ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー/坂元裕吾監督
映画としてシリーズ二作目(すでに三作目も制作済みのようだ)。女性二人のキレのあるアクションと、そのギャップの激しい脱力系の日常が綴られる。しかしながらやっぱり事件は多くて、銀行強盗の場面に居合わせるし、逆に殺し屋から命を狙われるなど、それなりに大変だ。組織の裏で働く人々の、行政チックだが若者らしい考え方も披露される。いわゆるオタクのような人々が楽しむための要素が満載で、はっきり言って退屈な会話が多いのだが、それが、楽しい、という事なんだろう。
自分たちのだらしなさもあって、ジムの会費(実際一回しか使ってない)がかさんだり、保険の切り替えもうまく行ってなかったり、日頃の殺しで稼いだ費用を浪費して困窮している二人だったが、依頼以外の仕事の関連で殺しを働くと謹慎処分もある。一応そういう制限があって、しかし普通のバイト(着ぐるみをかぶって商店街の宣伝するとか)をやってもちゃんと勤まるような性格ではない。殺しをやって生きていくより、他に彼女らの道はないのと一緒である。
一方、組織的にはアルバイト的な殺しの仕事しか回ってこない兄弟コンビの殺し屋が居て、上位で仕事を請け負っている彼女らを殺してしまえば、安定した正社員的に仕事ができ、その上に正規の金額で殺しの依頼が回って来ると考えた。ということで、なんとかして彼女らを殺すことを画策することになる。今回は、これが大きな話の軸である。
そうしてこの殺し屋の両コンビの日頃のダラダラした会話劇が、はっきり言ってこの映画の中心を占める。アクションとの対比としてのギャップを楽しむというのは分かるが、脚本的には、この会話劇に力が入っていることも見て取れる。僕にはまったくその価値が分からないのだが、おそらくこれが、好きな人にはたまらない面白さがあるらしいことも、その感じとしては伝わってくる。なんというか、実にくだらない感じを如実に示していて、ちょっと気持ちが悪い領域にあるのだが、それは実際には彼ら彼女らには自信に満ちた実力が隠されている訳で、本当にはくだらない最下層の人間ではないのである。仕事の為なら狂暴なヤクザ軍団を前にしても怯まないし、銃を持った銀行強盗に何の恐怖も感じない。生活能力には問題はあるが、日頃から体は鍛えているし、その自信みなぎる超人的な殺傷能力が、彼女らの基本的な資質なのである。
とまあ、そういう事で、大ヒットする現代的な要素があるのだろう。でもまあこれを観て、僕は次の作品をリストから外すことにした。もうお腹いっぱいかもしれない。