小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

郵政民営化の陥穽

2005年08月11日 | 社会・経済

 郵政民営化なくして行政改革はなし。官業を民営化すれば経済は活性化する。これができなくて、日本の構造改革はできるのか。
 これがわが小泉首相の理路である。これを争点として、自民党が内部分裂し、衆議院も解散した。
 今度の選挙は、郵政民営化だけにスポットが当てられ、正否を国民に仰ぐものになりそうだ。
 でもなぜ、郵政民営化だけが緊急の課題なのか。私は郵政事業は民営化した方がいいと思う。しかし現法案の中味は国民レベルで吟味されておらず、民営化が座礁した場合、税金が支払われる仕組みには納得できない。
 実際の法案をみるといいことづくめで用意周到な感じがするが、移行期の債務負担とか持ち株会社の運営実態などはまったくイメージできない。いわゆる頭脳優秀な官僚が机上でつくりあげた「絵に描いた餅」にすら思える。
 メディアもこの法案をシュミレーションして解説するなど、緻密な議論を展開していない。民営化は是である。しかるにこの法案も是であるという根拠が見えてこない。衆議院を解散して、直ちにその真を問うほどの差し迫った課題だろうか。 年金問題は何所へいったのか。

 私が推測するには「金の問題」が不透明だと思う。
 郵政事業は慢性的な赤字経営であるし、郵便貯金300兆円及び簡保の100兆円(正確ではない)という巨額の財源は、国債や無駄な公共事業への投資により、たぶん底をついているに違いない。いわば自転車操業のような状態ではないのか。官僚の当事者は口が裂けてもこんなことは言わない。自分の責任になるようなことは隠蔽し、うまい法案をでっちあげて血税を使って処理する。これが昨今の官僚が行っている常套手段である。住宅金融問題でも、銀行の赤字債権問題などでも、すべてわれわれ国民の税金で処理されてきた。

 これまでの郵政事業の不透明な負債を民間に丸投げしようとしているだけではないのか。将来的に民営化は大方うまくいくだろう。(希望的観測を含めて)
 失敗すれば税金で穴埋めしてから外資系企業に乗っ取られる。長銀と同じプロセスだ。どっちに転んでも官僚、政治家の責任は問われない。それが悔しい。

 どうしてこういう構造になっているのか。推測の域を出ないが、私にはアメリカの政策と圧力が大きいと思われる。


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