その前に、ばっきゃろー、コンチキショーと心のなかで思いの丈を吐き出し、どーしてぇ日本はこんなに自然災害が多いんだ、と呪詛を書きつつ半ば諦め、お天道様によろしくお頼みしますと、ただひたすら祈り願うのみ。こうするしきゃない俺たち日本人は立つ瀬がない。
それにしても、あっちこっちで台風やら地震が悪さして、大勢のひとが迷惑を被りました。その惨状をニュースでしか知らないアタシが、あーだこーだと . . . 本文を読む
サッカー・ワールドカップが大盛上がり。侍ジャパンは初戦をものにし、南米の強豪コロンビアを初めて破った。日頃それほど見ないのだがTV観戦した。イェーイ!
ところで、北欧の小国アイスランドが出場して、アルゼンチン相手に善戦した。自国での視聴率が99.6%、世界中で話題になったらしい。その理由が、総人口が33万人だからというが、驚くべき数字である。
北緯63度~66度に位置し、年間の . . . 本文を読む
▲「我思う、ゆえに我あり」と、デカルトは「意識とコギト」の哲学だ。ベラスケスは行為に向かう。ひたすら描くことが自己の存立だ、と。それが、近代の人だ、と。
恥かしいかなベラスケスのまとまった本は読んでいない。岩波新書・大高保二郎著の『ベラスケス』は、評伝の体裁をとりながら、絵画史、スペイン宮廷史の大枠は外さない。さらに30年戦争すなわち宗教戦争で混沌 . . . 本文を読む
この齢にして『カラマーゾフの兄弟』(光文社古典文庫版・亀山郁夫訳)をやっと読むことができた。
死ぬまでには読みたいと願っていたドストエフスキーの遺作かつ未完の大作。最終的な結着をみないまま、その後の展開を読者の思案にゆだねる作品である。それはそれで、畢竟ともいうべき文学世界を予感させるに充分な、底知れないイマジネーションを喚起してくれる。
今回は読後の印象だけにとどめよう。
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▲デンファレ、妻が手塩にかけて育てた。花言葉は、恋人や夫婦をさして「お似合い」。主人と飼い犬の関係をさして、言わないな。
散歩の途中で入った古本屋で、探していた遠藤周作の文庫本『ぐうたら人生入門』を見つけた。コメントを寄せてくれた原文子氏のお奨めは『ぐうたら人間学』であったが、「ぐうたら」の名を冠したタイトル。ま、いっかと、同じ遠藤の『死について考える』も一緒に棚 . . . 本文を読む
岩波書店のホームページは偶に見るのだが、端っこの方に佐藤正午の『月の満ち欠け』の試し読みコーナーがあった。
⇒「https://www.iwanami.co.jp/files/tachiyomi/pdfs/0140830.pdf (現在、立ち読み程度の9pほど。どんな意味があるんだ?)
エッセイ集を2冊ほど読んでいて、優れた書き手だと感心し、ブログにも書いたことがある。ただ、手練の恋愛小 . . . 本文を読む
世界史のことで何かわからないことがあると、吉川弘文館の「世界史年表・地図」をひも解く。年表は史実の確認に、地図はまさに国と国との支配関係、領土などの広さが色別でわかり、まさしく視覚的に世界の動きを知ることができる。目を注いでいるだけでも世界史のエッセンスが体得できそうな気がする。
イギリスは日本と同じ島国だから、他国から侵入されにくいだろうとの認識があった。歴史にしても、13世紀のマグナカ . . . 本文を読む
このほど出版された中公新書ラクレ、『キリスト教は「宗教」ではない』(竹下節子著)を読んだ。この反語的でキャッチーなタイトルは、販売促進のために編集者目線の奇を衒った目的でつけられたのではさらさらない。著者がたぶん万感の思いを込め考えた末の、端的で直截なタイトルだ、と読み終わってみて納得できた。
一神教・ユダヤ教の改革者、いや単に形骸化した律法の糾弾者としてのイエス・キリストが . . . 本文を読む
カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞を率直に悦びたい。去年のボブ・ディランもそうだったが、スウェーデンの選考委員の選好は粋で、かつ洗練度が深いとおもう。メディアやブックメーカーの人たちの言いなりにならないというか、決定的に異なる地点から作家たちの作品を読み、鑑賞し、世界的な共感度を評価した。作家だけでなく、作品の将来性をも見通したうえで選考している気がする。
同時にそのスタンスで . . . 本文を読む
小説家で精神科医でもある帚木蓬生の新著「ネガティブ・ケイパビリティ」を読んだ。副題に「答えの出ない事態に耐える力」とある。これは精神医療において近年クロースアップされている治療ケアの概念。現代人にとって直面しやすい精神の危機、或いは病に至る途を、その人なりのペースで乗りこえる、希望と再生力に満ちた考え方だと思った。
詩人のキーツからはじまり、「ネガティブ・ケイ . . . 本文を読む
雑誌「現代思想」の2016年1月臨時増刊号は「見田宗介=真木悠介」である。
彼が拓いてきた社会学は、世代を超えて注目されているだろうし、現実社会を深く照射している学知として、門外漢の私にとっても刺激的である。さて、この雑誌の巻頭に加藤典洋との対談が載っている。最近、「戦後入門」という加藤の分厚い新書を読んだこともあり、いつもは立ち読み程度で済ませていたのだが、「現代思想」を買って . . . 本文を読む
この稿はたぶん引用が多くなる。読んで下さる方がいれば、その点を差し引いて考慮していただければ幸いです。
小熊英二の近著・岩波新書「生きて帰ってきた男__ ある日本兵の戦争と戦後」を読んだ。400頁近くの、かなりの読み応えのある新書で、発売されてすぐに買い求めたのであるが、同時に7,8冊読む悪癖があるので、今日ようやく読み終えたのである。この本は今年度の小林秀雄賞もとり話題になって . . . 本文を読む
内澤洵子の「世界屠畜紀行」を読んだ。
生体から死体へ。血を抜き、そして食べやすくするように解体し、分別し、加工される。その一連のプロセスはふだん私たちの与り知らぬことである。内澤氏はあっけらかんとした筆致で世界各国の屠畜事情を伝える、きわめて貴重な著作をつくりあげた。屠畜そのものだけでなく、それに従事する人々を丹念に取材し、肉食文化の裏面を明らかにする。
私たちは肉を食べると . . . 本文を読む