セスリヒメは“阿夜加岐<アヤガキ>、“牟斯夫須麻<ムシブスマ>“に続いて、3度目の
“多久夫須麻<タクブスマ>”
の「下に」とオホクニに語りかけております。「多久<タク>」は木綿<ユウ>の一種で、此の若木から白色の布が作られるのだそうです。「栲」とも。でも、現在、一般に解釈されているような「楮」ではありません。その布が
“佐夜具賀<サヤグガ>斯多爾<シタニ>”
です。「さやさやとさやめく」ですから、「真っ白い布が周り一面にふんわりと垂れ下がり、えもいわれぬさわやかな音を立てながら揺れっている下で」と云う意味になります。
「①美しい彩りのしてあるカーテンがふわりと垂れ下がり周りからは静かで隔離されており、②絹織物の暖かい寝具が柔らかに敷いてある、③更に、その周りには真っ白な布がふわりとかかっておる清らかな」
この3つの「<斯多爾>」と呼びかけます。この誠に美しい風景の場所で、一体、セスリヒメは何をしようと云うのでしょうか????