MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.055 「ブロークバック・マウンテン」 (2005年 米 134分 ビスタ)

2006-06-05 01:21:50 | 2006年劇場鑑賞
監督 アン・リー
出演 ヒース・レジャー
    ジェイク・ギレンホール
    ミシェル・ウィリアムズ



アカデミー賞の作品賞の有力候補と言われながら、この映画は結局作品賞は取れず、作品賞は「クラッシュ」に譲ったがこの映画はアン・リーが監督賞を受賞しました。
「クラッシュ」しかり、この「ブロークバック・マウンテン」も単館系の作品で、賞を取ったにも関わらずあまり拡大公開されなかったのが残念です。
と、言う訳で「ブロークバック・マウンテン」は3月公開ながら今まで未見だったので「こりゃDVDかビデオだな・・・」と思ってたら時々利用するシネコンのホームページを何気なく見てると・・・やってるではないか!
期間限定での公開でスクリーンで見るのはラストチャンス・・・

2人のカウボーイの同性愛を描いた作品でヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの体当たりの演技が話題になっていた。

1963年の夏。ワイオミング州のブロークバック・マウンテンでイニス(ヒース・レジャー)は羊番の仕事を始める。たまたま一緒に組んで仕事をしていたジャック(ジェイク・ギレンホール)との間に友情が芽生えるが……ていうストーリーだけど、まずブロークバック・マウンテンの大自然が実に雄大で、その中での2人の男たちの許されざる関係・・・

野宿をしてるある日の晩に突然激しく求めあうイニスとジャック・・・テントの中で肌を触合いSEXしていく2人の感情は・・・理解できないけど多分長いことズ~と2人で居ると突然あんな感情が芽生えたりするのかな?何て思ったりするが、ただジャックは初めてイニスと出会った時から好意は持っていた。
それを示唆するように車のサイドミラー越しにイニスをひっそり見つめるシーンが冒頭に出てくるし、山の中でイニスが全裸で着替してるのをすぐ傍で視線は送らないけど、空気で全裸の彼を感じてるようなジャックの顔のアップのショットなど、これこそ乙女心を秘めた男を見たような感じで妙にいじらしく写るんですね。
彼は同性愛者てのがここで提示されるが一方のイニスは少なくともノーマルな男性で、しかも反同性愛主義の父親から幼少の頃にリンチされた同性愛者の哀れな姿を見せられておりそれが一種のトラウマのようになっている。

2人っきりで過ごす内に女性と婚約してるにも関わらずイニスもどんどん深みにはまっていく姿には厳しい自然の中で互いに必要とし認めあった先の行為・・・なのかな?
長い自然での生活が終わりジャックと別れた後、嗚咽とともに泣き崩れるイニスの姿には、許されない恋と言え悲しいまでの「純」な恋愛を見取ってしまいます

でも2人が別れてイニスは結婚し子供ももうけて、4年後にジャックがイニスの家を訪ねる場面でのジャックが来るのを窓の外をず~と眺めてるイニスの姿は完全に恋人を待つ心境なんやろうね~ これもまたいじらしいです。
そして再会し抱擁とともにそのまま押し出すように家の軒下まで行き熱いキッス交わす2人・・・男同士でも純愛ってあんねんな~と感じてしまいました。
しかしその場面をイニスの奥さんが偶然見てしまう・・・これって想像出来ないくらいショッキングだろうね・・・そんな事は露とも知らないイニスは「2人で飲みに行ってくる!今日は帰らない・・・積もる話もあるから」といって2人で出て行くが、まぁ奥さんの心境は察するにあまります。
あんなん見た後で2人で泊まりに行かれたら・・・する事一つやがな・・・残酷なまでの描写ですね。
そしてそこからドラマは大きく動いていくんですが、やがてジャックも結婚して家庭を持ち、それぞれが落ち着く所に落ち着くけど、断ち切れない思いとブロークバックマウンテンの思い出が2人を、やがてそれぞれの家族までを翻弄していく・・・後半は痛々しいまでのドラマが展開していくんですが、アン・リーは冷静な視点で2人の男のその後の人生を追いかけていきます。


           ややネタバレ気味でご注意・・・









終盤ではジャックが断ち切れない苦悩する思いをイニスに打ち明け、そしてそれを拒むことしか出来ないイニスの苦悩・・・もうここらはホモ映画と呼ばせない完成された一つの愛の物語が成就していきます。

写真とシャツ使った心憎いばかりのエンディングは胸をわしづかみにされるぐらいの衝撃です。
こんな恋愛は男女でもそうそう無いでしょう・・・純な2人の想いが痛切に伝わってくる締めくくりのワンカットは胸を締め付けられます。


★★★★★ 2006.6.1(木) 布施ラインシネマ10 北館 シネマ5 19:30 K-3