私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

大前小前宿禰は穴穂御子の前に

2016-05-07 09:37:14 | 日記

 雨宿りしている穴穂御子の前に大前小前宿禰は”参帰<マイキテ>”と書かれております。“参来<マイク>”ではないのです。「参帰」は「帰服<マツロヒテ>」で、従う、服従するという意味です。どのように穴穂御子の前に進み出たかということが、この「参帰」というたった2文字から、その時のその門前の風景までもが読む者をして納得させます。つい「うまい」と言わざるを得ないような書きぶるですね。どう思われますか???

 そして、穴穂御子の前に、「参帰」そうです、恭しく進み出た宿禰は“曰之<モウシケラク>

 “我天皇之御子<アガオホキミノミコ> 於伊呂兄王<イロセノミコヲ> 無及兵<セメタマフナ>”

 と。そして、重ねて進言します。
 「もし、今、貴方の実兄を攻め込んで、殺しでもしようものなら。、世間の人は何と云いましょうか。“必人笑<カナラズ ヒト ワラワム>”

 なお、此処に書かれている“無及兵”について、本居宣長は「セメタマフナ」と訓じさせていますが、他に、「ナミイクサシタマヒソ」などと宣長より異なった読み方をしている人もいます。