これを、<ハナハダシキ カミ マイキツ>と読ましております。これはオホクニが一目ぼれしたスサノヲの娘
“須勢理毘売<スセリヒメ>”
が、その父親に告げた言葉です。もうお互いに一目ぼれし合った仲です。
「大変、麗しい神がお出でになりました。お逢いしてあげて下さい。」
と、嬉しそうな声で父親に告げます。これが
”甚麗神来”
です。そこで、スサノヲは、早速、来訪者に逢います。逢って見ると、娘が言った通りの凛々しい好男子ですが、
「なるほど、娘“須勢理毘売”は麗し神と云ったが、でもな。わしから見ると、そんなに麗しいと言うほどのことは無い。そんなにいい顔をしているとは思えんぞ。ちょっと・・・わしが名前を付けてやるわい!!!、そうだなあ・・・何と云う名前がいいかなあ?????。そうだ!!!『葦原色許男<アシハラノシコオ>』と云うのがどうだろうか。いやそれがいい。それにしてしまえ」
と、告りたまわれたのです。
この「色許男<シコオ>」は「強く逞しい男」と云う意味もあるのですが、一方で、男をののしって云う時、何と醜いのだろうかと云う意味にもなるのですから、オホクニと初対面したスサノヲは、むしろ「何といやらしい男だろう。」、思われたのではないでしょうか。それは父親の心理として、愛する娘が寝とられた男に対する嫉妬心みたいなものが働いて、敢て、「しこお」と云う名前を付けたのではと推察しているのです。