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原発の燃料棒を見てきた!

2011年04月03日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

 昨日、原子力発電所の燃料棒(まさに、あのウラン燃料の固まり)を製造する会社を見学してきた。原子力燃料工業株式会社熊取事業所の年に1度の一般公開日だったのだ。放射性物質を扱う施設ということで、運営のためには住民の理解が不可欠であり、そのためのイベントであった。

 隣接する京都大学原子炉実験所やそこを監視するオフサイトセンターも同時公開されるはずだったが、原子炉実験所の見学は今度の原発事故で中止になってしまっていた。

 事前申込&写真付身分証明書の提示という厳しい受付を済ませて10人ぐらいのグループ単位で、社員さんが引率案内してくれた。はじめに、放射能や放射線や工場自体について、簡単な紹介展示室でパネル説明を受けた。

 ここで初めて放射線検知器なるものを見せてもらった。実は自然界に放射線は常に存在している。テーブル置いてある御影石などいくつかの物体に近づけると指針が振り切れるくらいに激しく反応し警報を発した。この機器、1台60万円もするそうで、今はメーカー在庫が無くなっている状態だという。

 いよいよ工場内へ向かった。すべての手荷物を預ける。携帯やカメラはもちろん禁止。飴やガムもいけない。入り口で「靴ポン」という土足カバー取付機に履いたままの靴を差し入れ、殺人事件の現場検証風の足下に変身する。さらに見学者用帽子をかぶって狭い通路を進んでいく。

 階段を先発グループとすれ違いながら上っていく。初めの場所がペレット加工工程。原材料のウランから作った二酸化ウランの粉末を1㌢大のタバコのフィルターのような大きさのペレットに形成する場所だ。サンプルに触ってみる。これこそがまさに原子炉発電の燃料ということになる。因みにこのペレット1個で一般家庭の消費電力半年分が賄えるという。

 次は燃料棒組み立て工程。そのペレット400個を、太さ1センチ長さ4メートルのジルコニウム合金で作られた燃料被覆管に詰め込み、上下をスプリングで押さえて蓋をして1本の燃料棒が完成する。ジルコニウムは高温で水と反応し水素爆発を起こす性質があり、福島原発の水素爆発はこの被覆管が爆発したものと思われる。

 作られた燃料棒は次の集合体組立工程で264本を一纏めにしてさらに1本の燃料集合体となる(なお、原子炉の種類によって本数は違う)。1つの原子力発電所の原子炉では、縦横20メートル四方以上の平面にこの集合体が約200本~400本詰まっているのだ。

 作られた集合体は1本ずつ貯蔵庫にタテ置きで保管され、原子力発電所への納品時には800℃の高熱に耐えられる特別の輸送容器に2本ずつ収納される。そしてトラックに3個ずつ積まれて人々の寝静まった深夜、秘密裏に運搬されるらしい。

 こうして実物を目にすると、この間の新聞やテレビで何度も目にした原発の構造図や写真がとてもリアルに迫って感じられるのだ。

 ここ熊取事業所からの納品先は、関西電力の美浜原発、大飯原発、高浜原発、四国電力の伊方原発、九州電力の玄海原発、川内原発だそうで、業界シェアは日本の原発燃料の4割ぐらい。

 因みにこの会社は住友電気工業の1部門としてスタートし40年前に独立、住友電気(資本比率24%)、古河電気(同24%)、ウェスチングハウス・エレクトリック(同52%)が株主。アメリカの原子力発電会社が大株主だ。

 ところで、燃料棒の寿命は約3年間。使用開始後13カ月使用すると運転を止めて検査期間に入る。配置場所を入れ替えたり、3分の1から4分の1ぐらいが入れ替えられる。

 使用を終えた燃料棒は使用済み燃料プールに3年から5年間保管されるが、110万キロワットの原子炉で年間約30トン廃棄物が出る。全国の原発でその貯蔵量がほぼ満杯状態になりつつあるそうだ。

 使用済み燃料棒貯蔵プール

 使用済み燃料からはウランやプルトニウムを抽出することでその再利用が可能になる。日本はそのために現在、フランスやイギリスなどに依頼してこの廃棄物から使用可能なウランやプルトニウムを取り出してもらっている(再処理)。しかし取り出されたプルトニウムは容易に核兵器に転用されるため、その状態での所有は核兵器拡散防止条約で禁止されている。

 そこで、二酸化プルトニウムと二酸化ウランとを混ぜたMOX燃料として再処理されて、高速増殖炉発電として使用したり、軽水炉発電として使用するなどの計画(プルサーマル計画)などが取りだたされているというわけだ。

 それにしても大阪の南端の地にこんな工場があるとはまったく知らなかった。京大原子炉実験所の名前だけは知っていたが、そこに隣接してあったとは! おそらくほとんどの大阪府民は知らないことでしょう。ついでに、大学の研究用原子炉は他に近畿大学と東京大学が施設を持ってるそうだ。

 見学を終えて最寄り駅に帰る途中、1日前に公示された一斉地方選挙の候補者宣伝カーが名前を連呼しながら通り過ぎた。原発震災から3週間。被災地の人たちのことを想像しながら、今この瞬間、そしてこれから私たちはどう生きていくべきなのか、そのことが今度の選挙でしっかりと問われないといけない、それは地方選挙だから関係ないというものではないと強く思った。

*画像は同社発行パンフレットより

コメント
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4月2日(土)のつぶやき

2011年04月03日 | 丸ちゃんの私的時間

07:52 from Mobile Web
おはようございます。これから熊取にある西日本唯一の原子炉燃料工場見学へ! 原子力発電所のあの燃料棒を作ってる会社です。なんか、緊張します。
07:55 from Mobile Web
自民党が菅首相退陣で、大連立などとほざいてる。今、この時に政局争いとは! 全くふざけた政党です。そもそも現在の状況を招いた基本的政治の責任は自民党が負うべきものでしょうに。
18:13 from Mobile Web
原発燃料棒製造会社の見学を終え、夕方近くに事務所に戻ってきた。原物を見ると、テレビや新聞で見知ったことが、よりリアリティを持ってくる。それにしても警戒厳重な見学会であった。
18:19 from Mobile Web
熊取にいく途中の電車内から、桜があちこちで見られた。今日は暖かい日だったので、花見も各地で
開かれたかな~。
by kikanshibooks on Twitter

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