最後の最後で何かに気づいたような気がしたものの、カビたトリュフではどうにもならない。モヤモヤとした思いだけを残して、そのままトリュフのことは忘却の中に消えていった。
再びそれが呼び起こされたのは、それから2年後のことだった。
こんどは別の菌友からトリュフが送られてきたのである。大謝謝!
小ぶりなサイズながら、今回はにおいがハンパなく強い。冷蔵庫に入れておくと庫内が佃煮臭であふれかえるほどだ。これがおそらく完熟品なのだろうと納得する。
とりあえず適当にオムレツにでもしてみた。
!!
食べてみてはっきりした。やっぱり何かが以前とは違う。
確実に「良いにおい」だと認識できるようになっているのだ。
におい自体は前回より強いものの、においの質が変わったわけではない。相変わらず佃煮臭と、ボンドっぽい化学系のにおいがする。一言で言えば「クサい」。前と同じだ。でもそれを良いにおいと感じる。その理由はおそらく・・・「自分の認識が変化したから」だろう。
たとえばウーロン茶という飲み物がある。
今でこそソフトドリンクの定番として定着しているけど、私が中学生くらいの時分には、まだ多くの人にとって未知の存在だった。私などは「お金を出してお茶を買うなんてバカバカしい」と本気で思ってたくらいだから無理もない。
それを初めて飲んだときは衝撃を受けたものだ。「ぐえ。マズいお茶!」と。
でもそれから幾度か飲むうちに、不思議と違和感がなくなり受け入れていって、今ではむしろ好きな飲み物の部類に入っている。
トリュフもこれと同じではないのだろうか。
新しい感覚を受け入れるには、ある程度の回数と時間が必要なのだ。
何回か繰り返すうちに馴染んでいき、ある時を境にして、まるでトンネルでも通じたかのようにその感覚が開発される。「慣れる」のだ。
トリュフは高級品。せいぜい祝いの席のフルコースで出てくるくらいで、普通の人はめったに口にすることがない。たまにトリュフ料理を食べるくらいでは「え、こんなもん?よくわからんわー」で終わってしまうのも無理はないかもしれない。
なるほどなー。
いや、でもこれが良いニオイだとしても、あんなに大金を積んで手に入れようとは思わんぞ。そのへんはもうちょっと掘り下げて考える必要があるかも。
【続く】
再びそれが呼び起こされたのは、それから2年後のことだった。
こんどは別の菌友からトリュフが送られてきたのである。大謝謝!
小ぶりなサイズながら、今回はにおいがハンパなく強い。冷蔵庫に入れておくと庫内が佃煮臭であふれかえるほどだ。これがおそらく完熟品なのだろうと納得する。
とりあえず適当にオムレツにでもしてみた。
!!
食べてみてはっきりした。やっぱり何かが以前とは違う。
確実に「良いにおい」だと認識できるようになっているのだ。
におい自体は前回より強いものの、においの質が変わったわけではない。相変わらず佃煮臭と、ボンドっぽい化学系のにおいがする。一言で言えば「クサい」。前と同じだ。でもそれを良いにおいと感じる。その理由はおそらく・・・「自分の認識が変化したから」だろう。
たとえばウーロン茶という飲み物がある。
今でこそソフトドリンクの定番として定着しているけど、私が中学生くらいの時分には、まだ多くの人にとって未知の存在だった。私などは「お金を出してお茶を買うなんてバカバカしい」と本気で思ってたくらいだから無理もない。
それを初めて飲んだときは衝撃を受けたものだ。「ぐえ。マズいお茶!」と。
でもそれから幾度か飲むうちに、不思議と違和感がなくなり受け入れていって、今ではむしろ好きな飲み物の部類に入っている。
トリュフもこれと同じではないのだろうか。
新しい感覚を受け入れるには、ある程度の回数と時間が必要なのだ。
何回か繰り返すうちに馴染んでいき、ある時を境にして、まるでトンネルでも通じたかのようにその感覚が開発される。「慣れる」のだ。
トリュフは高級品。せいぜい祝いの席のフルコースで出てくるくらいで、普通の人はめったに口にすることがない。たまにトリュフ料理を食べるくらいでは「え、こんなもん?よくわからんわー」で終わってしまうのも無理はないかもしれない。
なるほどなー。
いや、でもこれが良いニオイだとしても、あんなに大金を積んで手に入れようとは思わんぞ。そのへんはもうちょっと掘り下げて考える必要があるかも。
【続く】