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この過酷な青春・・ @松下竜一『あぶらげと恋文』


 かの『豆腐屋の四季』の松下竜一氏の「若き日の日記」をベースに 後の松下氏が書き下ろした本。おもに1958年2月から1960年1月までの、松下家の赤裸々な実態がありのままにつづられています。

 氏が「日記」から「短歌」にその表現方法を発展させ『豆腐屋の四季』にまとめたのはその後のことです。なので、この本は『豆腐屋の四季の』前編とも言えます。

 その当時、わずか二十歳前で、一家の大黒柱にならざるを得なかった赤貧の日々、結核のため二十歳過ぎで死の床に伏せる友と日々芸術論を語り合うなんてことは、別に珍しいことではなかったんだと思います。

 21世紀の今、ブラック企業に痛めつけられ、虐げられている若者たちがたくさんいますが、なんか、50年前とは、リアリティーが違いすぎると思うのは、僕だけだろうか。

 その違いって何なんだろうね・・・。

 巻末にゲストエッセイとして、角田光代氏が、短文を寄稿していますが、これ全く不要ですね。松下氏のリアリティーに比して、角田光代センセイの「商品としての文章」の空虚さが、きわだってしまいます。

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