『前衛』(2011年1月号・日本共産党中央委員会発行)に上脇博之教授(神戸学院大学実務法学研究科教授)と仁比聡平さん(日本共産党比例定数削減反対闘争本部事務局長)の標記対談が載っています。とても深く理解できる内容で勉強になりましたので、以下にちょっとご紹介させてもらいます。ぜひ購読されることお薦めします。(あと2回掲載予定です)
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地方議会は法律上は人口に応じた議員の上限数が決められているが、実際には各議会が条例で定めている。現在の都道府県議員の合計上限数は3000を超えているが、実際には2800を割って上限の9割しかいない。市町村になるともっと少なくなる。
自治体数は99年の3229から2010年の1727に減り、議員数は03年の57000が09年には34000台へと減っている。共産党の議員も03年に4000人以上いた市区町村議員は現在は約3000人に減っている。国民と結びつく地方議員が1000人以上も減っていることは地方政治だけでなく国政選挙にとっても影響が大きいのではないか。
候補者が減って、選挙そのものに主体的に係わることが減ったという声もある。コミュニティ内で選挙の時に議論するということも減ってきた。国も地方も議員が減って国生活が良くなったのかという視点で見ないといけないのではないか。
特に都道府県議員は定数が1人~2人というところが多く、これは事実上の小選挙区になっている。大阪府などは法定上の上限数は120なのに、実際には112であり、次の選挙では109になる。そのうち1人区が33、2人区が20、つまり112議席の内73議席は大政党に有利な1人区、2人区になっているのだ。
ということは、住民の意見が反映されにくくなっている議会がどんどん増えている。ここにも財界が狙う道州制と一体化の流れが見て取れるのではないか。名古屋では河村市長が議員定数半減を主張し住民税減税を掲げているが、住民税減税は高額所得者ほど恩恵のあるものだから、それで福祉や住民生活が良くなるとは思えない。ところが政治を変えて欲しいという市民の気持ちが河村市長への期待として集まっている。大阪の橋下知事についても同じことが言える。その先には首長にとって都合のよい議会がつくられ、議会軽視の行政が行われていくことになる。
要は政党がいかに社会に根を張っているかとうことが大事だ。政党助成金についても同じで、税金で活動資金が賄われていたら、国民とつながろうとうことにはならないだろう。
「地域主権改革」や「道州制」は地方政治だけの問題ではないということ。国の形を変える問題であり、地方対国という問題ではない。
根っこには財界の要望があり、国が福祉国家政策を否定したあとは、効率的で財界に都合のいい仕組みが国から地方まで出来上がること、それが狙いなのだということ。
「地域主権改革」とはそういう憲法25条で定められているようなナショナルミニマムを、国が投げ捨てて責任を放棄し、また地方でも住民福祉の機関としての機能を弱めようということだ。広域化した自治体には財界や多国籍企業のやりたいような基盤つくリをしてもらう、そのためには住民のための議会は必要ないと、そいうことになる。