月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

ひめかばいろたけ

2012-06-13 20:03:24 | キノコ
近畿地方は6月8日に梅雨入り。

雨もぼちぼち降っているとはいえ、まだキノコには早いようだ。期待できそうなのはヒメカバくらいだなー、と思いながら雑木林を歩いたが、やはりヒメカバくらいしか見つからなかった。あとはチャツムタケとか、マツオウジくらい。畑やウッドチップ探した方がキノコ確率高いかもしんないな。

もうちょっと光があればきれいに撮れるんだけどねー。梅雨なのでぜいたくは言えんス。
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トリックスター

2012-06-12 20:15:12 | キノコ本
≪トリックスターはこのように、策略にとみ、変幻自在であり、破壊と建設の両面を有している。アフリカの神話に活躍するトリックスターが案外、創造神話と結びついたりするのもこのためで、破壊によって古いものが崩れ、そこに思いがけない結びつきが生ずることによって、新しい創造が成立するのである。トリックスター的存在はどのようなところにもいるものである。敵対するグループの両方に属していて、片方の秘密を片方に流したりするので、大騒ぎが起こったりするが、そのような騒ぎを通じて案外、二つのグループが仲良くなったりするときもある。トリックスターは二つの世界の中間地帯を跳びまわり、そこに波乱を巻きおこす。失敗したときは人騒がせないたずら者であり、成功したときは新しい統合をもたらす英雄となるのである。≫

河合隼雄『無意識の構造』から引用

トリックスターっていう言葉がある。かなりひらたく言ってしまえば、あまのじゃく的な人物を表す類型のひとつだと思うんだけど、ちょっと言葉では言いにくい。上の引用でもわかりづらいだろうな。でもなんとなく、言わんとしていることわかるだろーか?

トリックスター的な人って、すごくキノコ的だと思うわけよ。善でもあり、悪でもある者。敵でもあり、味方でもある者。破壊者でもあり、創造者でもある者。仲立ちをする者。混乱を招く者。二律背反。天才バカ。

ハーメルンの笛吹き、ねずみ男、坂本竜馬、小泉純一郎。

あなたの周りにもいませんか?トリックスター。
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『西の魔女が死んだ』

2012-06-09 20:39:53 | キノコ本
≪ここはいつか来たことがあるような気がする、とまいはぼんやり思った。
ふと、急に空が明るくなって陽が微かに射し込んだ。同時に何かとても甘やかな匂いがして、まいはその方角に瞳を凝らした。
沢の向こう側の山の斜面に、二、三十メートルはあろうかと思われる大きな木が、これもまた、二、三十センチはありそうな白い大きな花を、幾つも幾つもまるでぼんぼりを灯すようにしてつけているのが目に入った。花は泰山木を一回り大きくしたようでもあり、蓮の花のようでもあった。
そうだ、あれは空中に咲く蓮の花だ。おばあちゃんは、蓮の花は空中には咲かないと言っていたけれど。霧の中で夢のように咲いている。まいはすっかり魅了されて動けなかった。ああ、おばあちゃんの言うとおり、人間に魂があるのなら、その魂だけになってあの花の廻りをふわふわと飛遊していられたらどんなに素敵だろう。
引かれる気持ちが強すぎて、まいは怖くなった。例の、「自分が心から聞きたいと願ったわけではない声」が、また聞こえてきそうな気がしてきた。きびすを返してそこを立ち去ろうとし、まいは足を滑らした。そして大きく段がついているようになっている、穴の中に落ちてしまった。けがはしなかったが、すっかり泥だらけになった。立ち上がろうとして、まいは、あっと目をみはった。
穴の脇は更に深い洞のようになっていて、その一面に美しい銀色の花が咲いていたのだ。暗い林の奥の、そのまた暗い、ほとんど陽も届かないはずの場所に。その植物は、二十センチくらいの、葉を持たない銀白色の鱗をつけた茎の先に、やはり銀細工のような小さい蘭に似た花をつけていた。それが何十本となく、まるで茸かつくしのように地面から生えているのを見るのは不思議な光景だった。
まいはそこでしばらく我を忘れて見入っていたが、やがてかさこそと木々の合間を縫って雨の落ちる音を聞き、立ち上がった。膝が痛かった。その不思議な美しい花を一本採り、穴から出た。≫


『西の魔女が死んだ』梨木香歩

昨日の記事の引用部分から強く連想されたので紹介する。

悲しみ、ないし怒りにとらわれた女性が一人で森へ行く。『秋桜』でアレーナは松茸に誘われて、せせらぎの近くに蜂の住まう巣箱を見つけるが、『西の魔女が死んだ』では、ホオの木、穴、ギンリョウソウが同じ役割を果たす。これらは、ただ漫然と登場しているわけではなくて、現実の世界から少しはずれた場所を象徴している。その場所とは、すなわち死の世界・彼岸だ。
この引用部分では、『秋桜』よりもはっきりとした形でそのことを示している。

彼女たちはこの場所で、それぞれに抽象的な形で死の世界の者たちからメッセージを受け取り、これを転機として再生を果たす。死せる者から生ける者たちへ。この二つの話が、魂の輪廻というテーマを共通して持っているのがよくわかる。

キノコは生と死をつなぐもの。生の世界に住む我々にとって、死の玄関口に立つ彼らは不吉なものとして目に映るが、死の世界に住む者にとっては、彼らと彼らが残した者たちとをつなぎとめる、貴重な仲立ちとなる。

ゆめ忘るるなかれ
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『解夏』(げげ)

2012-06-08 22:06:38 | キノコ本
(あ)
もう、松茸が出ている。そこいらで松茸の匂いがした。
今日は帰りに採って帰ろう。アレーナ自身は本当のことを言えば松茸の香りや美味しさはちゃんとは分からないのだけれど、アレーナが舅に教わった通りに作る吸い物を夫はひどく気に入っていた。
喜久枝も、濡れた和紙にくるんで軽く焦げ目がつくまでオーブンで焼いてやると、嬉しそうにそれを手で裂いて、すだちをかけて食べる。刻んで酢飯とあえると太郎もよく食べた。
舅は生前、すき焼きの鍋の中に松茸の刻んだのを豪快に、まるでネギかエノキのようにたっぷりと放り込んで食べるのが好きだった。
「都会なら贅沢だろうが、なあに、自然の分け前だに」
舅の自慢そうな笑い声が聞こえるようだ。
頭に血が上って、勢いで飛び出してきたのに、しばらく時間が経ってみれば、今夜の献立まで考えている自分が可笑しかった。
このところ雨が降らないのでせせらぎの水の量は少ない。近づけばいつも滝の音がし、マイナスイオンに満ちた風が向こうから吹いてくるのに今日はさほどではない。
その代わりに、別の音が聞こえた。
微かではあるが羽音がする。もう聞き慣れた羽音だ。
近づきながら胸がいっぱいになった。

蜂は確かにアレーナの巣箱に入っていた。
「ああ」
アレーナは巣箱の脇に崩れるようにしゃがみ込んだ。
大した数のミツバチがそこで生活をしていた。ただの木箱に生活の音が満ちていた。
この、去年舅が作った、そして夏に自分が置いた巣箱がもう蜂たちには、大切な大切な「家庭」なのだ。
思わず声をあげて泣いた。
「おとうさん」と大声で叫んだ。
それは遠い故郷の父のことか、義父のことか、アレーナ自身にも分からなかった。
誰もいない安心感だったろうか、巣箱を抱きかかえて子供のようにしゃくり上げながら泣いた。
蜂は刺さなかった。


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『解夏(げげ)』。ご存知、古参のシンガーソングライター・さだまさしの小説四本立て。そのなかの一編、「秋桜」より引用。

「秋桜(あきざくら)」……フィリピンから日本に渡り、長野県飯田の農家に嫁いだアレーナ。外国人である自分に常に味方し、たくさんのことを教えてくれた義父・春夫が他界した後、姑の喜久枝との仲がうまくいかずに、ただただ耐える日々を過ごすことになる。義父が生前に授けてくれた養蜂が、彼女の心のわずかな支えになっていた……


歌謡界で最強のトリックスター・中島みゆきの古くからの友人だから、この人もキノコ的人物であるに違いない、という強引な連想で手に取った本だったが、読んでみて驚いた。彼がキノコ的かどうかはさておき、こんなに文章の巧い人だったとは。特に文体の飾りけのない美しさは、そのへんの小説家では太刀打ちできないレベル。

故郷、家族、絆。別離、喪失、そして、それを埋め合わせようと、もがく人の心。降参しました。さだまさし、超リスペクト。
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まめぐんばいなずな

2012-06-06 19:50:15 | 植物
これが生えてくるともう野草の花のバトンリレーも終わりかな、と思う。ニワゼキショウ、ヒメジョオン、マツヨイグサ、チガヤ。アンカー走者のラインナップだ。

そういえばムクドリの雛たちは先日、無事巣立っていった。
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逆立ちシイタケ

2012-06-03 17:27:28 | キノコ栽培
伝説の逆立ちシイタケ再び!
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さらなる『ハルシオン・ランチ』

2012-06-02 22:50:52 | キノコ料理
はっはっは。まだやる気だよ、私は。

第五話に小ネタで『皆既日食のリゾット』のレシピが出てくる(2009年7月22日に皆既日食があった)。折しも5月21日に金環日食があったばかり。

「これは……!」

と思い立ち、「金環日食のリゾット」を作ることにした。

上の写真じゃ、ちょっと読みにくいのでレシピを

材料 白ご飯(0.5合) コンソメ(0.5ブロック) タマゴ(2ヶ) マスタード(好みで少量) のり(全型一枚) プロセスチーズ(1ヶ) 塩(適量)

一. 水800ccにご飯とコンソメを入れ煮込んでカユにする
二. のりとチーズをちぎりながら入れる
三. 全部とけて真っ黒になったら火を止める
四. 深皿に卵を割り入れ(好みでマスタードも)十分に溶く
五. 卵をすべて外周へ押しやるようにカユをゆっくりと流し込む

これのカユの量を少し減らせば金環日食になる……ハズ!



できた!意外に黒くならなかったのでのりは3枚くらい入れた。あとコンソメがなかったので、代わりにこぶ茶を入れといた。

金環日食に見えるかな?ホントは真上から撮りたかったんだけど、どうしても手ブレしちゃうのであきらめた。味は……聞かないでくれ。


なに?これのどこがキノコ料理かって?

太陽は生と創造の象徴、そして月は死と破壊の象徴である。それが二つに重なるというのは、あらゆる中間性を具現した世にも稀なる瞬間なのだ!それを再現したこの料理、これをキノコ的と言わずして他になんと言おう!(例によって超こじつけ)

時事ネタ連発して漫画の賞味期限を損ないまくってるあたり、ホントに自殺行為の好きな御仁。
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『ハルシオン・ランチ』追記

2012-06-01 20:57:39 | キノコ本
ヒマなので『ハルシオン・ランチ』を追撃してみる。





海の向こうの某独裁国家をネタにした一節。ギャグを隠れ蓑にして、これをちゃんと一話描き切ってるのはすごい。フツーヤラネーダロ……

それはさておき、読者を選びすぎるギャグやネタで隠れて分かりづらいのだけど、ストーリーの骨組みがしっかりしているのには感心する。ギャグ漫画として描かなくても十分に作品になるくらい。あとがきによれば、『くいしんぼうのあおむしくん』という絵本から構想を得たそうだ。

それにしてもこの人が描く作品に登場するのはアウトローとか落ちぶれ者とか、そんなんばかりだ。しかし、はずれ者にしかできないことも、世の中にはある。難物のリグニンやセルロースをバリバリ分解してしまったり、植物と共生関係をつくり生態系の地盤を支えたりするキノコのように!

って、かなり無理やりなこじつけだがな。まあ気にしなさんな。



埋めくさ四コマ。二つだけのオマケ四コマ漫画が両方ともキノコがらみだから、さっきのこじつけも、そんなにマトはずれじゃないかも?



もうひとつ。だからそういう危ないネタ使うなってーの!
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