1月9日新幹線ときで新潟まで行き、特急いなほで日本海を眺めながら酒田へ北上する。
庄内平野の所々の田んぼに白いサギのような鳥が数十羽かたまっている。
何の鳥かと目をこらして見ると…白鳥だ!
日本にこの時期こんなに多くの白鳥が東北にとどまっているんだと感心する。
家をでて、約4時間後に酒田駅に到着し、無料の観光周遊バスで酒田市美術館へ向かう。
途中映画「おくりびと」のロケ地や酒田海鮮市場、土門拳記念館などを経由して、森林に囲まれた高台に位置する酒田市美術館に到着。
柔らかなコンクリートの1階建ての横長の建物で、正面入り口に銀色のキャノピーが風を誘い入れるように出迎え、暖かい木の塀が建物を包む。
敷地面積約3万平方メートル、施設面積約3千平方メートルという広大な敷地。
平成9年に開館した酒田市美術館は、鳥海山、最上川、市街地を一望できる小高い丘に建つので、真冬でもロビーのガラスごしに自然と調和したアートの世界に浸れる贅沢な空間を作り上げている。
ここで早川俊二にとって、初めて公共の美術館で68点もの作品が展示された大回顧展が開催している。
左から早川氏、奥様の早川結子さん、この展覧会を思い立ち、酒田市美術館に持ちかけた俵谷裕子さん
最初の入り口の廊下に初期の作品が並ぶ。
茶の模様が混じった上品なベージュの大理石の壁と、大きな石を組み合わせたような床に何層も何層も塗り重ねた分厚い硬派なマチエールをかかえる早川絵画はよく合う。
そして、水色が基調である代表作「アフリカの壺」や、同じく水色が基調の1992年の初個展に出展された「横向きのアトランティック」のように、対象の輪郭から柔らかな光を放ち、鑑賞者を優しく包み込む作品群に、何とも言えない柔らかなグレーの木の壁が向かい合い、豊かなハーモニーを成している。
「これはいいスタート!」と直感し、人物画の代表作が並ぶ第一展示室へ進み、全体を見渡す。
天井から透けて入る自然光のようなグレーの光。(自然光なのかなー)
照明によって表れる白い壁がボワ~ッとした黄色に見え、こちらも光を放つ。
グレーの床と共に作品と呼応しながら、この部屋の隅々に光が満ちていた。
2014年の最近の作品が4点並び、これらが削り取られたキャンバスの端が茶色で彩られているのを知る。
早川氏によると、理由なくわざとそうしているとか。
「透明感が一段と出たと思うんだよね。物質っていうより空気の粒子をとらえたかった。透明ながら存在感のあるのを狙ってる。普通は透明な世界って存在感ないけど…まだ(そこにいく)過程なんだ」といつになく自信たっぷりの表情で語る。
画風が変わりつつあるのはわかるが、もう一段階上がった完成作が待ち遠しい。
この部屋の向かいの廊下には、選びぬかれた人気の静物画群。
西洋の巨匠たちの静物画を思い起こすかのような気配さえ感じる。
過去の作品ながら、強靭なペインティングナイフのタッチに、相反する全体的には柔らかで透明な感覚を呼び起こし、先ほどの早川氏のコメントに納得する。
基調の茶とグレーが入り混じった地肌に、長年の努力で創り上げた独特のハヤカワホワイトや一筋のグリーンが抜群に生きている。
基調である茶とグレーに関して、「茶に代わるものはないんだよ。他の色ではいくらやってもうまくいかない。(早川絵画の) ポイントは白。白はこういう土台があるから生きる。質感の違いを利用してできている。この白は練り具合が違うから、他の人にはでないだろう」と答える。
ここまで帰りの新幹線で書いているので、ちょっと休憩します。 ~続く
庄内平野の所々の田んぼに白いサギのような鳥が数十羽かたまっている。
何の鳥かと目をこらして見ると…白鳥だ!
日本にこの時期こんなに多くの白鳥が東北にとどまっているんだと感心する。
家をでて、約4時間後に酒田駅に到着し、無料の観光周遊バスで酒田市美術館へ向かう。
途中映画「おくりびと」のロケ地や酒田海鮮市場、土門拳記念館などを経由して、森林に囲まれた高台に位置する酒田市美術館に到着。
柔らかなコンクリートの1階建ての横長の建物で、正面入り口に銀色のキャノピーが風を誘い入れるように出迎え、暖かい木の塀が建物を包む。
敷地面積約3万平方メートル、施設面積約3千平方メートルという広大な敷地。
平成9年に開館した酒田市美術館は、鳥海山、最上川、市街地を一望できる小高い丘に建つので、真冬でもロビーのガラスごしに自然と調和したアートの世界に浸れる贅沢な空間を作り上げている。
ここで早川俊二にとって、初めて公共の美術館で68点もの作品が展示された大回顧展が開催している。
左から早川氏、奥様の早川結子さん、この展覧会を思い立ち、酒田市美術館に持ちかけた俵谷裕子さん
最初の入り口の廊下に初期の作品が並ぶ。
茶の模様が混じった上品なベージュの大理石の壁と、大きな石を組み合わせたような床に何層も何層も塗り重ねた分厚い硬派なマチエールをかかえる早川絵画はよく合う。
そして、水色が基調である代表作「アフリカの壺」や、同じく水色が基調の1992年の初個展に出展された「横向きのアトランティック」のように、対象の輪郭から柔らかな光を放ち、鑑賞者を優しく包み込む作品群に、何とも言えない柔らかなグレーの木の壁が向かい合い、豊かなハーモニーを成している。
「これはいいスタート!」と直感し、人物画の代表作が並ぶ第一展示室へ進み、全体を見渡す。
天井から透けて入る自然光のようなグレーの光。(自然光なのかなー)
照明によって表れる白い壁がボワ~ッとした黄色に見え、こちらも光を放つ。
グレーの床と共に作品と呼応しながら、この部屋の隅々に光が満ちていた。
2014年の最近の作品が4点並び、これらが削り取られたキャンバスの端が茶色で彩られているのを知る。
早川氏によると、理由なくわざとそうしているとか。
「透明感が一段と出たと思うんだよね。物質っていうより空気の粒子をとらえたかった。透明ながら存在感のあるのを狙ってる。普通は透明な世界って存在感ないけど…まだ(そこにいく)過程なんだ」といつになく自信たっぷりの表情で語る。
画風が変わりつつあるのはわかるが、もう一段階上がった完成作が待ち遠しい。
この部屋の向かいの廊下には、選びぬかれた人気の静物画群。
西洋の巨匠たちの静物画を思い起こすかのような気配さえ感じる。
過去の作品ながら、強靭なペインティングナイフのタッチに、相反する全体的には柔らかで透明な感覚を呼び起こし、先ほどの早川氏のコメントに納得する。
基調の茶とグレーが入り混じった地肌に、長年の努力で創り上げた独特のハヤカワホワイトや一筋のグリーンが抜群に生きている。
基調である茶とグレーに関して、「茶に代わるものはないんだよ。他の色ではいくらやってもうまくいかない。(早川絵画の) ポイントは白。白はこういう土台があるから生きる。質感の違いを利用してできている。この白は練り具合が違うから、他の人にはでないだろう」と答える。
ここまで帰りの新幹線で書いているので、ちょっと休憩します。 ~続く