私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

宿禰の門前にて。

2016-05-06 10:32:41 | 日記

 軽太子側と穴穂御子と戦闘状態に突入します。弟君の方が優勢だったのでしょうか、先に攻撃を開始し、兄君逃げていた大前小前宿禰の家を取り囲みます。その時、俄かなる大冰雨が降り出します。すると、弟君の軍隊は、あろうことか、敵である宿禰の家の門の軒下に雨宿りをして、雨が止むのを待つのです。

 さて、この両軍の次なる戦術はどうなりましょうや??? 戦法としては、弟君側からすれば宿禰の家に火を放てば、手っとり早い完全勝利の道筋で済むのですが、そんな戦術も取られてはいません。冷たい大雨が降り続くだけで静かに時が流れます。ただ、大前小前宿禰は、古事記には、

 “挙手打膝。儛訶那傳 歌参来<テヲアゲ ヒザヲウチ。マヒカナデ ウタイマイク>”

 と、書いてあります。
 手をかざしたり、膝を打ったりしながら、踊るようなしぐさをし、歌を歌いながら穴穂御子の前にやってきます。なお、古事記伝には、この“打膝”について、「おもしろく楽しむ時の態(わざ)」であると説明しております。
 これから両軍が戦闘に突入しようと云う直前の事なのです。どのような結果になるか判然としております。軽太子はいかにしておられかも何も説明はありませんが、これでは戦争にはなりません。そのような味方の軍の戦闘態勢をあらかじめ察知していたのでしょうか、それとも、急に降りだした大冰雨に、ご自分の運命を、見据えられていたのでなないでしょうか