“許母理久能<コモリクノ>”「隠国之」です。泊瀬<ハツセ>の枕詞ですが、此の言葉でもって、軽太子の衣通姫を心いっぱいに思う歌が二つ続きます。その一つづつを数日の間にわけて書いてみますのでお笑いください。「そんなのどうでもいいや。ほっとけ」と云わないで、じっくりと読んでみてください。太子の並々ならぬ軽大郎女への恋慕の情が湧き出ている愛の歌です。余りこの歌が、我が国の最大級の愛の歌だとして取り上げられる人はないと思うのですが、私は、先にあげた“愛しと さ寝しさ寝てば・・・・”、それから、“君が行き 日長くなりぬ・・・”の歌と共に我が国においての最高級の愛の賛歌だと思うのですが???
さて、その歌です。まず、「万葉仮名」で書いておきます。
許母理久能 波都世能夜麻能
意富袁爾波 波多波理陀弖
佐袁袁爾波 波多波理陀弖
意富袁爾斯 那加佐陀売流 淤母比豆麻阿波禮
都久由美能 許夜流許夜理母
阿豆佐由美 多弖理多弖理母
能知母登理美流 意母比豆麻阿禮
これを
コモリクノ ハツセノノヤマノ
オホヲニハ ハタハリタテ
サオオニハ ハタハリタテ
オホヲニシ ナカサダメル オモヒツマアワレ
ツクユミノ コヤルコヤリモ
アヅサユミ タテリタテリモ
ノチモトリミル オモヒツマアワレ
と、読ましております。これだけでは「何のことやらさっぱりわからず」ですので、現代風に書いてみますと
隠国の 泊瀬の山の
大峯には 幡張りたて
さ小峯には 幡張りたて
大峯にし 仲定める 思ひ妻哀れ
槻弓の 伏やる伏やりも
梓弓 立てり立てりも
後も取り見る 思ひ妻哀れ
と。意味は明日にでも???