広島 長崎 沖縄 終戦の日は おばあちゃんには祈りの日
戦争の音を思い出す日でもある。
不気味な警戒警報 空襲警報のサイレンの音。
日本の戦闘機が空を飛ぶ音は軽い。B29は低音の重厚な唸りの響き。
防空壕の中で聞いた 背骨に刺さるような機銃掃射の音。
焼夷弾がヒュウヒュウ落ちてくる音。焼夷弾の油脂が庭木に飛び散り燃える音。
屋根を突き破って家が燃える音。
防空壕は危ないから出なさいーーの父の声で庭に出る。腰を抜かして動けない母に
姉妹で抱きつき庭に座り込む。
そ中で 外を歩く人たちのザワザワのざわめきを聞く。声高に話している人は居なくて
家が燃えているご近所の人達が逃げていく静かな足音。
この戦争は負ける。必ず平和が来る。ピアノのお稽古をしておきなさい。と
ずーーーっと言ってくれた父。
一度も防空演習に参加しなかった父が 暗い所でバケツにつまずいて風呂の水を汲んで
燃えている家と ピアノの火を消してくれた父。ピアノの外側が燃えて消し炭のような
傷だらけのピアノでのお稽古だった。
あの時燃えていたら あそこでおしまいだったと思う。
傷だらけのピアノは 今埼玉県の姉の家にある。
終戦で 天皇のお声を聞くのは初めて、子供には何のことかわからなかったけれども
大人が泣いているので負けたのが分かった。
たえがたきをたえ 忍び難きをしのびーーだけ聞こえた。