小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

シャラくせいぜ、集団的自衛権。

2014年08月03日 | 国際・政治

 

 憲法学者の木村草太のはなしをきいて、安倍ちゃんが「やったー」感のある、「集団的自衛権の行使」つまり軍隊派遣・武力攻撃は、いまのところ「絵に描いた餅」状態であることがわかった。
 マスコミはじめ週刊金曜日など大小メディアはこぞって、「解釈改憲」による集団的自衛権行使は「いまそこにある危機」ぐらいの感じで報道しているが、実際のところそれは「寸止め」で踏みとどまっている。

 私たちはことの本質を冷静にとらえ理解しなければならない。大袈裟に反応するのはかえって相手の思うつぼにはまる。

 今回の件はそもそも、安倍ちゃんの私的懇談会において闇雲に生まれた案件だ。自分たちの願望をご都合主義でまとめたものを、アベノミクスの勢いを借りて閣議決定しただけの経緯がある。
 そう、「集団的自衛権の行使」が法制化されたわけではない。憲法改革が即できない見込みが立ったので、苦肉の策をあれやこれやこじつけて出来た、「俺たちはやればできるんだ」宣言にちかい。よろこんでいるのは軍事おたくやネトウヨぐらいか・・。

 かつての自衛隊のイラク派遣のように、今度の閣議決定も、個別的自衛権という解釈の範囲内での軍事活動に限定される。そのようにしか読み込めないとのことだ。
もちろん、緊急事態が発生しアメリカからの軍隊派遣の要請があっても、それは従来通りの後方支援に限定されるだろうし武力行使もできない(現状の法的枠内ではそのようにしか対応できないし、法治国家としての当然の振る舞いだ)。

 今回の閣議決定では、公明党の踏ん張りを評価しなければならないという。わたしはその全文を読んではいないが、木村氏によれば、個別的自衛権とオーバーラップする部分での集団的自衛権に限定した内容にとどめてあるという。
それをもってして法制化に進んだとしても、現憲法との齟齬が生じ、実現はむりではないかというもの。公明党は党の威信をかけて武力行使を阻止できるように、閣議決定の文言作成に腐心したらしい。

 そんなこととは知ってか知らずか、外遊中の安倍ちゃんは意気軒昂、おつむの中は「集団的自衛権行使はできるんだ」状態でいっぱい。オーストラリアでは、何かあったら軍隊をおくりまっせと口約束をしたらしいが・・・。
 第一筆頭当事者であるにかかわらず、誰かの入れ知恵をそのまま国会で答弁する安倍ちゃんは、ほんとうに早とちりで強がりのぼんぼんだ。

 また、チェック機関としての内閣法制局においても、閣議決定の文言は憲法解釈の変更ではなく、違憲にならないように文言を「当て嵌めた」だけだ、と分かる人には分かる暗号を発信しているとのこと。
 かつて、憲法66条において、自衛隊員は文民であるかないかという解釈で、明確に文民ではないという解釈を変更した事実がある。それ以前にもそれ以降でも、内閣法制局は「集団的自衛権による武力行使は行えない」という解釈、姿勢は一貫している。

 以上のように木村草太はきわめてクールに解説してくれた。
「あー」「えーと」「あのー」「要するに」とか無駄なつなぎ語もはさまず、あくまでも理路整然と書くように語るイケメン学者木村は頼りになるし、なんらかのパラダイムに縛られていない。
 

 これらと同様の言説を開陳しているのは、いまのところ佐藤優ひとり。こんご宮台、神保らのビデオニュースメンバーから多角的に広まるのを期待したい。

 いずれにしても法制化する、実体化する動きを注視しなければならない。

しかるべきときには、こちらも動かねばなるまい。未来のために・・。

※無料のビデオニュースここから

http://www.videonews.com/commentary/140719-02/


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