私の持っている福永氏訳の古事記に、この「山たず」を、昨日、「ニワトコノキ」として説明があると書いたのですが、それに付いて、また、ご指摘を賜りました。それによると、古事記には、小字にて、その補足説明がなされており、この場合も、“此云山多豆者<コレニヤマタヅトイヘルハ>是今造木者也<イマノミヤツコギ>” とされ、このミヤツコギというのが「にわとこのき」だ、と教えてくださいました。
でも、この「造木<ミヤツコギ>」について本居宣長は、これを<ミヤツコギ>と読まないで、<タツゲ>と読んで,木を切る時に使う道具「まさかり」だとしております。
まあ、どっちにしても、この「山たづの」という詞は「迎え」の枕詞には違いありません。そのような歌とともに、衣通姫は恋しい兄を追って伊予の国へ行くのです。