止めなどの漢方薬に配合されている。また根の抽出エキスは抗菌や血行促進、美白、肌荒れ予防などへの効果もあるとして、化粧水や美白化粧品、育毛剤などに使われるようになってきた。

 クララは〝幻の蝶〟といわれるオオルリシジミ(環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠA類)の食草でもある。この蝶はクララの葉に産卵し、幼虫はその花芽だけを食べて成長する。ただクララ自体の自生域が減っていることもあって、オオルリシジミの生息域も長野県と九州の阿蘇地方などごく一部地域に狭まってきた。そこで長野県下では昨年秋、日本自然保護協会が地元の「安曇野オオルリシジミ保護対策会議」と連携し、食草クララの株分け・移植作業を進めた。また阿蘇地方でも東海大学阿蘇キャンパスの学生たちが2015年にクララの生育環境保全のため背の高い雑草の刈り取り作業などに取り組んだ(同キャンパスは翌16年の熊本地震で被災し閉鎖。18年4月一部の農業実習を再開)。


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