自然の移ろいは何時の間にやら、晩秋は僅かな色をなごりとして、人々に惜しまれつつ
はや、冬立つ日を迎えて初冬の季節へと移ろいはじめた
目に触れる木々の色合いや落ち葉、山里のひとたちの暮らしの諸々なものなど冬らしくなり
川の姿、畑の色、雨の音、垣根の末枯れ、何を見てもしずかに澄んだ空気の寂しげな
初冬の気が漂いだしたようである
祖谷すでに十一月の木々の精
冬に入り病の老は淋しがり
柴の庵冬立つ日より色褪せし
しぐるるを寝覚めて外に佇むは落ち葉転がすこがらしの音
もみじ散る初冬の野べに分け入りてこころの色を染めむと思ふ
初時雨かなしき音を知らせなり野べのもみじは散り果つりけり
と詠みたる心境なりや




