「希」に幸<ミユキ>された天皇に
”衣通郎媛歌之曰<ソトホリノイラツメ ウタヨミシテ ウタヨミタマフ>”
その時
”天皇謂衣通郎媛曰<スメラミコト ソトホリノイラツメニ カタリテ ノタマハク>”
「此の歌は他人<アダシヒト>に聆<キ>かせてはならないよ。もし皇后が聞こうものなら大いに恨むだろうから」
と。
それから以後、此の歌に詠み込まれた
”波麾毛<ハマモ>” を ”奈能利曽毛<ナノリソモ>” と。
「この浜藻を、『なのりそも』(決して、言ってはならない藻)」
と、後世呼ばれるようになったと、ご丁寧にその謂われまで書き留められております。