MOVIE KINGDOM Ⅱ

映画に関する話題やライブ&イベント、ローカルなグルメ情報など色々話題を広げて行きます
ポイントは★~★★★★★★

キングの名画座 第3回 「ロッキー」

2007-04-11 23:45:36 | オールタイムベスト
監督 ジョン・G・アビルドセン
出演 シルベスター・スタローン
    タリア・シャイア
    カール・ウェザース



キングの名画座第3回はこれまた私が子供の頃見た作品。

シルベスター・スタローンと言う無名の俳優を一躍スターダムにのし上げた作品の続編が今春公開されます。
「ロッキー・ザ・ファイナル」というこの作品は還暦迎えたボクサーが無謀にもリングに上がり試合をしてしまう映画だそうですが、う~んこれは無理のある映画でしょう・・・ダメやろな~
と、思ったら前評判を聞くと意外と面白いらしい!
ホンマかいな?まだこれを書いてる現時点では公開されてないので真意はわかりませんが、いずれにしてもあの名作「ロッキー」を汚すような作品でないことを祈りたいもんです。

「ロッキー」という映画は良いらしい・・・そんな話はよく聞いてたけど、劇場に見に行こうとまでは当時は思わなかったけど、あのテーマ曲はやたら耳についてましたね。
兄が見てきて感動したような事を言ってたが、最後負けるんかいな~とオチまでも聞いて余計に見る気を無くしてしまった。
「負けるのに何で感動すんねんな~ 勝たな映画にならんがな」と当時何かとマイナス志向の若きキングは思ってました。

それから数年後に公開されたのが「ロッキー2」。
映画は見てないけどすでにあの「ロッキーのテーマ」のサントラのEP版を購入し、日々聞いていたものとしては是非見たいと思ってました(1作目はあれほど見る気無かったのにね)

今はもう跡形も無くなった「アベノ地下劇場」と言う元々は洋画のポルノ映画を専門で公開してた劇場へ鑑賞しに行きました。
お馴染みのロッキーのファンファーレとともに「ROCKY ?」タイトルが右側からスクロールされて行き、そして始まったのが1作目のクライマックス14ラウンドの場面。
アポロの強烈なパンチを食らいダウンしたロッキーが必死に立ち上がろうともがくシーンで鳥肌が立ちました。
前作見てないのに、しかも「ロッキー2」は今始まって1分も経ってないのに行き成りこのシーンに感動してしまった・・・前作公開時は「負けるのに何で感動すんねんな~」と言ってたけど、この冒頭のシーンで中学生になってたキングは、何故「ロッキー」という映画にみんな感動したのか・・・というのが判るような気がした。

ロッキー2に感動した後に思った事が前作を見て見たいと言う事でした。
でも当時はビデオソフト何てないしレンタルビデオもありません。
テレビ放映などは数年しなければ放映されなかった時代。
旧作を見るには二番館と言われる名画座で公開されるのを待つしかなかった。
しかし嬉しいことにロッキー2の大ヒットで「ロッキー2」と前作「ロッキー」を一気に2本立てで上映するという映画会社が企画した「 ロッキー大会」で1作目の「ロッキー」を見る機会を得ることになりました。

初めて見る1作目の「ロッキー」・・・やはりロッキーのファンファーレと共にROCKYのタイトルがスクロールされてくる・・・
画面全体から伝わってくる冷たい雰囲気がいかにも寂しげで「ロッキー2」と明らかに印象が異なります。
場末の会場で試合をするロッキー・・・そこには華やかなスポットライトなんかは当らない、勝者も敗者もそして観客さえもどこか寂し気で、これから始まる“負け犬” たちのドラマを感じさせます。
ヤクザの手先をしながら生計を立てるロッキー、そんな彼が密かに想いをよせるエイドリアン、そしてその兄のポーリー、トレーナーのミッキー・・・出てくる人物はどこか寂しい気でそして人生に置いてどこか負け犬的な雰囲気があり、それがどこか冷たい色調の寒い画面の雰囲気を出してるように思います。

ペットショップで働きどこか自分にも自信を持てなさそうなまま気がつけば歳を重ねてしまったエイドリアン。
映画の後半で注目を浴びたロッキーと彼と付き合う事でどこか輝き出した妹エイドリアンに嫉妬してしまい暴れだすポーリー。
寂れたジムでトレーナーをしているミッキー・・・
皆、今の現状にもがき、そして抜け出したいと願っている登場人物たちに観客はそれぞれの自分や人生に照らし合わせて見てるかも知れないですね。
後半、試合に向けて必死になるロッキーがまさに彼らの代弁者の如く存在なのかも知れません。

単にスポ根ものではないドラマ性を感じさせるのも、この映画を名作にしてる要因ではないかと思います。
印象的なシーンが色々あるんですが、街で不良たちとツルんでいたアバズレの少女を説教しながら家まで送り届けるシーンで、一生懸命少女の為に真っ当に生きるように説教し、その少女も神妙にロッキーの話を聞いてるんだが、彼女を家まで送り届けて帰えっていくロッキーの後ろから送って貰った少女が「くたばりやがれ!ロッキー!」と罵声を浴びせられる・・・その時のロッキーに実に寂しそうな表情を浮かべる・・・この映画の中でも印象的なシーンでした。

そしてこの映画での見せ場の一つがトレーニングのシーンですね。
ビル・コンティの名スコア「ロッキーのテーマ」に乗って街中を走るロッキー、片手で腕立て伏せするロッキー!最高に力の入る場面ですね。
それまでのヤクザな人生の落伍者のようなロッキーの物語が語られた後だけに見てるものは皆ここでロッキーを応援してしまうんでしょうね。

またロッキーが世界タイトルの挑戦が決まり、それまでロッキーからロッカーを取り上げロッキーを突き放していたトレーナーのミッキーがマネージャーを志願してくる場面も寂しい2人の男の友情を感じさせますね。
最初は落ちこぼれのロッキーを一旦は見放したのに世界戦が決まれば手のひらを返すようにマネージャーを志願してくるミッキーを罵倒し、家から追い出すロッキー。
寂しくトボトボ引き上げるミッキーの姿の寂しいそうな姿(バージェス・メレディスが実に名演ですね)・・・ロッキーの家を出て人気の無い道を肩を落として帰るミッキーだが、すぐロッキーの家の扉が開きロッキーが飛び出してくる。
ミッキーの後を追いかけて行き何やら話しをした後、握手をして別れるロッキーとミッキー・・・このシーンを引いたカメラで、固定されたフレームの中で描かれるのが実に2人の慎ましい友情を遠い視点で描くことで表現してるように感じますね。
実にいい場面だと思います。

試合前夜にプレッシャーに襲われるロッキーが「最終ラウンドのゴングがなってまだリングに立っている事が出来たなら、初めて証明出来る・・・ただのヤクザな男じゃない事を」と言うセリフがこの映画はボクシングの映画だけど、試合の勝ち負けではない重要な意味を教えてくれているように思います。
試合にはチャンピンのアポロに負けるけど、それまで人生に負け続けてたロッキーが初めて手にする人生の勝利り!その象徴が恋人エイドリアンの存在であり、彼に取って世界タイトル以上に大事なものを得た最高の勝利を胸に抱く見事な幕切れでこの映画は終わります。

そして「ロッキー2」へと話はつながるんですが、私は「ロッキー2」を先に見てるので、どちらが良かったかと言われるとどうしても最初に見た「ロッキー2」の方が印象としては強いんですが、「ロッキー」を先に見てたらやはり「ロッキー」が良いと言ってるんでしょうね~

このシリーズは5作(新作入れて6作ですね)製作されたけど、論外の「ロッキー5」は別として、「ロッキー3」「ロッキー4 炎の友情」はどれも面白いと思います。
でも印象としては「ロッキー2」以後の作品はサイドストーリー的な感じで、あくまでもドラマとして「ロッキー」「ロッキー2」で完結してるように感じるんですがね。
個人的にはこの2作で一本の作品として捉えています。

前作の冷たい雰囲気の画面と比べるとロッキー2は明るく感じます。
エイドリアンとの結婚 手にしたファイトマネーで家を購入し車を乗り回す。
やがてエイドリアンが妊娠し、まさに幸せな絶頂。
しかしボクサーを諦めたロッキーだが学力のなさから仕事が見つからない・・・見た目は派手な生活の中にも仕事に就けず苦悩する姿が描かれて行き、前半は生活感のある描写が続きます。

やかてチャンピオンのアポロから執拗な挑発を受け、やはりファイターの道に戻っていくロッキー。
そして復帰に反対のエイドリアンは心労のため倒れ早産してしまい昏睡状態に陥る。
ここまでの流れの人間ドラマは良く出来てると思います。
そして長い昏睡状態のエイドリアンを寝ずに看病するロッキーの深い愛情。
そして昏睡から覚めたエイドリアンにロッキーは「もう君が反対するならボクシングを諦める」と言った時エイドリアンは一言だけ「WIN!」(勝って!)と言う場面はこの作品の大きなハイライトであり、物語が一気にクライマックスに動き出す分岐点でもあります。ビルコンティの勇壮な曲とともに優しい笑顔でエイドリアンを見つめるロッキー・・・次のカットで片手で腕立て伏せするロッキーが朝焼けのシルエットで写し出される。鳥肌モノの編集ですね。

一作目はロッキー個人の戦いだったが今回はロッキーは自分だけでなく家族の為に戦うと言う意味合いに変化してく。
ボクシングを通してロッキーと言う人間の成長と成功のドラマとしてこの2作品は見れますね。

その後ロッキーはアポロとのリターンマッチに勝利ししがないヤクザな4回戦ボーイが見事に世界王者になり まさにアメリカンドリームを成し遂げる。
個人的にはここで終わっても良かったと思うが シリーズは後3作品続きます。(新作を入れたら6作)
しかし「ロッキー3」は後のロッキーがチャンピオンになりハングリー精神を失い大きな壁に打ち当たり苦悩する物語で、追う側から追われる側になり失ったスピリットを取り戻せるか?と言ったテーマで、順番から行けばごく自然の流れの物語だが、前2作よりはタッチが違うし、更に「ロッキー4」に至っては見方によればサイドストーリー的な物語で、しかも「フラッシュダンス」や「トップガン」のようにやたらとロック&ポップスの最新ナンバーがかかりまくる当時で言うところのMTV感覚の作品で第一作「ロッキー」の雰囲気と比べたらまったく違うシリーズのようでした。
両方とも映画としては面白いと思いますが、ドラマチックと言う点では1&2とは比べもんにはならないですね。
「ロッキー5」至っては・・・何で作ったのか今でも疑問だし、作品としてもガタ落ちですね。
やはりロッキーと言う人間のドラマは「1&2」で一応は完結してるなと思ってます。

そしていよいよ公開される「ロッキー・ザ・ファイナル」!作るべきでなかった駄作で終わるか、またはロッキーと言う映画の歴史を締め括るにふさわしい作品なのか?いずれにしても楽しみですね。
ま、原題が「ROCKY BALBOA」と言うロッキーの名前がタイトルになってます。
過去の作品見たいに数字の入らないタイトルなので、人間ロッキーを今一度掘り起こした人間ドラマ「ロッキー」を期待したいですな。



(1976年 アメリカ映画 119分 ビスタサイズ)

No.034 「アンフェア the movie」 (2007年 日本 112分 ビスタ)

2007-04-08 00:44:32 | 2007年劇場鑑賞
監督 小林義則
出演 篠原涼子
    椎名桔平
    寺島進



高視聴率をマークしたTVドラマの映画版(つまりthe movieというヤツですね)
この手のシリーズで代表的なのは何と言っても「踊る大捜査線」でしょうね。
あの番組はTVの第1回目から私は見ていて、映画版が製作された時は何か変にスケールアップされるのも如何なものかな~?
と思ってたけど映画版も面白かったし、勿論大ヒットで後のthe movie物の乱発に拍車をかける事になりました。

で、この「アンフェア」・・・一度もTVで見たことありませ~ん!
番組自体あまり知らないし、TV版の筋も設定もまったく予備知識もないので、これが果たしてどれだけ意外な展開で意外な結末なのかイマイチ分からないので、予告を見た印象では女版和製ダイハードぐらいの認識しかなかったのです。

(あらすじ)

何者かが仕掛けた爆弾で自宅の駐車場に止めてあった雪平(篠原涼子)の車が爆発炎上、学校に向かおうとしていた娘の美央が巻き込まれ爆風で大怪我を負ってしまう。雪平は刑事をしているために払う犠牲が娘の美央に及ぶことを心配し、刑事を辞めようかとさえ思い始める。しかし、数時間後、警察病院がテロリストに占拠されてしまい……。

女優として最近評価が上がってる篠原涼子さんですが、この映画見た限りでは芝居あまり上手くは感じませんね~
クールでスタイリッシュと言えばそれまでだけど、セリフにしてもあまり感情表現が感じずイマイチでしたね。

そんな彼女が病院がテロリストに乗っ取られ、その病院に残した娘を救うために単身乗り込んでいくが、それと平行して警察内部の裏金が発覚してお偉方を慌てさすという展開は実際不祥事が続く警察への皮肉のような話とも取れたりして中々面白かったですよ。

後半は二転三転する展開になっていき(TV版もこんな感じなのかな?)最後まで観客を惹き付けるが全体的に派手なようでどことなく邦画らしい安っぽさが大スクリーンで見るよりは「TVの2時間ドラマでもエエんちゃうん?」と少し思ってしまったな~

テロリストのボス役の椎名桔平もまずまずいい味出してたけど、部下の成宮寛貴がミスをして細菌に感染した場面での何とか助けようとする行為に根っからの悪じゃない優しさが感じられました。
アラン・リックマンあたりなら有無も言わせず見殺しか、その場で処刑やな・・・

相変わらずガラッパチな寺島進や憎たらしい警察の上層部の一人である大杉漣、相変わらずクールな江口洋介など脇は中々の役者揃いな贅沢な映画ですね。
特に意外だったのが加藤雅也が軽々しい三枚目を演じてることだったな~



★★★ 2007.4.5(木)  布施ラインシネマ10 北館 シネマ7 19:00 M-11

No.033 「ステップ・アップ」 (2006年 米 100分 シネスコ)

2007-04-07 00:43:48 | 2007年劇場鑑賞
監督 アン・フレッチャー
出演 チャニング・テイタム
    ジェナ・ディーワン
    マリオ



久々のダンス映画ですねこれは~
音楽学校を舞台にした映画では「フェーム」があるし、ダンスを通じて自分を変えて行こうとする若者を描いた作品でも「フラッシュダンス」に青春映画では「フットルース」があった。
他にも「ダーティダンシング」や「ブレイクダンス」など80年代には「フラッシュダンス」の大ヒットでこういうダンス映画が色々製作されたもんでした。
私個人的には「フラッシュダンス」はビデオで見たけど噂ほど感動しなかったな~
劇場公開時は宣伝ではリピーター続出見たいに書かれてたけど、ビデオで見たせいかも知れないけど、何より主演のジェ二ファー・ビールスがクライマックスで踊るダンスが吹き替えっのがアリアリと分かってしまうのが興ざめしたのかも知れない・・・

しかしこの「ステップ・アップ」では主演の2人のチャニング・テイタムとジェナ・ディーワンが見てる限りは吹き替えなしで踊ってるのでドラマ自体に真実味が増すと言う物ですね。

(あらすじ)

ボルチモアの貧しい家庭で育った不良少年タイラー(チャニング・テイタム)は、ある事件をきっかけに有名な芸術学校で奉仕活動をすることに。ストリートダンスが得意な彼は、バレエダンサーのノーラ(ジェナ・ディーワン)と学校で出会い、ひょんなことから彼女のダンスパートナーとして発表会を目指すことになる

最初の方の場面でシネマスコープの画面の中にノーラがパートナーのオーディションする場面があるけど横長の画角の中の真ん中に人物を配置して左右に空間を設けることで彼女の心に開いた穴を強調してる見たいに感じました。
逆にクライマックスの発表会の場面ではスクリーンを埋めるかのように多人数でのダンスシーンが前半とほ対照的な絵作りに思えました。

不良少年と裕福な家庭の女の子との恋愛やそれに伴い友情が壊れたり、元カレとの確執などドラマ的にはありきたりの青春映画のパターンで目新しくないけど(ただタイラーの親友の弟のたどる運命は気の毒)ダンスシーンはさすが美しくかつダイナミックで見ものですね。
やはり俳優自らが踊ってるのがいいですな~

エイベックスが配給してることもあり日本公開版だけはエンドロールの曲が倖田來未の曲流れました・・・しかも本編の後のはタイアップ企画で選ばれた6人のダンスが倖田來未の曲に乗ってそれぞれダンスを披露するおまけ映像もありました。
映画を見にきた観客が劇場備え付けの投票箱にダンサーのナンバーを書いて投票して優勝を決めるそうだけど・・・ま、適当に書く人も多いだろうからダンサーたちの優勝云々は実力よりも運といったところか・・・



★★★ 2007.4.5(木) 布施ラインシネマ10 北館 シネマ3 16:50 K-3






「肉の蝋人形」

2007-04-05 23:50:45 | DVD&ビデオ&テレビ(地上波/CS)
何度も映画化されているクラシックホラー映画の代表作で、今回鑑賞したDVDでは1933年版とそのリメイクの1953年版が同時収録というお徳な一品

両方比べて見てると53年版は33年版のオリジナルにかなり忠実に作られてるのがよくわかります。
生きた人間を蝋人形に仕立てると言う話だけど、実際に仕立てる場面は出て来ないが、精巧に作られた蝋人形の不気味さはクラシックなホラー映画らしい独特な味があっていいですね。
今なら特殊メイクなどで結構エグイ蝋人形の製作シーンなんか演出されそうだけどね。
そんなに残酷な場面は両作とも出てこないけど、人間を蝋人形に仕立てるという行為の猟奇性一本で恐怖感を出してますね。

また火事で蝋人形が溶け落ちる場面などは結構気持ち悪いものがありますね。
解けやすい蝋という物の素材を上手く活かした場面でした。

また顔面を叩くと顔が蝋で出来ていて、中からケロイド状の焼け爛れた顔が出てくるのは仕掛けとしては当時はショッキングだったんではないでしょうか?

後に1996年にイタリア映画でのりメイク作もあるけど、ダリオ・アルジェント製作、ルチオ・フルチ脚本て言う割りにはイマイチだったな・・・
雰囲気といい出来き具合といいやはりこの2作に軍配があがります。



★★★★

No.032 「タクシードライバー」 (1976年 米 114分 スタンダード)

2007-04-02 02:36:05 | 2007年劇場鑑賞
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロ
    ジョディ・フォスター
    ハーヴェイ・カイテル



シネフェスタ最後の24本「タクシードライバー」をワンコインのさよならイベント上映で鑑賞してきました。

10年前に大阪市内初のシネコンということでオープンした{動物園前シネフェスタ4}が3月31日を持って閉館してしましました。
大阪市の第3セクターで都市型遊園地フェスティバルゲートという施設が通天閣の下、JR環状線新今宮駅前に10年前の夏にオープンして、ショッピング街や飲食店、そして施設内を滑走するジェットコースター、{デビル・ザ・コースター}が売りで、他にも隣接する世界の大温泉スパワールドが人気をはくして出だしは好調だったが1年たてばもう閑古鳥が鳴く始末・・・いつの間にか大阪市のお荷物となってしまいました。

その施設の中にあったのが動物園前シネフェスタ4でした。
フェスティバルゲート廃業に伴い閉館とのことだったがフェスティバルゲートまだ営業続けるようだ・・・いい映画館だったのに惜しいな~

そのさよなら上映イベントが一週間あり日替わりで名作をワンコイン¥500-で上映されて、「マトリックス」「ブラックレイン」「ピンポン」「シュリ」など比較的新しい作品が多いラインアップの中で、最後の2日間は「明日に向かって撃て!」「タクシードライバー」そしてラストデーが「ローマの休日」「ゴッドファーザー」「スタンドバイミー」と懐かしい作品が名を連ねました。
ホントは最終日の「ゴッドファーザー」を見たかったけど仕事で行けないので諦めてましたが、急遽思いつきで最終日前日の30日金曜日になんとか都合つけて「タクシードライバー」を見に行くことに!
最後のシネフェスタで見る作品がこの作品とは想像もしなかったけどな~

さすがいつもより人が多いですね~それも男性が中心で、オッサン多し!
いよいよ上映開始で幕が開くと何とスクリーンが小さく感じるTVサイズ・・・「タクシードライバー」はスタンダードサイズだったんですね~(DVDソフトはたしかビスタサイズだったような・・・)
でも劇場公開はこのサイズだったんでしょうな?(公開当時は劇場では見てない)

(あらすじ)

ベトナム帰りの青年トラヴィス・ビックルは夜の街をタクシーで流しながら、世界の不浄さに苛立ちを感じていた。大統領候補の選挙事務所に勤めるベッツィと親しくなるトラヴィスだったが、彼女をポルノ映画館に誘ったことで絶交されてしまう。やがて、闇ルートから銃を手に入れたトラヴィスは自己鍛錬を始めるが、そんな彼の胸中にひとつの計画が沸き上がる……。

この映画がビデオで2回ほど過去に見たことありますが、1度目は淡々とした映画やな~という印象で、2度目は中々と深いドラマやな~と思いました。
そして3回目にして劇場での鑑賞となった今回は・・・いやはや参りましたね~様々な思いが心に沁みてくる名作だと思いました。
初めて見たのが20代初めの頃だったけど、今や40過ぎて見ると捉え方が変わって見てしまいますね。

ベトナム帰りのトラビスの目を通して描かれる70年代のアメリカ・・・ベトナムの後遺症が残ると言われてる時代背景をタクシードライバーの目を通して描かれていると思います。

気だるい雰囲気の夜の街・・・流れていく派手なネオン、夜の街を徘徊する娼婦たち、さびれたポルノ映画館、街の至るところに妖しさと、そして紙一重の狂気が潜んでる。
昔よく聞いた怖い街のNYをそこに感じてしまいましたね。
そんな暗く“闇の部分”のアメリカの象徴のようにトラビスの事を感じましたね。

その中で馴染もうとする主人公トラビスが、ある時大統領候補の選挙事務所で働くべッツィーに一目惚れしてしまう。
彼女こそこの作品では“明るい部分”のアメリカの象徴と言えるかもしれませんね。
そんな彼女に闇の部分で生活するトラビスとの不釣合いなコントラストがいいですね。
そして不釣合いなまま初デートに連れて行ったのが夜のポルノ映画館・・・当然彼女は激怒してその場を去ってしまう。
トラビスの暮らす世界では彼女は当然ながら馴染める訳もなく、またトラビスも彼女の世界では馴染めないの判っていること。

そんなフラストレーションの中から彼は闇のルートから拳銃を手にして、ある行動を取るが、それは彼の狂気の始り・・・部屋にこもりナイフを足にテープで固定し、ホルスターに2丁のピストルを隠し持ち、片袖には自作の自動ピストル飛び出し装置をつける・・鏡に向かって“You're talking to me ?”(「俺に話してんのかい?」)と何度も語りかけピストル身構えるトラビス・・・最高に“危ない奴”を目の当たりした感じ・・・このデ・ニーロがカッコ良くて堪らないぐらいいいですね。

そんな中で自分の世界で出会ったある娼婦・・・彼女は自分の住む世界側に居る人間だが、そんな彼女をその世界から救おうするトラビスの姿に彼女から何か希望を見出そうする姿を感じてしまいました。

戦闘モードとなったモヒカン刈りのデ・ニーロが広場で大統領候補の演説を群集の後方で笑みを浮かべながら立ってる姿がまたキマッテルね~
またしても最高に“危ない奴”を目の当たりした感じ・・・
このシーンでのトラビスとシークレットサービスとの会話のやり取りがまた最高の“おちょくり”でいいな~

大きなことする為にピストルなどを武装したのに結局は娼婦を救うために使用してしまう結果になるけど、この事で彼は英雄のような扱いになっていく・・・
ここからの終盤は賛否も含めて色々な見方があるようだけど、この作品以前の“ニューアメリカンシネマ”と言われる作品群なら結局は主人公は破滅の道を辿っていくんだろうけど、この作品がどことなくハッピーエンドで終わるのは、ベトナム後遺症の時代から「これからは希望を持って行こうよ」という作者のメッセージが感じ取られるように私は感じましたね。
かつてトラビスを絶交したべッツィーが一躍英雄扱いになった彼のタクシーに乗り意味ありげな雰囲気を出すが、彼はまったくそれを無視し、夜の街にタクシーを走らせるていく・・・自分の世界で生きることの意味や生きがいを見つけたかのように・・・流れるネオンとともバーナード・ハーマンのジャージーな名曲をバックにエンドロールがかぶっていくこの幕切れはまさに悩めるアメリカからの脱却のメッセージに感じました。

当時のアカデミー賞にもノミネートされたようですが、この作品を押さえて作品賞を受賞したのが「ロッキー」・・・トラビスとは無縁なアメリカンドリームを実現させたロッキーの物語ってのが対照的な感じですね。

最後に一言・・・フィルムが古いので仕方ないけど背景と重なって字幕が読みにくいのが辛かったな~昔はこれが普通だったんだがね。



★★★★★ 2006.3.30(金) 動物園前シネフェスタ4 シネマ4 18:15 10列目右端






No.031 「ポイント45」 (2006年 米 96分 ビスタ)

2007-04-01 00:54:02 | 2007年劇場鑑賞
監督 ゲイリー・レノン
出演 ミラ・ジョヴォヴィッチ
    アンガス・マクファーデン
    スティーヴン・ドーフ



ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のこの作品ですが、公開してる劇場が少なくあまり知られてなさそうでね。
公開中の映画の前売り券を扱ってる戎橋のツタヤでもこの作品は取り扱ってないと言ってたし、何かミラ・ジョヴォヴィッチ主演とはいえマイナーな感じですね。
しかし案外こういう作品に拾いものがあったりするんですがね~ 
天六ユウラク座で見た「ダウト」のような曲者のような気配を感じながらの鑑賞・・・20時台のレイトショーと言うことでお客さん十数人と言った按配ですが・・・これってこの作品にしては多い方なのかな?

(あらすじ)

ニューヨークの“ヘルズキッチン”で生まれ育ったキャット(ミラ・ジョヴォヴィッチ)とその愛人アル(アンガス・マクファーデン)は、45口径の拳銃と盗品を売りさばく売人として裏社会で生きていた。ある日、キャットは新たな顧客を開拓するため、アルに内緒で取引を行うが、逆にアルの恨みを買ってしまい激しくいたぶられてしまう。

愛人からDVを受けていたヒロインがその相手に復讐をする話・・・ぐらいの知識で見にいったんですが正直言ってかなり期待ハズレもいいところでした。
思ってたのと感じが違う作品だったね~

愛人に顔が変形するぐらい虐待されたミラ・ジョヴォヴィッチ扮するキャットが中々復讐するような素振りも見せず「いつ反撃に動き出すんかな?」と思って見てたけど、復讐するどころか殴られて「アルを愛してるの・・・」と言い出す始末・・・仲間のレズ女や同じくレズのセラピストにチンピラ(久々のスティーブン・ドーフやがな)の心配をよそに一向に暴力愛人のアルから離れようとしない展開に「もう映画終わるんちゃうん?」と心配してたら最後の数分で「実は全て計画済みのしたたかな女だった・・・」て感じで映画終了!

別にどんでん返しというほどでも無いしクライムサスペンスのような展開でもなく、爽快感などのない結末に落胆してしまった。
もう少しバイオレンスな形の復讐劇を期待してたけど、何か復讐を果たした主人公のキャットに対して「嫌な女やな・・・」と嫌悪感を持ってしまったよ。

「バイオハザート」シリーズなどで勇ましい戦う女振りを発揮してるミラ・ジョヴォヴィッチだが、この作品ではやたら男に殴られシバかれてしまいます。
でも何か哀れで可愛そうな感じが全然しないのもこの映画に入って行けなった原因の一つかもね~
スレンダーボディを披露してのベットシーンなどあるけど・・・相変わらず胸板薄いぞ~!



★★ 2007.3.29(木) 敷島シネポップ2 20:00 J-15