「お互いの腕をしっかりとから見合って抱き合い」と。それでもう十分に夫「オホクニ」の御足はその場に釘付けなっているのですが、更に、これでもかと云うようにとどめを刺すように、続けて、ヒメは歌います。
“毛毛那賀邇<モモナガニ>伊遠斯那世<イヲシナセ>”
と。
「股をゆったりと長く伸ばして、ゆっくりと私の綺麗な柔らかな腕の中でお眠りなさい」と呼びかけたのです。この歌を聞くとオホクニは旅装束はそこら辺りに脱ぎ捨てるようにしてスセリヒメの元に飛んで行きます。すると、直ぐに、ヒメは手に持っていた盃
を差し出して、更に、歌います。
”登與美岐<トヨミキ>多弖痲都良世<タテマツラセ>”
「まづ、此処に持っておりますおいしいお酒を一口お飲みくださいませ。」
です。
なお、これは後の世で行われるようになった「仲直りの盃」の初めです。念のために!!!