言葉のチカラこぶ——『いい言葉塾』

言葉はコミュニケーションの基本。伝えたいことは「言葉のチカラ」できっと伝えられる。もっとうまく伝えられる。

「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その4)

2012-06-20 10:56:38 | 繁盛店物語(創作)
こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日は2回目の投稿です。

このカテゴリーは基本的にフィクションです。
販促経営コンサルタントの本田というわたしの分身を登場させて、様々な経営再生の様子を描写していきます。
内容はフィクションですので、モデルそのものはありませんが、実際に自分が経験したことも混じっていますので、これを読むあなたにもずいぶんと参考になることが出てくると思います。
あなたの経営改善のヒントにご自由にお使いください。
(なお配信は原則毎週1回水曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です)


「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その4)


「わたしの場合はやはりこの小さな医院でも、もう一度子どもの声があふれるような、にぎやかな医院になれればいいなと」

「そうですか。子どもたちの声がたくさん響いてくるようなにぎやかさがいいんですね」

「ええ、嫌いじゃないですからね、子どもは」

「子ども嫌いな小児科の先生、じゃないわけですね」

「いるとすれば、それはそれで不幸ですよね」

「はい。でも僕はそれはそれで、いい面もあると思うんです」

「というと?」

「子どもを単なる診察対象として、冷静に見られるんじゃないかって、まあ個人的ですけど、思うときもありますが、やっぱり相手を好きにならなくちゃね。小売業だって、お客様を好きにならなきゃ売っていても楽しくないですからね」

「ええ」

「さて、と。田代さん、話は戻りますが、なぜ子どもの声が響き渡っていた方がいいんですか。だって考えてみれば、お医者さんが暇なら、その分みんな健康でいいわけですよね。泥棒が少なくて警察が暇なのが、いいように」

「う~ん、乱暴な意見ですねえ、本田さん」

「でもある意味正しいですよね。理想ですけど」

「理想です。プラトンの時代からその理想は実現されてきていませんし、これからも無理でしょう」

「無理です」

「それだから、じゃあ不幸にも病気になっても、この医院に来れば、病気も治せるし、元気になれる、と患者さんにたくさん思ってほしいわけです。別に病気が治せればうちじゃなくてもいいとは思うんですが、どうせならやはりうちで治ってもらいたいですよ。それが人間というものでしょう? わたしの医者としてのプライドでもあるわけですよ」

「なるほど」

「それに、お医者さんにかかると病気って治るんだって、子どもにも思ってもらえて、なおかつあそこに行けば病気でもちょっと楽しいって、そういう医院にしたいんです」

「だいたい分かってきました」

「ありがとう」

「じゃあ今のところでだいたいのことは理解できましたので、提案内容を1週間ほどいただいて考えてきます」

「お願いできますか」

「その前に明日でも結構ですから、一度待合室の状況を見せてもらえますか。どういう状況なのか実際に眺めてみたいんです。その方が現実的な提案ができると思いますので」

「分かりました。明日は9時から始まりますので、その頃来ていただけますか。看護師にも話しておきますから」


<5>へつづく。
(このストーリーは、リアル体験を元にしたフィクションです)

それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。

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「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その3)

2012-06-13 10:14:32 | 繁盛店物語(創作)
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「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その3)


「まずだいたいの今までの患者さんの、呼びやすいので患者さんと言いますね。この前の講演の時は患者さんでなくてお客様なんだと言いましたが、この時点では患者さんと言った方が話が早いと思いますので」

「はい、わたしも患者さんの方が呼び慣れていますので」

「患者さんは、もちろん小学生が中心ですよね」

「そうです」

「じゃあ、やはり少子化で、患者さんそのものが減った、ということですか?」

「それもありますが、それに反比例して、同業者が増えたことともあります」

「なるほど、二重の意味で患者数が減ってきた、ということですね」

「ええ」

「今までじわじわと減ってきたと思うんですが、気づいてから、何か手は打ちましたか?」

「いえ、子どもの絶対数が減る中で、同業者が増えたのですから、患者数が減るのは仕方ないとは思っていました。まあ経営的にはぜんぜん問題はなかったですから、つい最近までは」

「最近までは?」

「ええ。でもここに来て急に減りだしたのは、やはりほかにも原因があるんじゃないかというようにも思っていたところで、ちょうど先生のお話をたまたま聞いたものですから………」

「じゃあまあタイミング的には、ちょうど良かったですね。これ以上減っていくと、経営にも響いてくるでしょうから」

「ええ、本来でしたら、わたしどもは患者の病気を診察して、しかるべき処置をして、治せるものなら治してあげるという、まあ上から目線の職業でしたし、ちょっと前まではそれでも先生お願いしますと言ってきてくれたものだから、いい気にはなっていたんでしょうね。でもここまで減ってくると、ちょっと危機感も出てきましたね、正直言って」

「う~ん、そうですよね。わたしも最近になって、この前の講演で言わせてもらったようなことに気づくようになった、というのが正直なところです。それまではやはりお医者さんと言うと、絶対につぶれない職業だと思っていましたし、聞くところによると、1日3人ほど患者さんがあれば、それで贅沢言わなければ十分やっていけると。現にわたしの家族がお世話になっていたお医者さんなんかそんな感じで、いつも患者さんがそんなにいなくて、いつ行ってもがら~んとしていましたが、結構のんきそうに患者さんが来たら奥の方から出てくるような、そんな感じでもやれていたようですからね」

「そうですか、そんな方もいらっしゃったんですね。でもやはり医者ですから。患者さんを治してなんぼ、ですからね、下世話な話」

「そうでしょ、それでいいんじゃないんですか。きちんと治してさえすれば」

「無理な場合は、設備だって町医者では限られていますから、患者さんにとっても、もっと設備の整った大きな病院で精密検査を受けた方がいいと思ったら、即躊躇しないで紹介していました。今までですから誤診らしい誤診はしたことはありません」

「そうですか。それではそろそろ本題に入っていきますか。いったい田代さんはこの医院をどのようにしたいのですか? それによって答えは違ってきますから」




<4>へつづく。
(このストーリーは、リアル体験を元にしたフィクションです)

それでは今日はこれで。
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「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その2)

2012-06-08 10:25:48 | 繁盛店物語(創作)
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「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その2)



本田のデスクの電話が鳴った。

「はい、本田です」

「あ、初めまして。私、先日先生の話を聞いていたものです」

「ありがとうございます。ええ~と、いつの話? でしたっけ。すみません」

「あ、こちらこそすみません。先生が医師会で話された医院経営のついてのお話です」

「ああ、あれ、ですね。じゃああなたはお医者さん、ドクターですか?」

「あ、申し遅れました、わたし○○市で小児科医院を開いている田代といいます。よろしくお願いします」

「はい、いいえ、こちらこそ。それで?」

「先日の先生のお話を聞いていて、なるほど今は開業医は病気を診ているだけじゃだめなんだなあということがよく分かりました。それに先生がおっしゃった患者さんは患者であり、お客様なんだということですね、そう考えなくちゃこれからは患者さんも増えていかないということでしたが、なるほどなあと感心しました」

「そうですよ、本当に。でも今までほらお医者さんて、病気を治してやるんだ、というような感じで偉そうにしている人が多かったじゃないですか。でも考えてみれば、お医者さんもけがや病気の治療をしてその対価を患者さんからもらっているわけで、そう考えるとお店の経営と同じなんですよね。とまあそういった長いお話はお会いした時にしたいと思いますが、そういったご相談ですよね、ええと田代さん、でしたっけ?」

「はい、そうです」

本田は、田代院長に会う日を約束した。



大橋小児科は○○市の大橋町というところにあった。

なるほどなんで院長が田代という名前なのに、大橋なんだろうと不思議に思っていたが、分かってみると簡単なことだった。

自分の住んでいる町名を医院の名前にするということは、少しは街に貢献したい、地域密着で治療をしたいという現れだなと、自分なりに本田は考えた。

もちろんそれほどきちんと考えてつけた名前ではなく、何となくただ大橋町にある医院だし、自分の名前をおおっぴらに出したくないというだけのことで、つけただけのことかもしれないが、その名前でよかったと思う。

それだけでも地域に奉仕したいということが出ているんだから、と本田は考えた。



訪ねた日は休診日だったので、もちろん5台ほど車が駐められる駐車場には車は一台もなかった。

田代自身の車を置く駐車場は別にあるのだろう。

お医者さんはよくベンツなどに乗っているので、患者(おっとお客様だ)と一緒にするとよくないわけだ。

空いている駐車場の一番端に車を止めて本田は自宅の方に向かった。

あらかじめ電話では自宅でお話をということだったので、できたら待合室も見たいと思っていたが、それはまあ後にゆっくりと見ることにして、自宅に伺った。


「あ、先生。よくいらっしゃいました。今日はありがとうございます」

「こちらこそよろしくお願いします。あの、すみません、先生から先生と呼ばれると何だかちょっとこの辺がかゆくなってきそうなので、本田と名前でお願いできますか」

「あ、そうですか、つい、先生と………」

「よく言われんですが、僕自身先生と呼ばれるほどのものじゃないので、いつも名前で呼んでいただけるようにお願いしています」

「はい、分かりました」

「じゃあ早速、本題に入りましょうか」



                                   つづく


<3>へつづく。
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「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その1)

2012-05-30 09:55:25 | 繁盛店物語(創作)
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今週からまた新しい物語が始まります。


「患者さんが減っていくーーある開業医の苦悩」(その1)




「あ、こうちゃん、おはよう。清水さんお早うございます。どうしたのこうちゃん? お熱でもあるの」

「あ、いえね、夏休みでしょ。こうすけがここに遊びにきたいっていうのよ。ごめんなさいね。病気でもないのに、押し掛けて」

いえ、とんでもない! 元気が一番ですからね。ね、こうちゃん、何したいの、ここで?」

「うん、あのねえ…………」


大橋小児科医院の朝は、こうした元気のいい挨拶が待合室から響いてくる。



しかしつい1年ほど前の待合室の雰囲気は、まるで活気の感じられない、病気の持つ元気のなさを象徴するような、どんよりとしたものであった。

それがなぜこのように明るく活気のある待合室にできたのだろうか。

それは………。



院長の田代先生は、診察中は何とか笑顔を見せているが、少ない患者の診察が終わると、その笑顔は困惑顔に変わる。

父親の医院を継いだのはいいが、患者さんはこのところ減る一方だ。

確かに同じ科目の医院も増えた。街中を車で走っていても、◯◯医院△△科という文字が、気にしているせいか、よく目にするようになった。

自分の腕が悪いということはないはずだ。

やってきた患者の病気にはきちんと対応しており、手におえない病気だと分かると専門科のある大きい病院へ行くように進めている。

何が悪いのか分からない。

じわりじわり、ゆっくりとしたスピードだが、患者の数が減ってきている。

それは毎日診察していると分かる。

あるとき、今日はなんだか午前中の患者が少ないなと思った。

そのとき初めて気がついたのだ。

そうだ患者が少ないのは今日に始まったことではない。

このところずっとこんな状態だ。

それまではだいたいお昼の1時までは途切れずに診察できていた。

それがいつか12時半頃で切れるようになり、12時になり、11時になり、今日などは10時半には途切れてしまった。

そういえば、昨日も11時頃で途切れた。

ひどいときには午前中5、6人ほどしか診察しない日も最近ではあったような記憶もある。

いったいどうしたのだろう。

学会で出かけたときなど、仲間と話をするが、みんな一様に患者が減ってきたという話になる。

やはり少子高齢化という見逃せない時代の流れもあるだろう。

それに輪をかけて、新規に医院を開設する医師も増えたからだ。

このまま行くと共倒れになってしまう。

どうしたらいいのだろう。



そんな悩みが尽きないとき、田代はある話をセミナーで聞いた。

そのセミナーは、病気の治療という専門を離れて開催された医院経営についてのセミナーだった。

講師は、たとえ医院といえども患者さんはお客様であり、患者さんで医院内を溢れさせるには、それなりの集客の方法を用いないと、この時代は難しい、
というものだった。

半信半疑で田代は、そのセミナーの講師の事務所に話を持ちかけた。

「先生のおっしゃっていたことは本当ですか。医院も小売店とまったく一緒だ、お客様を集めるためにはそれなりのツールを用いないといけない時代だ、
医者の腕だけではもう患者さんはやってこない、というのは」

「ええ、残念ながらその通りです。時代がそうなってきているんですよ」

田代は、このコンサルタントのアドバイスを受けてみようと思ったのは、コンサルタントに電話した翌日、ある話を患者さんが待合室でしていたのを耳にしたからだ。

「最近◯◯さん見ないけど、どうしたんでしょうね」

「何でも、三丁目にできた新しいお医者さんのところに行ってるらしいわ。サービスがいいからって」

「あら、でも、まだそのお医者さん、若いようだし、腕の方大丈夫なのかしら」

「だって、どこに行ってもほとんど変わらないじゃない、今は」

「まあ、そうねえ………」

その日のうちに田代は、コンサルタントに依頼の電話をした。





                                        つづく


<2>へつづく。
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「時代においていかれたテーラーの復活」(その5)

2012-05-23 10:50:01 | 繁盛店物語(創作)
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「時代においていかれたテーラーの復活」(その5)


「ちょ、ちょっと待ってください。何もそうすぐにやめるなんて」

「わたしは今大岡さんができることで、すぐにでも、少ないですが、お金が入ってくるようにという思いで考えました。はっきり言ってもし大岡さんがもっと若ければ、ほかのことも考えたでしょうが、今の大岡さんの現状を考えた場合の最適な方法を提案したんです。それを、起こってしまったら、取りつく島もないじゃないですか」

「わたしもね、ほんとはわかってるんですよ。言われなくってもね。でもやはり自分の思っていることをずばっと他人から言われることほど、情けないことはないじゃないですか」

「………」

「わかってますよ。一度ぐらい意地を張らせてくださいよ。お客さんにはこんなこと言えないし、できないんですから」

「はいーーー」

「わかりました。今の自分の技術を活かすとなったら、そういうことですよね」

「大岡さんわたしが提案するのは、単なるサイズの変更とかの直しをするというのではなく、もちろんそれが主となるでしょうが、もうひとつ大事な仕事があるんです。それは大岡さんならではの技術がものをいうんです」

「どんなこと?」

「着物なんかはいろいろなものに作り直しできますよね。お母さんが着ていたものを娘さんにあげる場合、ちょっとサイズを直したりします。着物はそういったことが可能な作りになっています。さらには着物の糸を抜くと、また元の反物になり、それが布団のカバーに変身させたりできます」

「ええ………」

「洋服だって、着ていた人がすごい思い入れがあるものがあるはずなんです。お母さんがその生地を使って子供の服に仕立て直したりすることもあるんです。それですよ、それ。タンスの中に眠っている宝物をもう一度活かしませんかという問いかけで始めるんです。いわば今流行のリサイクルですね。リサイクルに対して抵抗のない時代がきているんです。みんな抵抗がなくなってきています、リサイクルに対して。
でも単なるリサイクルじゃつまらないから、大岡さんのところでは、宝物を新しい宝物に変身させるというリサイクルですから、楽しい、嬉しいリサイクルということもできます。想い出を親子で共有しようというような感じで訴えていこうということなんですね、わたしは大岡さんに提案したかったリフォームとは。
もちろん中心ほとんどいわゆるお直しだと思いますが、それさえ、今の時代に貢献しているんだという意識でやれば、大岡さんのモチベーションだって違うと思うんです」

「そうかリサイクル、ねえ」

「ものを大事にしようという風潮もあります。これは大岡さんなどの技術を持っている人にとっては朗報ですよ。昭和後半の大量消費時代じゃないんです、今は。こんな時代だからこそ、今持てる技術を活かせる時じゃないですか」

「わかったよ、本田さん。怒って悪かった。教えてくれ、これからどうすればいいか。本気でやってみるよ、洋服のリフォーム」

「大岡さん。何もわたしはテーラーを捨てろとは言ってません。このわたしがこれから具体的なことを提案していきますが、こうして今までとは違ったお客様が増えてくると、そういった中から、新しいテーラーの仕事も出てくると思うんです。それもあっての、今回の提案なんです。とにかく、大岡というテーラーがここにあるということ、その存在を今までとは違ったお客様に提示することで、名前も新しく知られてくるということもあります。それも狙いなんです。がんばりましょうよ」

「ああ、ありがとう。がんばってみるよ」



それから本田は、今回の骨子を大岡に提案していった。

本当に本田の意図通りになるかどうかは、それは一にも二にも、当の大岡本人にかかっていることだ。

もちろん軌道に乗るまでのバックアップも、本田の仕事ではあるが。





                                    この項おわり



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「時代においていかれたテーラーの復活」(その4)

2012-05-16 15:05:23 | 繁盛店物語(創作)
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「時代においていかれたテーラーの復活」(その4)


本田は事務所に帰ると、以前インタビューしたことがある、大岡にも話した、特定の顧客を獲得して成功しているテーラーのインタビュー記を読み返してみた。

そこからは大岡に向けて出す提案は出てこなかったが、今の状況だけは再度把握することができた。

大岡には、上記のようなテーラーとして再出発するようにという提案はできない。

置かれている状況が全然違うからだ。




折しも、百貨店やショッピングセンターでは、今ちょうど夏物のバーゲンセールをやっている。

本田は妻のショッピングに同行した。

もちろんバーゲンセールがお目当てだ。

本田も夏物の、仕事ではくズボンが欲しいと思っていた。

そうして、妻の買物につき合いながらも、自身もあるショップでズボンを1本手に入れた。

そのショップでは、定番のものなら裾あげはサービスになっているが、バーゲン商品は裾上げ代が別にかかる。

仕方がないので、それは町にあるリフォームショップでやってもらうことにして、ズボンをそのまま持ち帰り、翌日近くのショッピングセンターに入っている、あるチェーン化しているリフォームショップにズボンを持ちこんだ。

その店では、受付の奥で数人の女性が盛んにミシンを操作して、指定されたリフォームをやっている。

「あ、そうか。これだ」と本田は思った。

大岡のように洋服のいろはをよく知っている技術者が、これをやると信頼感が出て、ヒットするんじゃないかと感じた。

町のリフォーム屋さんでは、パートの奥さんたちが片手間のように作業しているが、この作業を大岡のような熟練者が店でやっているとなると、安心感があるはずだ。


提案のコンセプトが固まった。

『洋服づくりの匠が、あなたの要望に120%応えます。』

これだ。

お客様が持ちこんだ洋服のリフォーム依頼を、期待以上の出来でお渡しする。

それができるのは、もともと30年以上のテーラーとしての腕があるからだ、というわけだ。



このコンセプトをもとに、それから数日後に本田は大岡を訪れた。

しかし大岡の技術者としてのプライドが、その本田のプランを拒否した。

今さらそんな、大岡に言わせれば、片手間のような仕事はできない、と拒んだ。

「大岡さん、あなたは片手間としか考えないが、お客様は違う。大岡さんとこに持ってくるお客様の洋服には、きっと強い思い入れがあるものかもしれないんです。だって、だからこそ大岡さんのような確かな技術を持った人にリフォームしてもらいたいんですよ」

「わたしはこの腕一本で、今までテーラーとしてジャケットやスーツを作ってきたんだ。今さらどうしてそんな中途半端なことが出来るというんだ!」

「中途半端? 中途半端とは失礼じゃないですか」

「わたしにとっては、きちんと生地から1着仕上げてこその仕事なんだ」

「その仕事がなくなったから、私に依頼したんじゃないですか?」

「だから、あんたに頼めば、何か自分が持っている技術を活かせるようなものを提案してもらえるんじゃないかって思ったからだ」

「大岡さん、世の中にハイこれですって、ぱっと提案できるような新しい仕事なんてありませんよ。どんなに新しく見えても、それは今までの仕事の延長線上で考えだされてきたものばかりです。大岡さんの技術を活かせて、地域のお客様に貢献できることを考えたとき、大岡さんにはこれだ、とわたしは思いました。とてもいい仕事ではないかなって思いました。それをあなたは中途半端仕事だとしかと思わないのなら、仕方ないですね。わたしは手を引きます」



                                      つづく


<5>へつづく。
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2012-05-09 10:32:11 | 繁盛店物語(創作)
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「時代においていかれたテーラーの復活」(その3)


「ほら一風変わったジャケットとか、デザイン的に凝ったものとか人とは違ったものを着たいという人はほんの少数ですが、日本中にいるわけですよ」

「わたしも以前はたまにですが、頼まれたことありますよ。でも型紙がないので、苦労しますよ。その分新しく型紙から作るわけですから、まあ型紙ですからたいていは新しく作るわけですが、それでもパターンがありますから簡単なんですが、そういった一品ものの型紙はなかなか簡単には作れませんからね」

「そういった人たちを相手にすれば言い訳ですよ。ほかにもやはりどの店のサイズにも合わない体型の人もいるわけで、そういう人はオーダーしか頼ることができないわけですね」

「でも今じゃどこかに行けば身体に合う服なんて、あると思いますし、セミオーダーでそれもほとんど解決しますよ」

「それじゃ嫌なんですよ、そういった人は。だから自分なりにオーダーしてくるわけです」

「でも、町にはもうそんなオーダーを受けるところがない」

「そうです。だからインターネットで探すわけですよ」

「なるほどねえ。インターネットかあ」

「でもそれじゃサイズが測れないじゃないですかって聞いたんですよ。素朴な疑問として」

「サイズなんて、決まったところをはかるだけで、どんな人にも合うものが作れますよ」

「そう、そうなんです。同じこと、言ってましたよ、その人も」

「そうか、こちらが指定したところを自分ではかってもらうわけか」

「きっちり測らないと身体にフィットした服が作れないと考えるのは、素人さんらしいですね」

「そうです。服のサイズは幅が合って、ある程度合っていれば、不思議とその方が身体にフィットするんですよ」

「そう言ってましたね。あまりその指定したサイズで作ってしまうと、合わないんですってね、スーツなんかは」

「だからインターネットでも十分注文可能ってわけか。なるほどね」

「そうです。そういうことに特化したら、まだまだやっていけるわけですよ。テーラーさんも」

そこで大岡はちょっと顔をしかめた。

「でもわたしはコンピュータは、恥ずかしながらほとんど使えません。できないですね、わたしには」

本田は、大岡の思い込みを否定するように言った。

「何も大岡さんにそれをやりなさいって言うわけじゃないですよ。わたしが大岡さんならこういうことがやれるんじゃないかって思うことも今ありますけど、今日のところは大岡さんの思いやらどういったことならできそうかってことを聞き出すだけです。提案は今度訪問した際にしますから、今は現状と、
自分が思っていることをお話ししてください。後であのときはしゃべり過ぎたかなって思うぐらいに」


それから本田は、相づちを打つぐらいで、ほとんど大岡にしゃべらせた。

もうやめてもいいとも思っているが、やはり生き甲斐として、まだまだ手足が動いている間は、仕事をしていたいんだということが一番の強い思いのように、本田には感じられた。

その思いが、老けさせないひとつの手段でもあるのだろう。

それから1時間ほどが過ぎた。

大岡の話もだいたい煮詰まってきたようだった。

「それじゃ、だいたい大岡さんの思いも理解できました。今のお話を充分頭に入れながら、大岡さんらしいやり方でこの仕事を続けていける方策を考えてきます。そうですね、2週間ほどいただけますか」

「はいどうぞ。今さら慌てませんから」

そう言った大岡の笑顔には、何だか今までどんよりと目の前で曇っていた空が晴れたような気持ち良さがにじんでいるように、本田には感じられた。

本田は次回の約束の日取りと時間を決めて、店を出た。



                               つづく


<4>へつづく。
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「時代においていかれたテーラーの復活」(その2)

2012-04-25 10:26:23 | 繁盛店物語(創作)
こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日は2回目の投稿です。

このカテゴリーは基本的にフィクションです。
販促経営コンサルタントの本田というわたしの分身を登場させて、様々な経営再生の様子を描写していきます。
内容はフィクションですので、モデルそのものはありませんが、実際に自分が経験したことも混じっていますので、これを読むあなたにもずいぶんと参考になることが出てくると思います。
あなたの経営改善のヒントにご自由にお使いください。
(なお配信は原則毎週1回水曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です)


「時代においていかれたテーラーの復活」(その2)


隣の市まで車で約1時間かかる。

本田はその道のりが嫌いではない。

市内を通り過ぎると、田園風景が続き、あるところでは、大きいショッピングセンターの傍を通るところもある。

本田が通る頃はまだ開店間際であり、ウイークデーでもあるので、道路もそれほど混まない。

道路をある程度走り慣れてくると、ある面白いことに気がついた。

それは同一企業が運営するガソリンスタンドでも、地域によって差があるということだ。

ガソリンスタンドの多くは、その日のガソリン価格を大きく表示している。

そして、同じ会社の経営による店がその沿線に3店舗ある。

その3店舗のガソリンの価格表示が、隣の市に近づくにつれ1円ずつ安くなるのだ。

さらに、隣の市内に位置する同じ経営のガソリンスタンドでは、まだそれよりも1円安い価格で営業している。

これほど地域差がよくわかる商売はないのじゃないかなと、その表示を見るたびに本田は思う。

それがその会社の経営方法なのだといってしまえばそれまでだが、本田はそのフレキシブルな対応には、他の商店の経営方法にも通じるところがないか、
一度検証しようと思っている。

それにしてもガソリンは高くなった。

大震災後その高価格をずっと維持したままだ。

いい加減に後20円ぐらいは安くなってもらわないと、車での移動費がかかるりすぎるのだ。



まあそれはさておき、話を元に戻そう。

大岡を訪ねたのは、この夏最初に猛暑日を記録した暑くてじめじめとした日だった。

エアコンは節電の指導通り28℃設定にしてある。

しかし部屋の中で作業していると、汗が出る。

そんな中を本田が訪ねた。

暑い日向からその店の中に入っても、いっこうに汗が引かない。

人一倍暑がりの本田の背中はもう汗で下着が濡れている。

そんな中、話を始めた。

「もうわたしも72歳で、年金ももらってるから引退すればと、妻や親戚、友達なんかから言われているが、まだ動ける限りは仕事をしていたいんですよ。せっかく技術を持ってるんだから、もったいないじゃないですか」

「確かに。せっかく持っているものを活かさないなんてねえ。もったいないとわたしも思いますよ」

その通りだ。本田も相づちを打った。

「でも技術を持ってるのに、その技術を活かせる仕事そのものがなくなってしまったんですよ。ほら青山とかアオキとか、ああいった量販店が出てきてから、今までうちで作ってくれていたお客さんが、ほとんどそういった店に行ってしまいましたからね。まあしょうがないと言えばしょうがないです。あちらの方が自分に合った服が簡単に着れて、簡単に買えるんですから。安いしね。あんな値段じゃ、うちだったらやらない方がいいぐらいですよ、赤字です。時代なんでしょうね」

「はい、それはそれで、そういったものを求める人たちが大勢いるということですから………」

「そういうことだよね。それでも会社の部長とか社長クラスだとやっぱりああいったところで服を買う人は少ないですから、そういったお客さんはまだまだうちをひいきにしていてくれたんですが、それもほらやはり現役のうちですから。会社を辞めるともうそれほどあつらえた服なんて必要なくなるしね」

「そうなんですよね。お客様も一緒に年を取るということ、ですね」

「結局一緒に年を取っていくものだから、お客様もどんどんいなくなっていった、というわけです」

「しょうがないですよね。それにその下の年代のお客様ということになれば、スーツや背広はアオキや青山のものでいいという、あまり服装に関心のない人ならそれで十分だと感じますし、ファッションに興味のある人は、好きなブランドを選んで、そのブランドの服か、ひとつのスタイルを好んで着ますからね。わたしなんかも、オーダーじゃなくて、トラッド一筋ですから、着るブランドが決まっていますから」

「そうでしょう。もうわたしのようなテーラーはそれほど必要とはされていないんですよ、実際のところ」

「一般的にいえばその通りでしょうね。でもテーラー専門で立派に店を広げている方も実際にいますよ。その方はお客様の対象を一般の方にはしないで、
必要なお客様を選んで結構やられていますよ」

「どういったお客様を?」

「それは………」



                                つづく



<3>へつづく。
(このストーリーは、リアル体験を元にしたフィクションです)

それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。

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「時代においていかれたテーラーの復活」(その1)

2012-04-18 10:40:04 | 繁盛店物語(創作)
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「時代においていかれたテーラーの復活」(その1)


今回の主役は、世に言うところの高齢者だ。

しかし仕事に対する意欲はまだまだ衰えてはいない。

身体が動く限りは仕事を続けていきたいと笑顔で語る、そんな人が主人公である。



大岡義男72歳。

現在も紳士服仕立て専門店としてやっている。

親の代から数えれば、この仕事は60年以上にもなる。

自分だけでも40年近いキャリアになる。

しかし、ここに来て閉店せざるを得ない状況に陥っている。

下請け業者を含めると、この市の約3分の一のシェアを占めている有名自動車の本拠地であり、盛事には、その関係会社の部課長クラスからの仕立て服の注文で、眠る間のないほどの忙しい日々も、過去の物語としてあった。

しかし近年紳士服の量販店が日本中を席巻している。

この市でも例外ではなく、テーラー大岡に発注されていたスーツの大半が、その量販店の扱いにと変わっていった。

それは時の流れとして逆らえないものであった。

しかしテーラー大岡は比較的各企業の重役クラスが得意先に多かったために、量販店が郊外にどんどん進出し、そのシェを奪っていっても、なかなか最初は売り上げも落ちなかった。

しかしそのために対応が遅れたという見方もできる。

気がついたときには得意客であった重役クラスが相次いで退職し、新しくスーツを仕立てる必要もなくなってきた。

そこに来ての構造不況がさらに追い討ちをかけ、今や青息吐息であった。

妻とも話し合い、店を閉めようかというところまで行った。

そんなときに、商工会議所の紹介で、販促関係の経営コンサルタントをしている本田という、となりの市で主にコンサル活動をしている人と出会った。

本人曰く、年はとっているが、まだまだ駆け出しのコンサルで、皆さんに迷惑をかけているところもあると、正直に話してくれたところも気に入った。

大岡が思い描いていたのは、経営コンサルタントという職業の人は、ちょっと鼻持ちならない偉そうぶる人で、あまり近づきにはなりたくない人種だという印象を持っていた。

しかし何気なく話をしているうちに、本田という人物は偉そうぶるところがひとつもなく、大岡の現状を真摯に聞いてくれている印象があった。

そこで大岡は賭けてみることにした。

そして、なけなしの予算をはたいてコンサルをお願いすることにしたのだ。

料金は通常本田がやっているコンサル料金の三分の一以下だった。

本田も、大岡の窮状を聞き持ち出し覚悟のコンサルを引き受けることにした。

それは本田もそのまま持ち出しするのではなく、自身の実験として、そのテーラー大岡を立て直すことができたなら、また一つ自分の自信につながると考えたからだ。

そうなるとその三分の一以下の予算であっても、苦にならないと考えたからだ。

しかし、時間だけは本田の空いているときで良いということにしてもらった。





                                つづく


<2>へつづく。

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「マニュアルレストラン」

2012-04-11 11:04:56 | 繁盛店物語(創作)
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「マニュアルレストラン」



自動ドアが開くと、すぐに店員の声が響いた。

「いらっしゃいませ! ○○へようこそ!」

なに、たまたまここに、このレストランがあったから入っただけで、わざわざここを目的に来たわけではない、と本田は胸の中で言った。

腹が減ってきたから、何か、なんでもいい、足しになるものをとにかく腹の中に入れておこうと思ったら、たまたまこの店の看板が目に入っただけのことだ。

「少々お待ちくださいませ。お客様、お一人様でしょうか」

ああ見た通りの一人だ。

本田は頷いた。

「それではお席にご案内いたします。お客様、煙草はお吸いになりますか」

「いや」

「それでは禁煙席でよろしいでしょうか」

「うん」

「それではこちらにどうぞ」

ああ、やっと席に座れた。

何でさっさと客に選ばせてくれないのだろう、この手のレストランは面倒くさいなあ、とあまりファミレスにいかない本田は思った。

「こちらが季節のメニューになっています。そしてこちらがレギュラーのメニューです。お決まりになりましたら、こちらのボタンを押してください」

はい、はい、と。

なるほど、季節のメニューか。

うん。

でも、まあ、考えることは考えてるけど、食べてみたいと思うようなメニューはないなあ。

こり過ぎなんだよなあ、最近は。

他所と違った季節メニューなんてことばかり考えてるから、結局へんてこなものになってしまうんだ。

やっぱり定番メニューがいいや。

「あ、すみません」

ちょうど通りかかった店員に、本田が声をかけた。

「あ、はい?」

「あの、この」

「申し訳ございません。そのボタンを押して係の者をお呼びください。すぐにまいります」

彼女はにこやかに返事をすると、そそくさと離れていった。

何だよ、いいじゃないか。

それがマニュアル通りなのか。

別に他のテーブルの皿を持ってるわけじゃないのに。

えい!

本田は少し頭にきて、強くボタンを押してた。

カウンターの方でピンポンッと鳴ったのが本田の席まで聞こえてきた。

すると、なるほどすぐに係員がやってきた。

しかしやってきた店員を見ると、先ほど下がっていった彼女だった。

なんだ、さっきの奴じゃないか。

そんなことならその場で聞きゃいいじゃないか。

客を馬鹿にしてるのか。

注文を打ちこむターミナルを持ってこなくたって、注文のひとつやふたつぐらい覚える頭があるだろうが。、という腹立ちまぎれの声は封印して、本田は注文に入った。

「ハンバーグランチください」

「はい、和風、ハワイ風、フランス風、北海道風、イタリア風がありますが、どちらになさいますか」

えっ、えっ、そんなにあるのかよう。

俺、普通のが食べたいんだけど。

「普通ので」

「普通と言われましても。すみません、和風、ハワイ風、フラッ」

「ちょっと待って」

本田ははあわてて止めた。

また全部繰り返されたらさらに長くなる。

「いいよ、和風で。それが普通なんだろ、たぶん」

「いえ、普通というのはありません。当店のハンバーグは、和っ」

「ストップ! いいよ、だから和風で」

「はい、かしこまりました。ただいまランチはライスの大盛りサービスをしていますが、いかがでしょうか」

「うん、じゃあ、大盛りで」

「はいかしこまりました。お飲物はコーヒーと紅茶が選べますが」

「コーヒー」

「すぐにお持ちしますか、それとも食後に」

「食後」

もういいから、早くしてくれよ。

腹減ってるんだよ。

本田は、これもすべて腹の中に収めた。

それだけで何だか腹がいっぱいになりそうな感じだ。

「かしこまりました。それではご注文を繰り返します。和風ハンバーグランチお一つ。ライスは大盛り。お飲物はコーヒーを食後に、ですね」

そうなんだけど、間違いはないけどぉ。

どうして大きな声で言うの?

俺が注文した者がみんなに分かっちゃうじゃない。

なんだあいつ、ごちゃごちゃ文句言ってるわりは、580円のハンバーグランチかい、なんてね。

いやだなあ。

ほら、あの窓際にいる中年の女なんて、露骨に俺の方を見て変な顔してる。

なんで、客の俺の方が小さくなんなきゃいけないんだろ。




しばらくすると、ハンバーグがやってきた。

大盛りライスもついている。

本田はそそくさと脇目も振らずに、口に押し込んだ。

味なんてもうてんで分からない。

ただ単に空きっ腹を満たしただけ。

「ありがとうございました。またどうぞ」
と言うマニュアルの笑顔で送られて、本田は逃げるように店を出た。

もちろん、もう二度とこのレストランには来ないし、このチェーンの他の店にも行かないつもりだと、本田はこれだけは最後に口に出していった。



                                      おわり



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「ホームページのない宿」(2)

2012-04-04 13:40:37 | 繁盛店物語(創作)
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「ホームページのない宿」(2)


いつしか、その話を聞きたいためにやってくる客が増えてきた。

そしてそのことが旅の雑誌で紹介されたことで、急に客が増えてきた。

そしていつしか、予約の取れない一軒宿の温泉として有名になってしまった。

もちろん、ホームページなどなく、旅行代理店との契約もないので、泊まろうと思えば、直接その宿に電話をして予約をとらなければならない。

少し前までは電話でさえ受け付けず、はがきだけで受け付けていたが、客からの要望で何とか電話でもOKということになった。

電話もはがきも希望日ごとの抽選で(3ヶ月前の月に3ヶ月後の一ヶ月間の抽選をまとめてする)決まり、当選は至難のわざとまで言われるようになった。

一度当選して泊まると、その後3ヶ月は、当選しても断られるという、いつの間にかできた決まり事もある。

さらにはずれ続けた人(10回以上)には、ある月に限って無抽選で泊まれる機会を作り、欲求を満たすガス抜きもある。

今では古女将の昔語りの宿として繁盛しているが、宿はこのままで大きくする気はないと言う。

大きくするとせっかくきてくれて楽しみにしている、古女将の昔語りが聞けなくなる人が出てくると申し訳ないというごく単純な理由だ。

そこには、旅で遊ぶというような楽しみは何もない。

豪華でおいしい、一流の板前さんが作るような名物料理もなければ、若い人たちが楽しむアミューズメント施設もない。

あるのは山の静寂と、谷川のせせらぎ、夜の闇の深さと、そして囲炉裏を囲んで聞く古女将の昔語りだけである。


こんな宿もあるのだ。


                                  おわり



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「ホームページのない宿」(1)

2012-03-28 10:04:18 | 繁盛店物語(創作)
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「ホームページのない宿」(1)



今どき珍しい宿がある。

立派なホームページを作り、お客様に伝えたいことをあれこれあれこれ、これでもかと掲載している、ホームページだけ見るととても立派なホテルや旅館がたくさんあるが、今回の宿の物語は、そうしたゴテゴテとしたばかりではなく、ホームページそのものがない小さな旅館の繁盛物語である。



北関東の山奥の小さな温泉宿。

誰が呼んだというわけではなく、いつの間にか宿の名前ではなく通称昔“語りの宿”と呼ばれる一軒宿の温泉がある。

その宿はもともとは湯治場の温泉として、ふもとの村人ぐらいにしか長い間利用されずにいた。

が、あるとき旅行記の得意な作家が泊まり、その宿のことに少し触れてから、だんだんと物好きな温泉好きの旅行者が訪れるようになった。

それでもやはり中心は近在の村人であり、農作業が一段落してからしばらく過ごすだけの寂れた温泉宿だった。

そして近年、車社会が村にも入ってくるようになると、数少ない村人たちでさえ、あまりこの温泉にはやってこようとはしなくなった。

それに加えて、さらに追い討ちをかけるように、村の過疎化が急激に進んだ。

そしてその温泉宿は、温泉好きの客がその静かさを求めてやってくるだけの、経営するも何もない寂れたものになっていった。

その温泉宿は元から少ない家族だけの経営だったし、畑を作り自給自足態勢で臨んでいたので、何とか宿を締めるということにはならなかった。

というよりも何よりも、その宿の離れで家族は住んでいたので、宿を開けても閉めても結局は何も変わらないというだけで、客がやって来たときは、それなりの宿として歓待しただけのことで、宣伝などははなからする意思はなかった。

またその温泉では、身体が温まり、疲れた身体もすぐに回復するという噂で、何とか客も途切れずに続いていた。

客がやってくると、夕食は囲炉裏でとることになっていた。

囲炉裏を囲みながらその日に泊まる客の数人は、必ずそこの古(ふる)女将(本当は大女将だが、本人はわざと自分のことをそう呼ぶ)の炉端話を聞かされることになる。

それほどなまっていないので、話の内容はよく聞き取れた。

その話は、その地方の昔の面白い話やエロティックな民話もあり、時には怪談もあり、といったバラエティに富んだもので、聞き手をいつまでも飽きさせなかった。


                             
                               つづく


<2>へつづく。
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「手もみ専門店の販売促進」(その5)

2012-03-21 09:53:15 | 繁盛店物語(創作)
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「手もみ専門店の販売促進」(その5)


「結局、新しくオープンするという銭湯を理由にしたいだけなんです、柴田さんは。そうして売上に対して起こしている不安感の原因を自身で特定して、
自分自身をなだめているだけなんです。もっとお店のことを考えましょうよ」

「そりゃ考えてるよ」

「いや単に不安になってるだけで、それだけで怯えているだけなんです。ですから別に銭湯が実際にオープンしても関係ないように、今からやればいいんじゃないですか?」

「…………」

「銭湯を利用するぐらいでなくちゃ」

「競争相手を利用する?って」

「そうですよ、利用しましょう。利用させてもらいましょう」

「どうやて?」

「それをこれから考えてみます」

こうして、本田は宿題を持ち帰ってしまった。

店で柴田と話していても、これ以上いいアイデアも出てこないだろうと思ったからだ。



2週間後、本田はまた柴田を訪ねた。

もちろん提案を携えていった。

それがこれだった。

<提案>

1.新しくオープンする銭湯に手もみの割引券を置いてもらうこと。
 それは、競合店という考えではなく、仲間の店という意識に変える、いわゆるケンカより共存共栄を指向するということ。
 その代わりに、手もみ店には銭湯のポスターを貼るとか、銭湯の割引券を置くといういわゆるバーター取引がお互いにとっていいのではないか。

2.銭湯の駐車場に駐車している車のワイパーに割引券を挟み込む。
(もちろん銭湯には許可を取っておくことが重要)

3.客が客を紹介するシステムを作ること。
 紹介キャンペーンをすぐにでも始めること。紹介者、被紹介者双方にメリットになる特典をつけること。

4.顧客には必ず常時DMを送り、忘れられることを防ぐこと。

5.従業員は必ずお客様の名前を覚え、名前で接客すること。 

6.従業員のネームは大きく、ひらがなにすること。

                 などなど

そして実際の企画プランも添えた。

柴田がどう考え、どう実行するかは未知数だが、これぐらいのことなら必ずやれると、本田は思った。


銭湯がオープンしてから数か月後、柴田から一本の電話があった。

「本田さん、ありがとう!」

その声を聞いたとたん、本田は心の中で「やった!」と思った。



                                   この項終わり



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「手もみ専門店の販売促進」(その4)

2012-03-14 09:29:23 | 繁盛店物語(創作)
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「手もみ専門店の販売促進」(その4)


「私たちは、ここで若い人に向けたリラクゼーションというものを基本にやりたいわけです」

「はい」

「そういうことで始めたわけなんですが、言いました通り、なかなか軌道に乗らないので、どうしようか、と」

「はい、それで私に連絡をいただいたというわけですよね」

「ええ。でも本田さんはなんだか、のらりくらりと私の言いたいことを、なんだか避けて通ってるようで、ちょっとばかし頭に来たというわけです」

「はい、その通りです。済みません。これがまあ私なりのやり方でして、いつも怒らせてしまうんですよね」といって本田は無邪気に微笑んだ。

この微笑みで相手がいつも気を許してしまうのだ。


「じゃあ本題に入りますか。柴田さんは、現時点でいちばんやらなければならないことは、なんですか」

「近所に銭湯なんかできなければ、サービスをよくして徐々にお客さんを増やしていけば、定着していけるだろうって考えていたのですが、お客さんがそれほど増えないうちに、銭湯ができることになってしまったので、今いったい何から手を付けていいか、分からなくなっている状態なんです」

「なるほど。予想では、銭湯にこちらのお客さんも行ってしまうだろうと」

「いや全部が全部とは考えてはいないですが、ある程度とられるだろうと」

「ふ~ん。でもまだとられたわけじゃないですよね。できてないんだから」

「ええ、まあ」

「それなのに今からとられるのを仮定して、おびえているというわけですよね。第三者から見れば」

「いやおびえてるなんて、そんな人聞きの悪い」

「そうですか。私じゃなくても、そう見るんじゃないですかね。おびえる前にすることはたくさんあるとは思うんですが」

「たとえば?」

「たとえば………、そうですね」

「現在登録していただいているお客様に対して、何かアクションを起こしました?」

「一度、DMを送りました」

「どのような?」

「まあご利用していただいたお礼です」

「いいですね。それに何か次回の来店を促すものをつけました?」

「ええ、サービスクーポンを」

「やってるじゃないですか。それなのに、なんでおびえているのかなあ」

「え、でもそれだけじゃ、お客さんはきっとあっちへ行っちゃいますよ」

「柴田さん、ちょっと聞きますが、あなたはそれほど自分の店の実力に自信がないのですか?」

「――いや、そんなことは………」

「だってさっきから聞いていると、もう銭湯におびえ切っているという印象だけが目立ちますけど」

「そうですか?」

「ええ。意識し過ぎじゃないですか。そんなものに気を取られている時間があるのなら、もっと自分たちのお店、特にお客様に対して、もっとサービスを強化するためにどうしたらいいのかって、もっと真剣に悩まれた方がいいと思いますけど………」

「………」


<5>へつづく。

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「手もみ専門店の販売促進」(その3)

2012-03-07 08:50:11 | 繁盛店物語(創作)
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「手もみ専門店の販売促進」(その3)


「手もみというのは、まあ早く言えばマッサージのことでもあるんですが、マッサージというような構えたものではないということがひとつ言えますね」

「うん?」

「ほらマッサージっていうと、まず頭に思い浮かべるのが旅先の旅館でのマッサージじゃないですか。ちょっと年をとった方なら」

「え、まあ、ね。自分は経験ないですけど」

「え、本田さん、旅先でマッサージ、呼んだことないですか?」

「ええ、ないですねえ」

「へえ、そうですか。まあそうなんですよ、一般的なイメージとしては。その次に町のマッサージ店。このような店に行くのはだいたいお年寄りの方が多いですよね。お客さんとしては」

「うん、そうですね。これも自分では経験ないですから、何とも言えませんが」

「私たちが言うところの手もみは、どちらかというと、若い人たちを対象とした新しい感覚のマッサージなんです」

「なるほど」

「ほらマッサージというと、どうしてもお年寄りが通うところっていうイメージがあるじゃないですか」

「たしかに」

「でも肩が凝るとか、ちょっと腰が重いとか、というのは若い人にもあることです。いやむしろ最近はそういった若い人も多くなってきていますね。
仕事がきついってこともあるんでしょうが、疲れやすい人が増えてきましたね」

「それはね、やっぱり食べるものも影響してきてるんですよ。ジャンクフードを3食主食にしてるようなところもありますからね」

「ああ、そうですねえ。そういうこともいえますね。食生活の変化も大いにありますね」

「あります、確かに。贅沢しなくてもいいから、ご飯におかず3品ぐらいという食事を、1日1食でもいいからきちんととっていれば、いいことなんですけどね」

なんだか日本人の食生活論になっていきそうなので、柴田は話の方向を元に戻そうとした。

「ええまあそんなこと、ここで言ってもしょうがないことで。だから私たちも商売できるってこともあるんで、あまり突っこんでいくと、自分の首を絞めるようなことになりそうなんで、手もみに戻りましょう」

「あ、すいません。つい」

本田も苦笑した。

こんなところで持論を開陳してもしょうがないわけだ、と気づいた。

「で、私たちはそういった若い人たち、特に女性向けのリラクゼーションをやりたいわけなんです」

「なるほど」

「リラクゼーションなんですから、ちょっと寄っていこうかっていうぐらいの気軽さで、店に入ってきてほしいんですね」

「ふ~ん。気軽にねえ」

「コンセプトは『気軽に入れて、リラックス』、そんな感じですか」

「その通りですよ、その通り。そのキャッチ使わせてくれません?」

本田は満面の笑みを浮かべて言った。

「高いですよ~、このキャッチは」

「え、ほんとですか? いくらぐらいするんですか? キャッチって」

「みなさんアイデアにお金を出さないんですよね~。そんなものは無料サービスだなんて風潮、まだまだ根強く残っていますから。言葉だから、昔からある日本語なんだから、あんたが発明したわけじゃないんだから、そんなものにお金は出さないっていう遅れた経営者が。だから経営がうまく行かないんですよ。無形のアイデアにお金を出すという意識があれば、経営だってうまく行くと思うんですけどねえ」

「………」

「すみません、愚痴になっちゃいました?」

「あ、はい」

「話、進めましょうか」



<4>へつづく。

(このストーリーは、リアル体験を元にしたフィクションです)

それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。

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