『前衛』(2011年1月号・日本共産党中央委員会発行)に上脇博之教授(神戸学院大学実務法学研究科教授)と仁比聡平さん(日本共産党比例定数削減反対闘争本部事務局長)の標記対談が載っています。とても深く理解できる内容で勉強になりましたので、以下にちょっとご紹介させてもらいます。ぜひ購読されることお薦めします。(数回掲載予定です)
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民主党の例定数削減方針は一貫している。他の公約が次々に裏切られているのに、この方針だけはまったくぶれていないのだから、その執念はすごい。だからとても危険なのだ。
現在の衆議院の定数は小選挙区が300、比例代表が180の合計480人。もし比例が80人削減されれば単純選挙区制にますます近くなる。昨年の総選挙で民主党は小選挙区で4割の得票しかないのに7割を超える議席を獲得、これはまさに「虚構の多数」。比例定数80削減をされたら民主党はさらに議席占有率を4.3%伸ばすことになる。
ではなぜ、これほどまでにして議員定数を削減しようとするのだろうか?
上脇教授は「予想よりも早く民主党が国民の期待を裏切っているだけでなく、国民に対して牙をむき始めた」と説明する。そして「民主党は自民党と変わらない第2の財界政党、第2の自民党になろうとしている」と。
それはつまり、せっかく政権交代したにもかかわらず、結局は自民党政治と変わらない政治が続くことになるということ。その証拠に菅首相に対しては日本経団連会長や経済同友会代表幹事も支持が表明されているのだ。
この財界からの要求ははっきりしている。まずは法人税の引き下げ。消費税増税はそれを補うための財源対策である。国民は消費税があがれば福祉が充実していくと考えてる人がいるようだが、決してそんなことはないのである。
そして憲法9条や自衛隊の海外での武器使用緩和問題、武器輸出3原則の見直し、さらには「防衛計画の大綱」のアメリカとのますますの一体化推進。これらはすべてが財界とアメリカからの要求がその元になってるものばかりだ。だから民主党が自民党と一緒に、こういったことを進めていくためには、とにかく反対勢力がない方がいい。そのための議員定数削減なのである。
このような民主党の姿について仁比さんは「自民党政治と同じ古い土俵の上に、国民の願いに反する政治を推進するという本性をあらわにしてきているのが今の菅政権であり、『生活第1』という公約を掲げて政権につきながら、それを裏切ったという点ではより悪質」と話し、それでも次の総選挙でも引き続き政権を維持するために必要なのが比例定数削減なのだろうと指摘する。