詳しく古事記を読んでいきますと。「これは一体どうなっているのか」と訝るような所に度々突き当たります。その一つが、オホクニに尋ねなさいと申し渡した「母」、古事記には
“御祖命<ミオヤノミコト>”
とあります。「神産巣日之命<カミムスビノミコト>の所に飛んでいったのも、この御祖命です。所がです。その母の命令に従って木の国の大屋毘古命の所に行くのですが、そこで逢った神様「大屋毘古命」も、やはり、“御祖命“と書かれております。この記述に付いて、宣長は、この御祖命は、「大屋毘古命」だと言う人もいるが、それがいいのだと思うが、そのことをはっきりと書いた本もなく、
“いささか事たらはぬここちす”
と書いてあります。何だか説明不足のようにである、と言うのです。その御祖命がオホクニに
“告子云<ミコニ ノリタマハク>”
“可参向須佐能男命坐之根堅洲国<スサノヲノミコト マシマス ネノカタスクニニ マイデテヨ>”
「スサノヲの所へ行きなさい。」と、言われたのです