小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

ナミアゲハよ、またしても

2019年06月12日 | エッセイ・コラム

  5年ほど前になるか、みすず書房の方から親切なメールをいただいたことがあった。ナミアゲハ(アゲハチョウ)の飼育のことで、ご教示してもらったのだ。樹をネットで囲むなどして天敵から守ること。理想は室内で飼育すれば安全、かつ観察も思う存分愉しめるというものだった。ところが翌年、肝心のナミアゲハの幼虫を見ることはできなかった。

それから数年たっても、なぜか全く現れない。ここぞというときに当てが外れる我が人生なのか・・。異常気象のせいにしていいのやら、分からん。

だが今年、桜花も散り、青々とした葉が茂るころ。我が家の山椒の木に2cmほどの緑色の芋虫が枝にくらいついていた。たぶん春先にアゲハチョウが一頭(※)舞っていて、その子どもであろう。陽気のいい別の日にも、同じ蝶かどうか知らんが山椒の周りを飛んでいた。今年はアゲハチョウが多い年なのか、と内心では大いに期待していたのだ。

 昔はベランダにあった檸檬の木に、近年では鉢植えの山椒の木に卵を産んでいた。そのまわりを飛んでるアゲハ蝶を見かけたが、卵を産んだ様子はなかった。都会では、蝶にとっては天敵が多すぎるのだという。卵のときは蟻や蜂が狙ってくる。幼虫になれば、雀や燕などの小鳥に啄まれる。もっと成長できたとして、いわゆる芋虫になってもヒヨドリは最強の天敵だし、まれにカラスにも食べられてしまう。蛹になったとしても、それが安全圏とはいえない。

そんなナミアゲハの幼虫が知らぬまに、緑色に成長した芋虫として、その雄姿を見せてくれたのは二週間ほど前だった。たった一頭しかいないのは何故だ? とにかくスマホで何枚かとったのだが・・。

 ▲山椒の葉はみごとに喰いつくされて、裸の枝になってしまったが・・。

 その日は、帰宅が夜になり、暗くて確認できなかった。なんと翌日、探したのだがいなかった! なんとしたことか、もう、鳥に食べられてしまったのか。儚い生といえば、そうなのだが、これも食物連鎖の一コマなのかもしれない。

落胆すれど、山椒を仔細にみれば、卵から孵って何日が経過した黒い幼虫が4,5匹蠢いていた。今年こそ、天敵から守り、蛹から羽化してアゲハチョウになって飛んでゆくのを見たい。

ところが生来の無精者ゆえ、ネットをかけていない。幼虫はまだ二匹いて山椒の葉をムシャムシャ食べている。

 

▲昆虫というものは、幼い時はグロテスクです。人間はじめ哺乳類などは、おしなべて幼児期は可愛い。昆虫は捕食されないように、目立たなく醜い? 

 ▲ナミアゲハの見慣れた翅の柄。青色や黄色も混じって、なかなかの美しい蝶ではないだろうか。

 

▲家人がみつけた。ミモザに何か枝のような尺取虫がいる。と。

 

 ▲ナナフシの幼虫かな? シャクガ科の蛾の幼虫かも知らん。「尺取り虫が枝に擬態して静止している」とあった。


▲同じミモザの木に寄生している貝殻虫。こいつも葉を喰いつくし、どんどん増殖する。虫なのに微動だにしない。蟻が食べようとするがビクともしない。へばりついているので除去すると、白い体からオレンジ色の液体が出てくる。


(※)蝶の数え方は、正式には「頭」だそうだ。「匹」や「羽」ではないとのこと。


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