一昨日の『朝日』の夕刊、池澤夏樹さんのエッセイ「終わりと始まり」が、50年後に日本の人口が今の3分の2に減少することについて触れながら、日本は子どもを産ませない社会になったと記している。
池澤さんは、種の継承と拡大は生命が自然に欲する基本原理だが、日本社会はそれをあきらめた社会だと指摘する。その一方で、社会として政治として介入しながら子どもを産む国があると、フランスを紹介している。
2010年の日本の出生率は1.39。これに対してフランスは2.00。日本では5組のペアから7人の子どもしか生まれないから減るのは当たり前だ。
そしてフランス社会の出産と育児への手厚いケアについて紹介している。いろいろ紹介されているが、基本は社会が全力を挙げて子どもを産み育てることを応援していることに尽きる。出産・育児だけではない。記事にはないが、後の教育や医療の費用が無料なのも大きいと思う。
この部分だけは紹介しておきたい。
「日本の社会は子供を産ませないようにしてきた。高速道路は津々浦々まで届いたが今もって保育園の数は足りない。経営者たちは勤務と育児の並立など論外と言う。自分だって産んでもらって育ててもらったくせに」
日本の経営者たちは目先の利益のために、長期的には没落への道を進んでいるのだ。まさに「我が亡き後に洪水よ来たれ」の精神で!
フランスの手厚い子育てケアについてはこの2冊が参考になります。