私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

冠山城の戦い

2016-07-29 09:19:27 | 日記

 一端宮路山城まで退却した秀吉の軍勢は、その夜、冠山城からもくもくと黒煙が頻りに雲中に立ち上るのを見つけます。

 それを見た加藤清正は
 「すは城中に異心ある者ありて、火をかけて味方を呼ぶぞ。進め進め」
 と、再び、冠山城をめがけて鬨の声を上げ、先頭に立って攻め込みます。門前に至ると、昼間、あれほど頑なに、難攻の城門を閉ざしていた扉が、何の抵抗も無く、するすると、内から開くのです。そして一人の兵が、「降参。降参」と走り寄ってきます。そこへ、大声で、
    「己れ小癪な。裏切りやったな。黒崎団衛門めが」
 と、口々に叫びながら五,六十騎の城兵が押し掛けて来ます。その先頭にいた武者が武井將監です。
 その時、清正は、懐に入った窮鳥とばかりに
     「降参の者を撃たすな」
 と、敵軍の前に立ちはだかります。それを見た、追い掛けてきた城兵が、一度に、清正に挑みかかろうとのしますが、その時、將監が前に進み出て、大勢の城兵に言います。

 「待て!!!敵将一人に大勢の者で立ち向かうとは卑怯なり。私が一対一で戦うから、みんなは手を引け」

 と。そして、将監と清正の一騎討の戦いになります。二人とも力は互角です。でも、暫らく戦いは続いたのですが、結局は、清正の薙刀に勝利の女神がほほ笑みます。最後に馬上から投げ出された將監は

 「汝と正々堂々と討うことが出来、幸せであった。礼を云うぞ。」

 と、刀を腹に、武士として見事な最期を迎えるのでした。それからも、この城では各所で両軍相入り交じり、戦いが続きますが、多勢なる秀吉軍は、この後、この城にあった火薬小屋に忍者が火を放ち、大爆発し、頑丈で不落だと言われていたさしもの冠山城も、遂に、落城します。
 なお、「清正」ですが、この時は、まだ、「加藤虎之介」と名乗っていたのですのでが。

 こんな話って聞いたことがありますが???これも秀吉の高松での、水攻めでない戦いの一つでもあったのです。