奈良大好き☆お勉強日記

奈良大学文学部文化財歴史学科(通信教育部)卒&奈良まほろばソムリエ検定のソムリエを取得したヒトの色々な勉強の日記です♪

花の吉野で桜三昧編

2012年04月20日 | 色々・モシクハお勉強
4月16日(月)
長年の夢だった吉野の桜を見に行ってきました。

例年桜の時期の吉野は劇混みだっていう話は聞いていたので、
今まで尻込みにしていたんだけど。
とりあえず、今年は絶対に行くぜ!って決意して、あれこれ旅行計画。
なぎさんと、ゆずさんと、yumekoさんをお誘いして、いざ吉野へ。

朝7時過ぎなんて時間にも関わらずの劇混みは、
橿原神宮前駅からすでに始まっていました。
平日だから人が少ないなんて考えははっきりいって間違っていた。
ホームに滑り込んできた電車は、阿倍野橋からの直通の電車で、
ここで下車する人も少なく、当然座れるわけもなく、
電車は登校の学生さんたちを満載したまま一路吉野へ。

彼らはどこで下車するんだろうと思っていたら、
なんと私たちと同じ「吉野神宮」駅で降りました。
一気にガラガラになる車内。ふー。

今回はタクシーをチャーターしました。
朝9時を過ぎると吉野山は通行規制が始まるので、その前にサクッと奥まで登るために。
その前に、ちょこっと寄り道して、吉野神宮へ。
吉野へきても、吉野神宮には行ったことがなかったので、ここも行ってみたくて、
この後にも予約が入っている運転手さんに無理言って、連れて行ってもらうことに。
あとで駅から徒歩というのもあったけど、車で行ってくれるならば、それに越したことはない。

午前8時過ぎの吉野神宮は人もほとんどいなくて、静けさの中に凛とした空気。
落ち着いた雰囲気の中で参拝して、この日の無事を祈りました。

あとは、タクシーにて一気に奥千本、金峯神社の足元まで運んでもらいます。
道のわきの有料駐車場はすでに満車の様相。
いつもは電車+ケーブル+徒歩で歩いていた金峯山寺の門前町とは違う、
くるま道路をサクサクっと車で登って行くと、いつしか向かいの山の、
金峯山寺の屋根よりも高い場所を走っていました。
ブラボータクシー!

途中出くわした奥千本へのバス乗り場はすでに長蛇の列になっていました。
そうかー、奥へ行くにはここからバスを利用すればいいのか。
しかし、金峯神社へ行くならば、タクシーの利用を強く強くお勧めしますわ。
何故ならば金峯神社というのは、奥千本のバス停から、
かなりの登り道をあがった所にありますから。
それが、タクシーならば神社のきわまで行ってくれます。
ブラボータクシー!!

体力を温存したまま、金峯神社と、義経が隠れていたという隠れ塔(別名:蹴抜けの塔)
を参拝。ここでも道中の無事を祈ります。

そして、本日最大の難所、西行庵へ。
ここ、急な坂+狭い道+切り立った崖と、さんざん脅しかけられていた場所なので、
どうしたもんかと思いましたが、ここに来るまでにぜんぜん体力を使ってないせいか、
よいしょよいしょと登っていくと大した苦労もなく(?)西行庵に着くことができました。

今日は人が多かったし、道案内もたくさん出ていたので、不安が無かったってのもあるかも。
西行といえば、今年の大河ドラマ『平清盛』では、出家前の「佐藤義清(さとうのりきよ)」が
あんまりにも美男子(藤木直人)なので、ここも人気でそうだよねー(笑)
しかし、こんな山奥に、何故に、一人で、庵を結んで住んでいたんだ?

「歴史上の有名人は、後世の人間のことをぜーんぜん考えてない!
なんでこんな所住むんだ!行ってみようと思っても、こんなとこ、
なかなかこれんじゃないか!」とブチブチ。

いや、誰も来ないような山奥だからこそ、俗世を捨てた彼は移り住む気になったんだろうけど。
しかし、こんなとこ、一度登ったら、なかなか”下界”まで降りられないよ。
水はともかく、米はどうしたんだ?野菜は?筆は?紙は?どうやって入手したんだ?

「西行の莫迦ぁー!こんなとこ住むな~!」と言ったならば、
「だったら来るな!わざわざ山奥に引っ込んでんのに!!」と返されそうでした。
しゅん…。

「願わくは 桜の下にて春死なむ その如月の 望月の頃」by西行法師

この歌には100%同意するし、我もかくありたいと思うのだけど、
普段はこのような場所に住みたくはないです、はい。
わたし、近鉄沿線じゃないとムリです。
花の吉野は理想郷だけど、匂うがごとく今盛りの奈良の都が恋しいもん。

その後、山をぐるっと一周して「苔清水」へ。
「露とくとく心みに浮世すすがばや」by芭蕉

西行ラブだった芭蕉は、西行を追っかけてこの地を二度訪れているんだそうで。
ご苦労様でした。ワレワレの先輩ですね>モノ好きってことで(笑)
誰に頼まれたわけでもないのに、こんなところまで登ってきて。

土地勘のない場所でしたが、とりあえず看板と人の流れを辿って、
ぐるっと一山あるいてきて、元の位置に出たのが1時間5分後。
登ったり、滑ったり、焦ったりする本日の苦行はココまでです。
あとはひたすら「山くだり」をする道です。

奥千本バス停から登ってくる人たちとすれ違って、吉野水分神社へと下山。
吉野水分神社は、去年屋根の葺き替え工事をしていて、これが完了したばかり。
今年吉野へ来たのは、これだけでも正解だったような気が…。
これも普段の行いがよいせいか?(謎)

ここは赤ちゃんのよだれかけがたくさん奉納されていて、子授けの霊験もあらたかだとか。
水分(みくまり)→みこもり→こもり、子守り、子守!バンザーイ!(謎)
なんだそうですよ。ここ。

新井白石も、豊臣秀吉の息子・秀頼も、
親が子守明神さんへパンパンして授かった子だっていうし。
(そのせいか、現在の社殿は秀頼の創建だそうな)

そして、テクテクくだって、花矢倉とよばれるビュースポットへ到着。
展望台になっているところから眼下に広がるのは…オオ!
ガイドブックでおなじみのあの光景でした。

金峯山寺が遥かに下にあり、桜色に染まった中千本がドドーン!!
ポヤポヤした桜色のものが山のあちこちにあり、
これぞ「ザ・吉野!!」どーだ!って光景に圧倒されました。

花矢倉の展望台からすぐ階段が伸びていて、その途中がまた絶景。
そこで階段をはずれたところに少しスペースがあったので、
そこでランチタイムとしゃれ込むことに。
ぺたりと地べたに座り込むと、眼前には「一目千本」の桜景色。
足元は崖(!)ですので、自分の前には「景色」しかありません。
うーん、桜をおかずに持参した弁当を堪能。

食後はずんずん下りながら、そろそろ人家もちらほら出てくる頃。
タクシーの運転手さんに教えられた「秘密の道」へ抜けると…。
別荘のような洋風の建物が点在する地区へ出て、これがまた絶景。
自分の家に居ながら「吉野の桜」が眺められるなんて、贅沢!

人の少ない道を降りてきたら、なにやら行列している場所に遭遇して、
「はて?」と思ったら、そこが奥千本行きマイクロバスの乗り場。
まさに長蛇の列で、タクシーで登っていく時もここは混雑していましたが、
昼を過ぎてもなお、というか、尚一層大混雑。

教訓:吉野は早起きするに限る(体験談)

私は勝手神社よりも上に上がったことがなかったので、
ここからしばらくの間はどれもお初なお寺が並びます。

まずは「竹林院群芳園」寺というよりも、現在はお庭です。
大和の三大庭園の一つで、秀吉も立ち寄ったとか。
中入ったら…人工的に配された桜の木が満開で、これはこれでまた素敵。

ぐるっと一周しながら、ちょっと小高い丘になった部分で一休みして、
コーヒーをいただきながら桜見物。
桃源郷ってこんな感じなのかなあ?(←それは、モモだろ)

竹林院の斜め向かいは「桜本坊(さくらもとぼう)」
ここは、天武天皇の「夢見の桜」があるところ。

壬申の乱の起こる以前、大海人皇子が吉野で、桜が咲いている夢を見た。
しかし時は冬。まさか桜など咲いていまいと思うが、
眼前の山に一本だけ咲いている桜の木を発見。
それがここの桜の木だったとのこと。
角乗なる高僧にそれを話すと「それは吉兆なり。
この夢は、皇子が次の天皇となられるという知らせでしょう」

その通り、大海人皇子は壬申の乱に勝利して、天武天皇となり、
あの桜のある場所に寺院を建て、「桜本坊」と名づけ、角乗を住職に迎えたのでした。

入って驚いたことに、この日は特別御開帳の最終日。
そのおかげで白鳳仏の釈迦如来坐像が拝めました。
おお、日頃の行いが…(以下略)南無南無。

本堂、聖天堂、大師堂を巡ってきて、最後に大きな広間があったので入ってみると。
大広間の外側を巡っている廊下沿いの窓からは、「桜!桜!桜!」
この広間も「舞台造り」もしくは「吉野建て」になっているため、崖から張り出していて、
広間の左奥の角は、右も左も「さくら!さくら!!さくら!!!」
寺名にたがわずだわ。圧巻。

ここを出たあたりで、雨が降り出してきました。
うーん。
普段は晴れ女の私ですが、吉野とはソリが合わないのか、
昔、如意輪寺で、時刻も同じ頃(3時過ぎ)、雨に降られて早々に退散したこともあったっけ。

喜蔵院(宿坊やってます)、東南院(多宝塔があるよ)、吉水神社(義経や後醍醐天皇の間がある)
などはさくっとはしょり、金峯山寺へ。

この時期は蔵王権現さんの特別御開帳をやっていました。
昔はなかなか見せてもらえなかったのですが、近年(世界遺産に登録後)は
しょっちゅう見せていただけるようになってますから、昔ほど有難みは…いや!
ありがたやありがたや。
まっ青な顔して怒っている蔵王権現様に見据えられると、そんな冗談も言えなくなります。

雨は止むどころか、しとしと具合を増してきましたが、
すでに見所も、桜も堪能しましたから、まあいいや。
草餅も、吉野葛も、陀羅尼助も買わず、銅の鳥居も黒門も立ち止まることなく下ります。
当初の予定の七曲りを歩いて下山するのすらパスして、サクッとケーブルカーで下山することに。

しかし、ここのケーブルは昭和4年開業の日本最古のご老体。
それが、休憩無しで登ったり降りたりの繰り返しで酷使されているのを見ると、
「若いもんが乗せてもらってすんません」なキモチに。
桜の季節が終わったら、骨休めしてくださいまし。

空中散歩をしつつケーブルで下山してくる間も、桜の屏風は続き、
今日はほんまに一日中桜の中。

到着した吉野駅は山上の賑わいそのままごった返しており、
特急電車の指定券は売り切れておりました。

嗚呼!恐るべし吉野!!

今日の教訓:吉野は早起きするに限る(大切なことなので二度いいましたよ)

目の前がピンクに染まった一日でした~♪

コメント (6)
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