サムイズダート・ロシア

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『オーケストラ!』

2010-07-17 | 映画
ずっと見たかった映画『オーケストラ!』を先週末ようやく見る。
30年前、ブレジネフ時代のユダヤ人排斥の煽りを受け、
ボリショイ劇場の掃除夫に転落した元・名指揮者が、
偽ボリショイを率いてパリにのりこむという破天荒なストーリー。
これ、2001年に偽ボリショイ・オーケストラが香港で公演した
という実話をもとにしているというのも愉快だが、
コメディのなかに政治的シリアスな要素もきっちり盛り込まれ、
さまざまに考えさせられる秀作である。

オツにすましたパリの人々と、アナーキーでハチャメチャなロシア人。
この笑える対比を嫌味なく描けるのは、ミヘイレアニュ監督が
フランスに移住したルーマニア人だからこそ。
元指揮者の奥さんが、デモからマフィアのパーティーまで
人材調達の裏ビジネスに精を出して菜園(ダーチャ)を手に入れたり、
いかにものニューリッチが偽楽団のスポンサーとなって
ロシア第一チャンネルを率いて優雅にパリ入りしたりと、
新生ロシアの胡散臭さもてんこもり!

ロシアの役者たちの、粗野なのに繊細な演技の愛すべき素晴らしさ。
そしてクライマックスのチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」の
普遍的な美と力、そこにかぶさる映像の雄弁さに、涙腺あえなく陥落。
未来を暗示する大団円のハッピーエンドも心地よく、
ロングラン上映もうなづける。

ところで、海外に行くのにわざわざ赤の広場で待ち合わせたり、
ましてやそこからシェレメチェヴォ空港まで歩いていくような
ロシア人はいません!(笑)。
これは西側受けを狙った確信犯的サービスショットといえましょう。
Comments (2)
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